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【トントン】
「入れ。」
 名すら聞かずにもハリーが来たことがわかっているのか、デスクに向かって作業をしているヴォルデモートはハリーを手招きした。
「忙しい?」
「いや。全く忙しいという事はない。ハリー、お前が来たと同時に仕事は終えた。」
 傍に来たハリーの手を引き、引き寄せると軽くキスをする。
「片付けは終わったんだね。」
 すっかりかたづいた部屋を見回すハリーは促されるままにソファーに腰を下ろす。
「魔法で片付けた。その際にナギニの寝床を誤って吹き飛ばして壊してしまったのだ。そのため昼間は機嫌が悪かったのだ。」
 今はもう機嫌が直ったというヴォルデモートが示す先を見ればナギニがすやすやと眠っていた。
 邪魔が入らないようにと、杖をふるい施錠するヴォルデモートは奥にと姿を消す。
「あ、そうだ。あんまり危険な罰則とか与えないでよ。フレッド達が何したのかわからないけど…。」
 ロンからの頼みを思い出すハリーはあの二人何したんだろう、と悪戯のないようを思い浮かべる。

 あの双子の悪戯か、とニヤリと笑うヴォルデモートはなかなか愉快だったぞ、という。
「自作の悪戯グッズであのようなことができると言うのはなかなかに興味深い。罰則は与えたが…その際あの双子が興味を覚えるような仕掛けをしておくつもりだ。意図さえ理解すれば…さらに面白いものが作れるだろう。」
 実に面白い奴らだ、というヴォルデモートは上機嫌に目を細め、ハリーに紅茶を出す。
 素直に受け取るハリーの隣に座ると、興味深げな眼を見つめる。
「どっどんな仕掛けがしてあったの?」
 そんなに興味を持つような仕掛け、とハリーは首をかしげた。
 クソ爆弾はありそうだし…呪いもありそうだが、ここまでヴォルデモートが興味を持つことになんだか気になる。
「そうだな…ハリー達が同じ洗礼を受けると…一週間は表に出てこられなくなるだろう。」
 おそらくは考えつく限り最高の仕掛けだったはずだ、というヴォルデモートになんとなくあの二人がやることを想像し、誰もが恐怖している中すごい勇気かも、と入れてくれた紅茶を飲む。

「でもよくあの二人がやったって気がついたね。」
 あの二人の事だからナギニにもばれないように匂いは消しているだろうし、というハリーの腰に手をまわしたヴォルデモートは薄い笑みを浮かべた。
「ハリー、俺様を誰だと思っている。あんな呪いなぞ、誰が唱えたかぐらいすぐわかる。大体、このホグワーツ内でその度胸があるのはあの双子ぐらいだろう。最後の仕掛けは少し時間がかかったが…それでも俺様の手を煩わせるものではない。」
「えっ…怪我とか大丈夫?」
 闇の帝王の手を煩わせる…そのことにけがはしていないのかと心配になるハリーはグラスを持つヴォルデモートの左手を見つめる。
「あの二人が何かたくらんでいるのは予想が付いていた。もっとも、不意打ちでも俺様に呪いが当たるわけがないのだがな。」
 あの2人がこちらに向かうことは予想していた、というヴォルデモートはグラスを置くと、ちょうどカップを置いたハリーを押し倒す。
 
 
  突然のしかかられ、押し倒されたハリーは覆いかぶさるヴォルデモートに顔を赤らめ、まって、と腕で押すが元々の体格の差もあり、徒労に終わる。
「だっだめだよ!明日も授業あるし…その…。」
 顔を真っ赤にしたハリーはずっと連絡がつかず久々ということもあり、嬉しくなる本心を何とか押しとどめ、だめだよと繰り返す。
「本気でいやならば全力で俺様から逃れるのだな。」
 押し返すハリーの手をものともせず、細い首に口づけるヴォルデモートはだめと言いつつ力が抜けるハリーに口角を上げた。
「久々の愛撫に肌が震えて喜んでいるようだが?」
「ちがっ…ぁあんっ」
 ささやかな喉仏をかむように口づけるヴォルデモートが笑いを含んだ声で伝えると、ハリーは小さく喘ぎ声を洩らした。
 それが合図になったかのように、まだ口先だけの拒否を唱える唇に自身のを重ねるヴォルデモートはハリーのワイシャツのボタンに手をかけ外していく。
 口づけですっかり力が抜けたハリーからシャツを取り払い、素早くズボンと下着を脱がせると、自身もローブを脱ぎすてた。
 久しぶりの逢瀬に体の熱が上がるハリーの足を開かせ、再び口づけようと距離を縮め…。
 
「久しぶりに会ったのじゃ。一緒にマダム・ロメスタの自家製蜂蜜酒でも飲まんかね?」
 ガチャリという音と共にダンブルドアの声が部屋に響き、驚いたヴォルデモートとハリーが上半身を起こす。
 確かに施錠したはずをこの爺、とこめかみをひくつかせるヴォルデモートは笑顔のダンブルドアを視線で射殺せんばかりに睨みつける。
 現実に引き戻されてまだ整理がつかないハリーは、ダンブルドアの後ろにいる先生方…のうち眉間にこれでもかとしわを寄せたスネイプとマクゴナガルと…順に目を合わせてしまい、互いに固まっていた。
 無理矢理集められたであろうフーチやフリットウィックなど教師陣はソファーにかけられたシャツとズボンに目を止め、その後ろで体を起こした、見える範囲である上半身裸の片や誰もが恐れる闇の帝王と、英雄をされている本校生徒(未成年)に目を止め、状況の整理に固まる。
「早く服を着て行こうではないかのう。それに早く着ないと風邪をひいてしまうと思うじゃが。」
 ほれ、早くしないと、と急かすダンブルドアに顔を真っ赤にしたハリーはあわててシャツを着て…ヴォルデモートも大きな舌打ちをしてから脱いだローブに腕を通す。
 マクゴナガルの怒鳴り声が飛び出るまで残り3秒。




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