|
------------
ヴォルデモートとヴォルに挟まれるハリーが現れ……何があったのかを察したムーディは一目散に森の方へと逃げ出す。記憶を確認しなかったのか、と罵りたいのを堪え一度森の奥に行き、それから城の敷地外へ行けばいい。そう考えて走るムーディだが、バチンと顔に当たったものに驚きひっくり返る。
「いやぁ……まさか本当にこっちに来るなんて」
「本当に良く封じられたわね」
何か魔法生物を回収する初老の男性と、呆れた風の妙齢の女性。そしてその二人の後ろからさらに高齢の男性がゆっくりと歩みを進めてきた。
「“見えていた”からな。魔法は封じられたが、この力は魔法とはまた別のものだ」
やせ細った男はにたりと笑い、さぁアルバスの元に行くとしよう、という。私はもう引退したのに、という女性が偽ムーディを縄で縛り上げ、男性のそばにいた魔法生物がそれを持ち上げる。
迷いなく歩く男性に二人は顔を見合わせ、肩をすくめると薬の効果がきれたクラウチJr.を連れて森を歩く。
「おっと、ピケット。ありがとう」
こつん、と当てられたものを手にした男性は落ちてしまっていた魔法の眼を受け取り、かつての宿敵の後を追いかけた。
テントに入るなりダンブルドアの隣でくつろぐ男に誰もが首を傾げ、老夫婦が連れてきたクラウチJr.に視線を移した。
「お前がグリンデルバルドか」
よくその老いぼれの近くでくつろげるな、と顔をしかめるヴォルの言葉にクラムはがたりと立ち上がり、ダンブルドアに寄りかかる男を睨みつける。だが、男は全く気にせず老夫婦も呆れたように見るだけだ。
「あ、もしかして、幻の動物とその生息地の著者であるスキャマンダーさんですか!?」
ポケットから魔法生物を覗かせる男性を見ていたハーマイオニーは驚いたように声を上げ、照れるな、と笑う男性と握手を交わす。落書きを書いたことのある教科書を思い出すロンはアクロマンチュラの星を増やしてほしい、と思わずスキャマンダーをみて隣の女性に視線を移す。女性はどこか誇らしげに静かに微笑んでいる。
「ダンブルドア、そろそろ僕らは戻るよ。サンダーバードの卵が孵りそうなんだ」
「おお、忙しい中護送とこのものの捕縛について手伝ってもらってすまなかったの。スキャマンダー夫人も感謝を」
さて、と笑うスキャマンダー夫妻にダンブルドアはありがとうと微笑み返し、夫妻と握手を交わすと二人はテントを出ていった。
ファッジは本当によかったのか、と頭を悩ませて部屋の隅に座り込んでいる。そういえば体調不良だという記事があったな、と考えるロンはニコニコと上機嫌なダンブルドアをみて、もしかしてこのことが原因なんじゃ、とくつろぐ元祖闇の魔法使いに視線を移した。
「私は魔法こそ使えなくなってはいるが精神は健康なのでな。予見の力もそのままだ」
アルバスに封じられている、というグリンデルバルドは興味なさそうにヴォルデモートを見て、ハリーにべったりなヴォルを見て、なるほど、とつぶやき紅茶を飲む。誰がいつ用意したんだ、というセドリックの心のツッコミに誰もこたえるものはいない。
マクゴナガルもスネイプも、誰もが頭を抱えわけがわからない、と同じ場所に集合している初代闇の魔法使いと2代目闇の魔法使いに思考が付いて行かない。
「こうなることは予測しておったので、わしから200m以上離れられない、魔法はわしが許可した範囲のみ使用可能。わしの命が尽きるときは共に命をいえる呪いをかけておく……この条件で身柄を引き受けたのじゃ」
「私がそこの男に対する抑止力というわけだ」
ニコニコと微笑むダンブルドアにグリンデルバルドはもう一度ヴォルデモートを見て、次いでハリーを見る。そしてヴォルを見て、何か思案するように顎元に手を置いた。
「つまーり、例のこのいと……ヴォルデモーがオグワーツに残ると。元のヴォルデモーであるその生徒はアリーと学生生活を送るわけですね」
混乱極まる、という風で思考を停止しているイギリス勢の様子は、まさにカオスの一言だ。マクシームは闇の帝王その1、その2とそれをまとめているハリーを順に見て、そして次はダンブルドアとグリンデルバルドを見て……ホグワーツから距離を置こうかと顔をしかめた。
元上司と、直接の関わり合いがなくとも先輩にあたる男と……しおしおになるカルカロフはもう役に立たない、とずいぶん前から見捨てていたクラムは祖父の敵であるグリンデルバルトを睨むも相手は心底どうでもいいという風で、暇になったのかダンブルドアをじっと見ている。
元死喰い人の校長といい、そのボスであったヴォルデモートであると自称する少年……しまいには最盛期の姿をした復活した闇の帝王といい……冗談じゃない、と少し離れる。
「噂程度には聞いていたが、その老いぼれとは……大分趣味が悪いようだな」
ダンブルドアとグリンデルバルドの距離感にヴォルデモートは顔をしかめ、ハリーを背後から抱き込む。ハリーの頭に顎を乗せるヴォルデモートにハリーが重い、と振り払おうとしてヴォルに握られた手をぶんぶんと振る。ついでとばかりに背後にいるヴォルデモートにあいていた手を握られ、んもう、と頬を膨らませた。
「これだから純粋な愛を知らぬ若造は。我々はお前と違い、下半身の欲望で相手を選んでいるわけではない。一目会った時からこいつだと、これが私の半身だと確信したのだ」
性欲の塊が、と鼻先で嗤うグリンデルバルドにヴォルがどこか得意げに腕を組む。
「ハリーが俺様の看病をしてくれたあの時、俺はハリーへの愛を自覚した。性欲はついでだ。ハリーがかわいい顔をしてしがみつ」
「そういう話はしない!」
俺様だって愛は知っている、とどこか大威張りな様子のヴォルの口をハリーが慌てて手で抑え、だめ、というがヴォルは悪びれた様子もなく、背後のヴォルデモートがそのあとをつぐ。
「ハリーの喜怒哀楽全てを愛しているのだから、それを引き出すのは俺様らの役割だ。それに、今は2人になったのだ。鏡で見るしかなかった、後ろから突いているときの顔を見ることができる。今まで見れなかった表情を見るためならば、くそ老いぼれの策に嵌るのもやぶさかではない」
ちょっと!?と振り向きたいハリーだが、あれもできる、これもできる、やりたいことが多すぎてテンションがハイなヴォルに口付けられて動けない。
本来歳を重ねてある程度落ち着いているだろうヴォルデモートだが、復活に使った記憶がヴォルのものだったために、ほぼ外見ヴォルデモートの中身ヴォルだ。まだ若干成長途中のヴォルと違って成長しきった体が嬉しいのか、どちらのテンションも最高潮だ。
|