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「あら、外許可?」
「プレゼントか…ダンブルドア校長の知り合いなんだろう?こう、奇妙なグッズとか。」
聞きそびれた、とうなだれるハリーに仕方ないさ、と慰めるロン。
少し考える様子のハーマイオニーはもしかして、といたずらっぽく笑みを浮かべ、それじゃあハリーという。
「きっとダンブルドア先生の知り合いということはそれなりの年齢ね。その人への誕生日プレゼントということで、せっかくだから予行練習にしてみるのはどう?例のあの人に渡すつもりで考えるの。」
とにかく、支度をしなきゃ、というハリーにせっかくだしと提案する。
彼に…と考えるハリーはあげたら喜んでくれそうなものを考える。
誕生日を知りたいと思うばかりで肝心のことを忘れていた、と欲しそうなものを頭に浮かべる。
「あ、でも例のあの人だと何でも自分で手に入れそうだな…。」
ロンのつぶやきにごもっともです、と頷き考える…。
好き嫌いは特にはない。
甘いものがあまり好きじゃないとは言っていた。
服はあまり頓着していないのと、彼が身に着けるものであれば自分のセンスとか金額じゃとても満足できるものにはならない気がする。
「じゃあハリーが自分にリボンをつけて僕をとか?」
困った、とうなるハリーにハーマイオニーがぼそりとつぶやく。
ハーマイオニーの発言にロンは冗談じゃないよ、と目をむき、耳まで真っ赤になったハリーを見る。
「そっそんなことしたらもう僕帰ってこれないか、つぶされちゃうよ!」
そんな冗談通じるわけない、と顔を真っ赤にして両手で顔を隠す。
そりゃそうなるわね、とハーマイオニーはあきれるようにため息をつき、遠くを見つめるロンを見る。
「下手に考えすぎなくとも、いいんじゃないかな。一緒にいるだけでもうれしいと思うし…祝ってもらうってだけでも十分うれしいと思うよ。」
いつのまにかハリーの例のあの人に贈るプレゼントの話になっていることに気が付かず、ロンは家族全員に祝ってもらえるのが一番嬉しいと助言する。
そういうものかな、とハリーは初めてもらった12歳の誕生日、どんなにうれしかったことか。
そういえば境遇的にはヴォルデモートの育った環境も似たようなものだったなと思い出した。
明日のプレゼントは全然決まらなかったが、考えてもしょうがないと外泊の準備をする。
「それじゃあハリー、気を付けてね。」
ダンブルドアから一抱えほどの箱を受け取ったハリーに見送りに来たハーマイオニーが声をかける。
絶対に揺らしたり、斜めにしてはいけないと念を押された箱を座面に置き、窓から顔を出すハリーは年明けに、と返す。
「そうじゃハリー、帰りの切符はなくさないようにするんじゃぞ。」
よろしく頼む、とニコニコほほ笑むダンブルドアに大丈夫です、とハリーは切符を見せる。
急ぎで用意したため、指定の日付がない切符にハーマイオニーはあら?と思いダンブルドアの顔を見て納得したように笑い、手を振った。
ロンドンについた時には大分暗くなっており、ひとまずダイアゴン横丁に向かうハリーはダンブルドアの指定したちょっとこぎれいな宿へと入っていった。
箱は備え付けのテーブルの真ん中に置き、明日プレゼントを探しに行こうと眠りについた。
翌朝、宿を後にしたハリーはダイアゴン横丁でいろいろな店をのぞく。額の傷を見られると厄介だと、他の魔法使いに交じってフードを深くかぶり、何がいいかなと考える。
マグルだったらタイピンとか、いろいろ考えられるが魔法使いとなれば話は別だ。
うーんとうなるハリーはダイアゴン横丁でいい品が見つからず、着替えてロンドンへと繰り出してみる。
クリスマスも終わり、閑散とした様子にどうしたものかと雑貨屋に入った。
ふと、東洋の置物として花を模した木製の彫刻をみつけ、それを手に取る。
木の香りでのヒーリング効果を狙うものらしく、すっとした木のにおいにどこか落ち着き、ダンブルドアの知り合いならマグル製品でも喜ぶかもしれないと、ラッピングを頼むことにした。
ふと、思いのほか時間がかかってしまったとダイアゴン横丁へと戻るハリーは少し早めの夕食を取り、客人が来るのに備えて待っていた。
そういえばどんな人が来るのか、ダンブルドアから聞いていなかったとはたと気が付く。
何か持ってくればよかった、と暇をもてあそぶハリーはそういえば今日は歩きっぱなしだったとうとうとと船をこぎ始め、椅子にもたれて眠りの世界へと落ちていった。
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