箱庭の夢
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この話にはスネ→ハリの描写があります。
また、一部ちょいっとグロ?な描写があります。
それでもOKであればどうぞお進みください。
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ハリーは夢を見ていた。
一匹の蛇が味見をするかのようにかみついてきた夢。
長い舌で肌をなぶり、痛みと快楽の狭間で締め付ける。
ぱちりと目を開けたハリーは夢を思い出しながら、現実に痛む体を叱咤して起き上がった。
ぎしぎしとうなる節をなだめながら起き上がると、今日は何の日だっけ、と唐突に疑問を浮かべる。
朝起きて、昼になって、夜になって、閉心術の練習をして…。
心を閉ざすことがどういうことかわからない練習。
小さいころの記憶に辟易しながらもどこか過去は過去だからとあきらめて、絶対に見られたくはないという意思とは別に冷めた自分がいることも分かっていた。
本当の意味での二度と思い出したくない記憶がない、経験したことさえないのだろう、とあざ笑うスネイプにうまく反論できず…。
過去の積み重ねを今更追加することもできないというスネイプは、今から簡単にできる“見られたくない記憶”をその身に覚えさせやろう、とギラリとした目でいわれ…逃げる間もなく引き倒された。
あっという間に制服をはぎ取られ、足を大きく開かれて暴かれた。
なぜヴォルデモートに利用されないためにこんなことをするんだと、押し付けられうつぶせにされながら漏れ出た喘ぎ声に邪魔され口の中で消える疑問にスネイプは答えない、
何度か達せられて力が抜け…ふと気が付けば視線の先に大きなガラスの容器があった。
それに反射して映るみだらな自分に言葉を失った。
映るハリーに気が付いたのか、スネイプはわざとガラスに映るハリーがよく見えるよう体勢を変えて、突き上げ続けた。
どうやって部屋に戻ったのか覚えてはいない。
誰にも言うことはできない。これがスネイプのもくろんでいたことかと、ぼんやり思いついた。
蛇の夢を見た。
蛇は引き倒したハリーの足元から大きな口を開けて、さもうまそうに右足を飲み込んでいた。
飲み込んだ先から足は消え、このまま全部食べられるのかなと、ただ見つめた。
「少しは上達した?ハリー。」
「ハリー、君顔色悪いよ。かぼちゃジュース飲むかい?」
朝起きて、朝食をとるハーマイオニーとロンはハリーの顔色を見るや大丈夫かと声をかける。
全然だよと首を振ると、呪文のせいで痛む頭と、それとは別の意味で痛む体に眉を寄せた。
大きく吐いたため息に、ハーマイオニーは仕方がないわ、と言いつつハリーのためのレッスンなんだから早くできるようにならないと、とそういう。
わかってるよと答えるハリーの顔色をうかがうハーマイオニーは、フォローするように、でも最近根を詰めすぎているんじゃないかしらと、そう返した。
心を閉ざすことがどういうことか、この二人はわかっていないと…そう思ってしまうことにハリーはうんざりとため息をこぼす。
早く心を閉ざすことを覚えれば解放されるのか…。
心は落ち着くのかな、とぼんやりと時間が流れ…また重い足取りで地下へと向かった。
上達が見られないと、そういいながら開心の術をかけながら押さえつけられ、心も体もぐちゃぐちゃに撹拌される。
どうして、と言えば心を閉ざす訓練だといわれ、なんで、と言えば心を閉ざすためだといわれ…。
この閉心術の訓練をといった本人はハリーとばったり会うと調子はどうかと聞いて、成果はないですと言うと逃げるように立ち去っていた。
唐突にあぁ、そうかとハリーは気が付いた。
この人たちは自分ではなく”生き残った男の子”が必要なだけで今の自分はいらないのだと、そう理解した。
蛇の夢を見た。
足を食べ終わった蛇はじっと見上げている。
動けないハリーに満足したのか、今度は手にかみついてきた。
そこにもう一匹の蛇が来た。
大きな蛇はするすると近寄ると俺様はお前を利用とするなど考えたこともないのに、とそう囁く。
僕はいらないのかと言えば、お前が俺様を欲するのならばそうではないだろう、と言われて目を細めた蛇に手を伸ばした。
気がつけば大きな蛇とともに大きな扉の前でまどろんでいた。
足も手もあるけどどうでもよくてなでられる感覚に没頭して安心して身を預ける。
あの蛇はどこに行ったのかそんなの知ったことじゃない。
この扉の締め方を教えてくれた赤い目の蛇がそばにいてくれるだけで何もいらないと、ハリーは眠った。
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