クィディッチ競技場の観客席に座るハリーはあくびを噛み殺し、悪びれない様子のヴォルに寄りかかる。首から覗くのはナギニと蛇になっているヴォルデモートで、ハーマイオニーがもう慣れたわと言ってその隣に座っていた。ロンも慣れたもので、本当にいいのかい?とハリーに聞く。

「中の構造は変えたみたいだけど、僕はもうやったし、もともと僕はイレギュラー枠だったからもういいと思って。第2の課題で一応自分の実力は出せたし、元凶は捕まった上に大好きなヴォルが二人に増えて、今まで以上に大事にされたんだ。僕は賞金だとか、名声だとかよりも、すごく嬉しいからそれでいいと思って」
 嬉しそうなハリーがそう答えると、ヴォルとヴォルデモートが嬉しそうにぎゅっとハリーを抱きしめる。ナギニは呆れた風に頭を振り、ヴォルデモートに巻き込まれないよう身じろいだ。

「あなたが幸せならそれでいいのよハリー」
 極悪人のはずのヴォルデモートを懐柔しきっているハリーに、ハーマイオニーが呆れ、幸せならそれでいいのよ、という。

「そうだ、ロン。フラーがさっきの赤い髪の人誰?って。あっロン、君じゃなくてビルだよ。それでビルって今はどこに……あ!あそこの応援席だ。待ち時間長いし、ちょっと行ってくる。ヴォルも行く?」
 フラーが入ったところで暇になったハリーはそうだと思い出し、ビルの姿を探す。ハリーが小さく手を振ると、ビルも気が付いて手を振り返した。立ち上がったハリーにヴォルも行こうというと3人と一匹はビルの元へと向かっていった。

「やぁハリー。聞いたよ、この一年本当に大変だったんだね」
 連日新聞をにぎわせていたこの一年の騒動に、ビルはよかったと笑う。モリーも来てはいたが、今は席を外しているらしくハリーはほっと息を吐く。

「夏からいろいろあったんだけど、何とかなったよ」
 本当にいろいろだ、と頷くハリーにビルはそのようだ、と笑う。ぴったりと張り付いたヴォルと、ハリーの襟元に見える2匹の蛇のうちの赤い目の蛇はロンから正体を聞かされている。何とかなった、で済む話ではないが本人たちがいいのであればそうなのだろう。

「それで、どうしたんだい?」
「あぁ、ワールドカップの時にトロフィーを受け取る選手をボーバトン校の子が写真を撮っていたそうなんだけど、その時にビルが写っていたみたいで。それでフラーがビルを見て、あの時のって。それで……あー」
「始まる前にハリーと話していただろう。それを見ていたらしくて、あのカッコいい人知り合い?と」
 なんといえばいいのか、と困るハリーを引き継ぎ、ヴォルが説明するとビルはどこか驚いたように首を傾けた。僕にかい?と目をしばたたかせるビルにそういえば、とハリーは思い返す。

「ヴィーラの魅了にビルも靡いてなかったね」
 チャーリーはなんとなくわかるけど、というハリーにビルはそういうのに耐性があるんだ、と笑う。一番上の兄はそういったもろもろの耐性があり、一番下の男であるロンはめっぽう弱い。なるほどーというハリーにビルも気が付いたのか、ロンは本当に耐性無いんだ、とくつくつと笑いだす。

「エジプトでやらかしたな、ロン。なるほど、ヴィーラの力が効かないフリーの異性か。ビル的にはどうなんだ?」
 目に浮かぶようだ、とため息を吐くヴォルに入口にかかっている単純なもので引っかかっていたさとビルはロンの耐性の無さをいう。ヴォルに問われたビルは今は姿が見えないが、迷路に目を向け、心が強い子だね、と優しく微笑む。

「新聞で見ていたけど、まっすぐないい子だなって思うよ。じゃあこの課題が終わったら、話しかけてみようかな。ハリー達が気にしていたって」
 僕は偏見とかそういうの持たない主義なんだ、と笑ってからちらりと戻ってきた母モリーを見る。ハリーとヴォルはそれでわかって一つ頷くとモリーに挨拶をし、ロンのいる場所へと戻ってきた。

「なんだか最近、僕の周りで仲のいい人が増えてきて嬉しいな」
 リーマスとトンクス、あれから何度か食事に行っていると、トンクスから聞いてはいる。少し控え目のリーマスと、ぐいぐい行くトンクス。シリウスも嬉しそうだったのでこれでいいのだろう。
直接は聞かないが、ロンとハーマイオニーも一時期と違ってなんだか距離感が近い。クラムは少し寂しそうだったが、これでよかったのだと頷いていた。4年間苦楽を共にした仲であることから仕方がないさとヴォルにこぼしていたらしい。

「これでビルとフラーがいい感じに収まれば……な。あ、そうだ。ハリー、やつらが帰る前に、4寮のクィディッチチームと合同練習する件、ダンブルドアから許可が下りたぞ。詳しい日程はまた後程という事らしいが。」

「本当に?クラムとは一度一緒に飛びたかったから嬉しいな。そうだ、ジニーも来年チェイサーに興味あるって言っていたし、声かけてみるよ」
 どこか放心状態のロンを置いて、ヴォルがハリーに告げると、ハリーは嬉しそうに目を輝かせた。その反応に蛇姿のヴォルデモートも満足らしく、ヴォルと共にハリーの左右の口角に口付けを落とす。


「来年ハリーがキャプテンになるって聞いたけど、本当?」
「うん。アンジェリーナが是非にって。だからオフシーズンの時はヴォル達といっぱいすごして、シーズン終わるまで我慢してもらうんだ。そうだ、新しいキーパー探さないと」
 新しいチームメンバーも募集しないといけないから、いつ選抜した方が良いんだろう、と一人張り切るハリーにヴォルはちゃんと守るさ、とあまり信用できないような顔で微笑みかけた。本当に大丈夫かしら、と思うもなんとかなるか、とハーマイオニーは迷路に目を向けた。バクマンの実況もあまり詳しくは見えないのか落ち着いていてなんだか暇だ。

「あのさ、ハリー。キーパー……選抜の日決まったら教えて欲しいんだけど、いいかな」
 もごもごと声をかけるロンにハリーはおろかヴォルもハーマイオニーも驚いて視線を向ける。耳の先まで髪と同じように赤くしたロンがいや、難しいならいいんだけど、とやはりもごもごと言い……贔屓はしないからしっかりね!、とハリーが嬉しそうに満面の笑みで頷く。
 やがて動きがあったのか、バクマンの声が上がり、後から入ったフラーを含め3人がトロフィーを見つけたと声を上げた。途中フラーが迷路の生け垣に取り込まれ、セドリックとクラムが競い……。

「優勝は、ホグワーツ代表セドリックだあぁああ!」
 墓地に飛ぶこともない、正真正銘まともなトロフィーをセドリックが掲げ上げ、一年にも渡す三大魔法学校対抗戦は終わりを迎えることとなった。