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ふと、ヴォルデモートは部屋の隅に目を向けた。
ハリーが来る少し前。
瓶に薬を移しているときに扉が開き、入ってきた侵入者が身構えるより前に金縛りの呪文を唱えた。
とっさに防御したようだが、続けざまに唱えられた磔の呪文にかかり、杖を落としたところで再び金縛りの呪文を唱えた。
必要の部屋を開いたままにしている以上、いつかは見つかるだろうと考えていたが、唯一動かせる目で睨みつける姿に優越感を覚える。
「愚かな男だ。逃がした鳥が再び同じ籠に入ると考えていたのか?」
どうにか魔法を解除できないか、額に汗がにじむほど力を込めているようだが、解ける様子はない。
かりにもダンブルドアに次ぐともいわれるヴォルデモートの魔法。
その必死さにヴォルデモートは笑うと目くらましの魔法をかける。
「身勝手にかくまい、家主に怒られたから籠の外へ放り出す。籠という世界から放逐された鳥は飛び方を忘れ、ただひたすらに地べたを這い、蛇の穴に世界を求めて落ちてきた。言っておくが、俺様はただセブルス、お前があの女のことを…緑色の瞳をもった女に執着していたのを知っていただけだ。それをハリーに伝えた。あとはハリーが考え、その身を俺様に委ねたまでだ。何一つ、俺様はハリーに強要したことはない。」
術者であり、どこにいるかを知っているヴォルデモートはぼやける輪郭の中、怒りで目を血走らせたスネイプの眼を見つめ、くつくつと笑った。
動かすことのできる目だけがスネイプの心境を語っているが、ヴォルデモートは離れ背を向ける。
「初めは殺してやろうと考えたが、考えが変わった。あの時はまだ俺様の物ではなかった。だが、今のハリーは俺様のものだ。生きるも死ぬも…俺様に委ねた最も忠実で唯一…」
不意に言葉を止めるヴォルデモートは薬をしまい、鍋を片付ける。
何を言いたかったのか、それはヴォルデモートの閉ざされた口の中にしか答えはない。
そしてちょうどそこにハリーがやってきた。
この子供は何も知らなくていい、とヴォルデモートは口づけを唇から鎖骨へ痕をつけながら下りていく。
たったこれだけの愛撫でほんのりと肌を染め上げる姿に邪魔者がいることを忘れていく。
「ねぇ、ヴォル…。プレゼント少し早くにあげちゃったから…。あの…。」
不意に声をかけられたヴォルデモートは、真っ赤になってもじもじとする姿に焦らず先を促す。
「さっ先に…ヴォルのを口でしていい?くっクリスマスのプレゼントっていうわけでも…そのふさわしい物でもないけど…。」
何を言い出すのかと考えていたヴォルデモートは想いもよらない発案に目を細ませた。
そうだ、いつだってハリーが考え、決断してきた。
その様子に先ほど言いかけた言葉が脳裏をよぎる。
死喰い人たちとも、洗脳した者たちとも違う。
ハリーの本当の意思。
「あぁ…。この唇を汚すのは少々気が咎めるが…見てみたいものだ。いいのかハリ-。」
「うっうん。その…下手かもしれないけど…。だめだったらすぐ言ってね。」
小さなあどけない唇に口づけを落とすヴォルデモートはまだ顔を赤らめているハリーを抱き締める。
座ったヴォルデモートの前に跪きローブをまくり、ズボンからハリーの痴態に張りつめたものをハリーが取り出すと愛しげに軽い口づけを落とす。
それだけでもヴォルデモートにはくるものがあるが、うっとりと口に収まりきらない物を必死に入れ、両手で余ってしまった部分を包み込む。
その姿に軽く頭を支えるように手を添えた。
いつも自分がされているように、口で愛撫をするハリーの姿が健気で、一層ヴォルデモートは抱いている最中の様に体の熱を上げた。
「あぁ、いいぞハリー。いい子だ。」
なでるように髪をかき交ぜ、飛び跳ねる髪を堪能するヴォルデモートにハリーは嬉しそうに眼を細ませるとちらりと見上げる。
自分のつたない愛撫で興奮している姿にハリーの心もまた高鳴る。
「まだずっと堪能していたいが…早くハリーの中に入れたい。一度ここで出してやろう。苦しかったら無理をしないようにな。」
ふと、ハリーの手が片方消え、愛撫しているだけでない興奮気味なハリーにヴォルデモートは喉の奥で笑うと頭に添えている手に力を少し込める。
小さく頷きながら添えている手を速めるハリーはヴォルデモートの手の動きに合わせどくりと脈打ちながら爆ぜる快楽の印をそのまま飲み込んだ。
