箱庭の夢
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小鹿の夢を見た。
小鹿は元気に跳ねまわる。
それこそ崖でも何でも駆けまわって時折落ちてまた跳ねまわる。
その小鹿に大人しくなるよう、そう教えてほしいと言われて小鹿を捕まえた。
反発する小鹿を抑えつけ、痛みと共に飴を与え続けた。
突然の暴力に小鹿は驚き、呆然と自分を見上げる。
苛立って抑えつければ小鹿は小さな抵抗をするだけで…反抗的な目を向けるだけで何も言わない。
いや、何か言っていたような気もするが、わからないし、わかりたくもない。
無理やり組み敷いて喘がせた少年を見下ろすスネイプは、上気した白い肌を撫で上げた。
小鹿は跳ね回ってこそ小鹿だ。
大人同様になれと命令したところで誰が従うか。
もう15歳。
だけどまだ15歳。
閉心術にたけた自分とは違い、明るく跳ね回る元気な少年。
それこそ、あのジェームズに閉心術を覚えさせるようなものだ、とスネイプは苛立たし気に気絶した少年を穿つ。
そろそろ気絶したハリーの目を覚まさねば、と魔法薬を呼び寄せた。
使う前にと気絶する前の嬌声をリフレインさせて何度目になるか、欲望を吐き出して魔法薬をかがせる。
ゆっくりと目を覚ましたことを確認して、まだ治まらないどす黒い感情をその体に与え続けた。
小鹿の夢を見た。
呆然としながら群れへと戻った小鹿は時間になると再びやってきて警戒心むき出しににらみつけてくる。
先日よりも激しく反発する小鹿にさらに強い鞭と甘い飴を与えると、小鹿は抗いながら大人しくなる。
緑の瞳を持つ小鹿は、ほかの小鹿と戯れることが減り、じっとすることが多くなった。
ようやく大人しくなったと、無言で首を差し出す小鹿に満足げに頷いた。
開心の術をかけてもあまり見せなくなった子供にようやくの上達か、と当たり前になったように手を伸ばす。
だが、喘ぐハリーを見下ろしながらスネイプは違和感を覚えていた。
これほど彼は細かったのか。これほど肌の色は薄かったのか。
ふやけた瞳の奥はもう少し明るい緑ではなかったか。
大広間での食事中、スネイプは友人らとともにやってきた小鹿を見つめる。
座ってすぐに食べ始める友人と違ってすぐに動かない小鹿。
促されたのか、それとも何か聞かれたのか、のろのろと動き出す小鹿は機械的な動きで食事をとる。
楽しげに笑うなか、小鹿だけ静かに黙々と食べ続けている。
まるでそこだけ切り取ったかのような静けさで、そこだけ明かりをつけ忘れたかのように暗い。
まるでそこだけ人形が座っているかのように暗く、時が止まったように風すら動いていないように思えた。
戸惑う友人らに何も反応しないのか、小鹿は一人静寂の中にいた。
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