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23:手紙
久しぶりに見るフクロウに、シリウスはまさかと立ち上がり、その手紙を受け取る。
「何が書いてある」
何だ、というムーディが立ち上がり、手紙をのぞき込む。そこにレトリバー……セドリックが現れ、二人をじっと見つめた。
「リトルテッドの両親を守って?どういうことだ?テッドとは……この間戦死したテッド=トンクスのことか?」
唸るムーディにシリウスはどういうことかと手紙を読んでいく。どうやらハリー達の脱出と共に逃げたらしいということにほっとして、リトルテッドとは?と首をかしげる。
「あぁ、様子はどうだった」
戻ってきていたレトリバーに気が付いたムーディが外の様子はと問いかける。顔が割れていないセドリックはマルフォイ邸にいた死喰い人らが闇の帝王によって拘束されているという話をした。
「なんでもハリーを取り逃したとか……」
「それなら今この手紙に書いてあった。無事、ハリエットも逃げだせたらしい」
だいぶ暴れたみたいで、と苦笑するレトリバーにムーディは満足げに笑い、シリウスもほっと息を吐く。
「あぁ、そうだ。ここに来る前にロムスルと会いまして……。息子が生まれたと。スナッフルズにも伝えてほしいという事でした。名前は先日亡くなった、トンクスの父に名をもらい、エドワード……テッドだそうです」
リーマスの家に生まれた赤子についてをつたえた瞬間、思わずという風に立ち上がったシリウスは反射的に握った羊皮紙を開いてくそっ、と吠えた。ムーディもまた顔をしかめ……対価は支払われたという。
「もう彼女を止めることはできないだろう。腹をくくれシリウス!彼女が生かしたわしらができることに専念するんだ!!」
目元を覆いうなだれるシリウスが落とした手紙をセドリックが拾い、ハッと息をのむ。わかっている、わかってはいるんだ、と頷くシリウスは大きく息を吐いて空を見る。きっと彼女が向かう先は……。あの野郎のいる場所だ、とダンブルドアの遺した手紙を思い返した。
信じたくはないし、憎しみなどをなくすことはできない。だが、シリウスには真実をとしたためられたダンブルドアとの関係に唸るしかできない。
「リリー。君は……許せるというのか?」
いつまでも表面しか見ていない自分を……彼女は子供だと言いはなつだろうか。奴の真相に触れた彼女がどう思うのか。ハリエットを見ていればわかる気がして、拳を握り締める。
静かなノックの音ともに数人の足音が聞こえ、ムーディが無言でシリウスの背を叩く。そうだ、しゃんとしなければならない。杖を手に立ち上がり、扉を開いた。
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