「せっかくほめてやろうと思ったが…その手は何をしている?ハリー。」
全部飲みこみ、顔を真っ赤にしたまま喘ぐハリーにヴォルデモートは髪をなでると、ハリー自身を愛撫する手を上から一緒に握る。
「ヴォルのなめてたら…いつもしてもらうこと思い出しちゃって…。」
「そうか。ならばいいだろう。褒美に…クリスマスプレゼントをやろう。」
ごめんなさい、と素直に謝るハリーの髪をもう一度なでるとハリーの服を一枚一枚脱がしていく。
嬉しそうに服を脱ぐハリーを押し倒し、足を開かせると内またのごく中心に近い場所をなでた。
「ここならば…俺様以外には見ない場所だ。言おうがなしに見え、ハリーが誰のものか…特に興奮した時浮き出るよう…そう作り出した。」
じっと荒い息を吐きながら見つめるハリーは嬉しそうに、幸せそうに笑う。
ごく皮の薄い個所に口づけられるとヴォルデモートの杖がその口づけた場所に当てられた。
「少し痛むが…我慢できるな?ハリー。」
「うん…。痛かった分、うんと抱いてくれればいいよ。」
いい子だ、と額の傷に口づけると杖を強く押し当てた。
嬉しそうにヴォルデモートの背に手を回すハリーがくすくすと笑うといつでも来て、という。
緑色の霧が吹き出るとびくりと体を震わせるハリーをなだめるようにヴォルデモートは抱きしめた。
霧が消えると杖を当てていた場所には闇の印である髑髏と蛇が刻み込まれている。
「あぁ、今すぐ俺様が根城としている場所に攫って行きたい。こんな裏切り者だらけの場所など捨てて…。」
うっとりと眼を細ませるハリーの髪をなで、額に口づけるとヴォルデモートは印をなでながら耳元でささやく。
「そう…だね。皆皆嘘つきばかり。どうしても勉強したかったら…ヴォルに教えてもらえばいいんだもんね。嘘つきを消し去る方法とか。」
囁き返すハリーはとっても魅力的、と言いヴォルデモートの愛撫を受ける。
疲労で眠るハリーを抱きかかえるヴォルデモートは手元に落ちてきた子供に満足げに笑うと城内の人が少ないことを言いことにそのままハリーを連れて部屋を出る。
出る間際、魔法が解かれたスネイプは無理に動かそうとしたため、若干しびれが残る腕をさすり、その目を不穏な色に染め上げた。
あの霧はおそらくはハリーの体のどこかに闇の印が刻まれた証拠。
裏切りはお前の方だハリーと心の中で呪詛のように繰り返すと、部屋を出た。
薬の事もあり、年内に出ることを決めたハリーは年末の大掃除と言って必要なものをまとめる。
両親の写真はおいていく物、グリンゴッツのカギはいる物、透明マントは役に立つから持っていくもの、仮面は必要不可欠な大事なもの…
大きなトランクではなく、小ぶりなトランクに大事なものを入れていくとヴォルデモートは一度根城に帰ってしまった。
事前に軽くなるように呪文をかけてもらったトランクをヘドウィグに託すと、ハリーはヴォルデモートの迎えが来るまで最後のホグワーツを見て回ることにした。
大好きなクィディッチ。
でも一度疑われた時、信用していた仲間からは不審な目で見つめられた苦い記憶のあるスポーツ。
箒で飛ぶのは好きだが、ヴォルデモートの根城でそんなことはできない。
念のためにとトランクに入れたが、使うあてはないだろうと球場を後にする。
ロンは一昨日から風邪でマダムのところにいる。
しつこい風邪で熱は下がったと言ったが念のために今日一日保健室で一人チェスをしながら暇をつぶしているらしい。
もう一度顔を出そうかな、と城内に入ったハリーは背後から何者かに抱きかかえられ、抵抗する間もなく鼻先に強い刺激のある何かをかがされ、気を失った。
甘いにおいに眉をしかめ、目を覚ますと見知らぬ寝台の上に寝かされていた。
体を起こそうとして服がはだけられていることと、両腕が縛られていることに驚き、身を縮こませた。
「ようやく目が覚めたかね、ハリー。」
暗い男の声にハリーが視線を送ると、顔が陰になり見えにくいもののかつて好きになり、裏切られ、嘘をついていた相手がそこに立っていた。
「なっ…。」
不穏な空気に後ずさりしようとするが、スネイプは細い脚を掴み、引きずり寄せる。
のしかかり見下ろすスネイプに…ハリーは震え、目を見開く。
「こうしたかったのであろう、ハリー。」
足を開かせていくのにズボンと下着がないことに気がつくハリーだが、それよりも恐怖が勝っていた。
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