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森の奥、ヴォルデモートが根城としている屋敷があった。
入口に姿現しをしてきた主は無言で屋敷の廊下を歩き、一番奥の扉を開く。
程よく暖められた部屋の中、大きな寝台の真ん中でちょうど眠ったところなのか静かに寝息を立てる少年がいた。
ここにきてから彼がまとうのは黒い薄いローブだけ。
それ以外は許されず、そしてそれさえも着ている時間は短い。
部屋に入ったヴォルデモートは杖とローブをサイドテーブルに置き、眠った少年…ハリーの上にまたがる。
ハリーもまたヴォルデモートが戻ってきたことに気がついたのか、身動ぐが完全な覚醒まではいかない。
薄いローブをたくし上げ、薄い肩口に噛みつくように口づけをする。
ちりっとした痛みに目を覚ましたハリーは何も言わず、ただ性急にハリーの足を開くヴォルデモートを見つめ、そっと手を伸ばす。
「ヴォル…お帰り。」
抱き寄せられるがままに身を寄せるヴォルデモートにハリーはささやくもやはり返答はない。
また嘘つきを…マグルやそのほかの魔法使いを…。
そう考えるハリーだが突然訪れた快楽に思考を引き摺られていく。
ハリーがホグワーツを出てから2カ月。ハリーはこの部屋から出たことはない。
外から鍵を掛けられ、ハリーの魔法の力では解錠することができなかった。
マグルの家などを襲撃した後、決まってヴォルデモートは無言でハリーを抱く。
それも今までのように気遣ってではなく、ヴォルデモートの気がすむまで、ハリーの意識が薄れるまで激しく抱いていく。
嬌声を上げながらもヴォルデモートを抱きしめるハリーは、何とも言えない複雑でいて、ハリーを抱く心だけはまっすぐなヴォルデモートの心情にただ寄り添う。
僕は大丈夫、ここにいるよと、腕に力を込めればヴォルデモートはハリーの喘ぐ唇に口づけハリーをかき抱く。
激しい情交の後、くったりと眠るハリーをヴォルデモートは抱きしめる。
不意に目を覚ましたハリーはそんなヴォルデモートを見つめ、抱きしめ返す。
どうして急に閉じ込めるようになったのか、考えなくとも自分がスネイプに捕まり、そして抱かれそうになったことが原因だとハリーにもわかっていた。
誤解が解けたことで心がぐらついたハリーがどこかに行かないか、言葉には出さないものの不安で仕方がないのだ。
だから留守から帰って来たとき、命を奪い消してきたことに対し、ハリーが手の届くところにいることを確認し安心するために抑えきれない感情をハリーにぶつけていた。
わかっているからこそ、ハリーもまたこの監禁生活に甘んじている。
「ヴォルが作ってくれた薬…僕じゃ駄目だったのかな…」
100%成功するとは限らないとは本に書いてあったが、それでもまったく成功しないとなればがっかりする気持ちがだんだん上回ってしまう。
「仕方がない。ハリー自身の年齢が若い意外に俺様の年齢が高いということなのかもしれない。」
ため息を吐くハリーを宥めるように髪をなでるヴォルデモートは、先ほどの激しい情交が嘘のように以前と同じ口調で話す。
「でもヴォル、前よりも若返りの薬で若くなってるから…僕のせいかなぁ…。ヴォルとのつながりほしいのに。」
「そう落ち込むなハリー。そう思うハリーの気持ちがなによりだ。」
焦らなくていいと、落ち込むハリーを慰めるヴォルデモートはそっと口づけ、肩口に顔をうずめた。
聞こえ始めた静かな寝息にハリーもまた眠りに落ちながらヴォルデモートを抱きしめる。
「ヴォル。僕はいなくならないから安心して。いつでもここで待ってるから。」
ヴォルデモートの孤独も、不安も全部わかるから、と口には出さずに続け眠りに落ちる。
ハリーの呟きにそっと抱きしめる手に力が込められたことはハリーは気がつかなかった。
本を読んでいたハリーはふと遠くで物音が聞こえた気がし、窓へと向かう。
どこかで魔法の光が見えた気がし、ハリーは部屋にいるナギニを振り向いた。
ナギニもまた落ち着かない様子でハリーに待っているようにと言うと、彼女専用の通路を使い部屋の外へと出て行ってしまった。
残されたハリーは不安げに、何かあったのかと扉に向かい、試しにドアノブをひねった。
難なく回ったことに驚くが、そもそも試したのは最初の頃だけで、そういえば最近は解錠の音が聞こえなかったと、ハリーは思い出した。
どこかで呪文のような爆発のような音が聞こえ、目を見開いた。
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