貴方と祝う
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新年へ向けて今年中にやり残した事は無いかと、慌しくなるホグワーツ。
生徒にも教員にも同じ現象であるように、生徒は新年まで残したくない宿題を、教員は書類などの整理などを片付けていた。
「今年やり残したことね…。宿題は終わったし…。今借りている本を読み終わることかしら。あなた達はどう?」
今年というのも今日を入れて残り3日となったところで、慌しさが一時的にやみ、各々の確認作業が入った。
「ん~…。僕はそうだな…。百味ビーンズでトリュフが当たらない事かな?あ!フレッドとジョージにお金返してもらわないと!!」
ロンはそういうと、ちょうど談話室から出ようとしていた二人を呼びとめ、貸したお金を返すよう、求めに行ってしまった。
「ハリー、あなたは?」
「う~~ん。これといって…あっ、一つだけあった。付き合ってしばらく経ったのに、誕生日知らない…。」
ハリーの恋人について…ハーマイオニーとロンは聞いた当初あまりにも現実離れしすぎて驚きを通り越し…今ではハリーの言葉にも慣れてきた。
戻ってきたロンはどうにかお金を返してもらったらしく、あーよかったと兄らに背を向けて座る。
なんとなくそれを見ていたハリーは足早に去っていくフレッドたちをみてため息をつく。
「直接聞いてみればいいじゃない?」
別に他人の誕生日聞くわけじゃないんならあの人だって答えてくれるでしょ?と、小首をかしげるハーマイオニーにハリーは小さく首を振る。
「自分の父親を嫌っているんだよ?トム・リドルの血をひいて生まれた日のことなんか素直に教えてくれない…というか知っているかも怪しいし…。」
孤児院出身だというのは2年生のころのリドルの日記からの情報で、それはあのあとハーマイオニーたちにもリドルについてを話したとき一緒に話した。
ハリーの言葉にそういえばとハーマイオニーは本人に聞くのは難問ね、と頬に手を当て困っている親友を見る。
ハリーが何に悩んでいるのか聞いていたロンは知ってそうな人がいるじゃないか、とハリーの肩をたたいた。
「例のあの人のそういう情報、ダンブルドア先生なら知っているんじゃいのかな。」
「あぁ、それもそうね。一応ダンブルドア先生がまだ変身術を教えていた時の教え子で、例のあの人とリドルが同一人物だっていうのをすぐ見抜いたんだもの。もしかしたらマグル出身の子への説明にダンブルドア先生が行っているのかもしれないわ。」
最大の天敵なんだし、と茶化すようにニヤリとするロンにハーマイオニーもまたあり得るかもしれないわね、と笑う。
ダンブルドア、と聞いたハリーは本人に聞きづらいならそうすればよかったと笑い、少し考えるとうんと頷いた。
「でも急にヴォル…あの人の…しかも誕生日を教えてなんて…なんて聞こう。」
「敵の詳細を知るため…とかなんてどうかしら。」
ばれてないなら一応世間通りにしたらどう?というハーマイオニーにロンはニヤリと笑う。
「うっかりプレゼントをあげるためなんて言っちゃだめだぞハリー。」
「そっそんなうっかりしないよ!」
慌てて顔の前で手を振るハリーにハーマイオニーとロンは笑う。
じゃあ行ってくると席を立つハリーに二人は楽し気に手を振るとそろってでも相手があれって大変そうね、とおどけるように顔を見合わせた。
「おぉ、ハリー。まぁそこに座りなさい。今日はどうしたんじゃ?」
優しいまなざしで出迎えたダンブルドアにハリーはほっとすると促された椅子に座る。
「そうじゃ、ハリー。実は一つ頼まれごとを受けてほしいのじゃが…明日から3日間は空いておるかな。」
にこにことほほ笑むダンブルドアは折り入ってお願いがあるんじゃと切り出す。
先にお願いをされ、目をしばたかせるハリーは特に用事はないと返すとダンブルドアは笑みを深くした。
「明後日、ある荷物を届けてほしいのじゃ。あまり傾けたりするのはよくない品物でな、少々荒っぽいフクロウには頼めないんじゃよ。漏れ鍋とは別の宿になるのじゃが…おぉ、そうじゃ。その宿の名と番号を書いた紙を忘れるところじゃった。」
「わかりました。」
3日間といえば年越しをその宿で迎えることとなる。
紙を受け取ったハリーはなんだか新鮮だと宿への地図を眺めた。
「実はの、明日は待ち合わせる相手のめでたい日なのじゃが、届け物とは別に贈り物を用意したいと思っての。そこで一つプレゼントをハリーの目で決めてほしいのじゃ。歳は…まぁ気にしなくていいじゃろう。わしが直接会ってもいいんじゃが、相手があまりいい顔をしないのでの。」
にこにこと楽し気に話すダンブルドアにふいに彼の顔が思い浮かび、いやまさか、とハリーはわかりましたとうなづいた。
しかしダンブルドアと会うのを嫌がる人物というのと、少しノクターン横丁に近い宿が気にはなる。
「なんと、もうこんな時間じゃ。せっかく来てくれて悪いんじゃが出かけなければ。明日朝食後届け物とホグワーツ特急の切符をここで渡そう。相手との待ち合わせはそうじゃな…夕方にとは伝えておるのじゃが、もしかしたら夜遅くになるかもしれん。」
奇妙な時計を取り出したダンブルドアはこんな時間じゃ、と立ち上がり口早にハリーに明日受け取る時間を伝える。
え、と驚く間もなくダンブルドアに促され部屋を出たハリーは去っていくダンブルドアに聞く間もなかった、とため息を吐いた。
こうなったら来年、彼に直接聞こう。
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