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☆12:心と理性は混沌に満ちて
がたがたと古い作業台が音を立て、ヘンリーは必死に嬌声を縛られたままの手で抑える。そうなると体を固定することができず、突き上げられるたびに体が動き、止めることができない。
着たままの上着に熱がこもり、汗が流れていく。足はスネイプにしっかり抱え込まれて動かすことができない。本来受け入れる場所をヘンリーの姿のまま突かれるハリエットは目の前にちかちかと光が飛び、がくがくと体を震わせた。
ぐっと押さえつけられると体の奥で弾ける熱を感じ、ハリエットの体は再び絶頂に押し上げられ、震えだす。そのまま動きを再開させたスネイプに待って、と懇願しようとして嬌声が上がりそうになって慌てて言葉を飲み込む。
愛している。
全身が震えるほどに自覚して、ハリエットは絶対に彼を死なせない、と快楽と共に涙を流した。
最低限の脱衣で済ませたスネイプは何度も深く彼女を穿つ。こんなことをしている時間はないことはわかっている。だが、久々に触れたハリエットに歯止めが効かない。
愛している。
全身が彼女を求め止まらない。彼女を信じると、そう約束したはずなのに、なぜこうも疑ってしまうのか。
赤い髪がヘンリーの頬に張り付き、色香を匂わす。その様子に狂暴なまでの熱が再び熱を吐き出すと急いで自身を抜き取り、息を整えるヘンリーを抱きしめた。深く口付けてから離れるスネイプは作業台に押し倒したヘンリーを見下ろす。ズボンだけを脱がせた姿は卑猥で、思わず目を細める。
手を解放させて抱き起せば、白い肌を白濁したものが流れていく。杖を振ってきれいにするとまっすぐ立っていられないヘンリーを抱きかかえたまま、再び杖を振って身なりを整えた。
夕食後、顔をのぞかせたヘンリーを抱きしめ口づける。昼間に彼女の体を求めてしまったにもかかわらず、抱きしめるスネイプは避妊用の魔法薬を手に取り……ハッとしたようにヘンリーを見下ろした。嫌な汗が背を伝い、眉間を抑える。抱きしめたスネイプが困っている風に見え、ヘンリーはどうしたのかと首を傾げた。
どうしたのかと考えるヘンリーだが、何かあったのか程度で気にせず、スネイプの胸に耳を当てると目を閉じる。終わりが見えている今、スネイプと共に過ごせる時間は貴重で……この先もしかしたらないかもしれない。そう思うと少しの時間も惜しくて、自らスネイプに口付けた。
少し背伸びして頬に手を置いて、自分からスネイプの舌に絡みつくハリエットに火が付く。彼女を持ち上げ、寝室に連れ込むと口づけを深くしながら制服を脱がしていった。頬を染め恥じらうヘンリーにかまわず首元に口付け、ほとんど平らな胸に赤い印を刻む。
ハリエットの胸がないのだけが残念だが、喘ぐ声をどうにかしようとふるふると震えるヘンリーの赤い髪を見上げる。今抱いているのはヘンリーだ。リリーではない。わかってはいる。わかってはいるのだが……。
足を開かせて秘所をなぞればヘンリーの体が震えて、なぞったスネイプの指を濡らす。甘い芳香に誘われるように顔をうずめると蜜をなめとった。
「ひゃっ!あ、だ、んっ!!ぁあ吸っちゃあ、ぁん、そこいじっちゃ」
突然の刺激にされるがままのヘンリーは体を起こすが、すぐに寝台に倒れてしまう。せめてもの抵抗にスネイプの髪を抑えるがふっと笑うスネイプに抑えたいのかそれとももっとしてほしいと無意識に押し付けようとしているのか。
訳が分からないハリエットにスネイプは満足げにさらに深く蜜を求めていく。強い刺激に必死になるハリエットを抑えていけば、ハリエットの焦ったような声が聞こえてスネイプは口角を上げると、薬の影響で作られた偽の陰部に隠れた少女本来の陰核に触れ、きゅっと軽くつまんで押しつぶす。
「ふぇっあぁ……」
刺激に耐え切れず、消え入りそうな嬌声をあげたハリエットはこれ以上ないほどに羞恥に顔を赤く染め……涙目でスネイプを見つめる。手で受け止めたらしいスネイプが気持ちよかったのかね?と楽しげに笑う。
「だめっ、て言ったのに」
粗相をしてしまったみたいで恥ずかしいのに、と膨れるヘンリーにスネイプは悪びれた様子もなく、抱きしめて機嫌を取るように首筋をぺろりと舐めあげた。
「恥じらう君が可愛くてついいじめたくなった」
嘘偽りのない言葉にハリエットはぷいっと顔を背けながらスネイプの頭を胸に抱きこむ。
ピクンと体が震えると抑えられていた胸が膨らみ、スネイプを抱きしめていたハリエットはあわあわと焦る。スネイプを胸に押し付ける状態になってしまったハリエットはスネイプの口角が上がったことを肌で感じ、慌てて手を放そうとして秘部への刺激に反射的にスネイプの頭を抱きしめた。ちろりと胸を舐められればその刺激で力が抜け……再び秘部を刺激されてすがるように抱きしめる。
「だいぶ育ってきたようだな」
何を、と言わないスネイプにハリエットは体全体を赤く染め、見上げてくるスネイプを見つめた。緑色の瞳に誘われるように顔を上げたスネイプはハリエットの唇を塞ぎ、シーツに縫い付ける。恥じらう姿はやはり愛しい彼女で……スネイプはハリエットの秘部に、昼間に散らしたその場所に、熱塊を突き入れた。
一度入られてしまうと制御できなくなるハリエットは、嬌声を上げてスネイプにしがみつく。何度も打ち付けるスネイプとハリエットは目が合うと自然と口づけを交わし、さらに燃えあがった。互いの中に見える不安をかき消すように、スネイプはハリエットを抱き上げると向かい合い、深く短いストロークで小刻みに最奥を突いてく。細い喉をそらし、快楽に喘ぐハリエットの首元を咥え、痕を残す代わりに舐めあげる。
夏の距離感で乾いた魂を潤すかのように、スネイプはハリエットを抱きしめた。喜ぶハリエットに満足し……彼女を悲しませた分だと言わんばかりに、彼女を快楽の沼に引きずり込んで穿つ。耳にしみる彼女の喘ぐ声がだんだんと擦れ……がくんと力を抜いたころ、スネイプもまた流れる汗をぬぐい、彼女を抱きしめたまま横になる。
まさか昼間に己が暴走した挙句避妊処理をし忘れたなど、本当に疲れているな、と自嘲して愛しい彼女を抱きしめて目を閉じる。朝に念入りに彼女を洗い流しておかなければ、と久しぶりの安眠の気配に身を任せた。
スネイプが減欲剤を昼も夜も飲み忘れたことに気が付くのは、ハリエットの擦れ切った声を聞いた翌朝のことだった。
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