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☆45:手中の白い花

 ドレスを脱ぐとコルセット調の下着が現れ、ハリエットは恥じらいながらスネイプを見上げる。スネイプは吸い寄せられるように鎖骨に口付け、細い喉をたどるように食む。たくさん躍ったおかげか、汗をかいていたハリエットはスネイプの舌が喉元を舐めあげることに顔を赤く染めた。

「今夜は楽しめたかね?」
 ハリエットが汗をかいているのに気が付いたのか、スネイプは低い声で問いかける。悪戯な手が胸を覆う下着を脱がせ、柔らかな双丘に指を沈めた。ピクンと震えるハリエットはまだそれだけの刺激なのに高い声が出そうになって、こくこくと頷くしかできない。

「そうか、それはよかった。最初の一曲は見ていたが……大広間で踊る君もとてもきれいだった」
 双子の片割れと同じ色の服を身にまとい、軽やかに踊るハリエットは本当に美しかった、とスネイプは胸元に印を刻みながら心の内でつぶやく。14歳のはずがとても大人びて見えて、女性ならではの成熟の速さに、どこか焦燥感を覚えた。人の目があるために踏みとどまり、イゴールが何やら話があると言っていて……これ以上は目に毒だと応じる形で外へと出た。

 中庭にはダンブルドアが星の妖精のエスコートをと言っていて……そして彼女がいるのを見た。なぜスズランが彼女の呪いともいうべきものの姿をしているかわからない。だが、白い花を髪に散らし、深い緑色のドレスに身を包んだ姿はマグルの童話などに出てくるような、スズランの妖精という言葉かしっくりくるような姿だった。

 そしてそんな彼女は今、自分の手によって一枚一枚の葉を剥かれ、白い肌を晒している。その事実に喉が渇き、柔らかな双丘を吸い上げる。先についた果実は指で触れば芯を持ち、舐めればどこか甘い気がする。丹念にもみ、弾いてこねて、舐めて甘く噛む。これだけでハリエットの体は跳ね上がり、なまめかしく身をよじる。

 これまで何度も行ってきた、本来交わるべきではない場所や、疑似的な性交のおかげでどこがハリエットの弱い部分かは目をつぶってでもわかる。ただ、まだわからない場所が一つある。
 指を濡らそうと思い、その手を口に運ぼうとして、ハリエットを見るとショーツへと伸ばす。ついっと下着越しに撫で上げるとハリエットの足が跳ね、とっさにスネイプの腕を足で挟んだ。

「あっ!そこ、や、、、ぁっ!そこ、こすっちゃ」
 ダメと首を振るハリエットに構わず、挟み込まれても動く指先でハリエットのショーツを何度も撫でた。湿り気を帯び指先に滑りを感じるスネイプは顔を真っ赤にして喘ぐハリエットを見つめると、なだめるように口づける。
 すがるようにスネイプに腕を回し、口づけに浸るハリエットは口づけの音なのか、それとも自分の下部から聞こえる音なのか、判別のつかない水音に腰が跳ねあがる。


 上気した顔でスネイプを見つめるハリエットを見つめ返し、ショーツに手をかけた。ゆっくりと下げると、まだ男を知らないそこはすっかり準備のできた様子でとろりと蜜がショーツを追いかける。一糸まとわないハリエットを見下ろすスネイプはその体を抱こうとして、自らが未だローブをまとっていることを思い出し、煩わしそうに服を脱ぐ。
 その際、左腕にちらりと視線を送るが、脱力していたはずのハリエットがそっと手を添えたことに目を細ませた。
 下着も脱いで放るとハリエットの濡れぼそった其処に指を沈めていく。浅く入り口をほぐすスネイプにハリエットは甘く甲高い声を上げ、快感に身をゆだねる。

「ハリエット」
 視線を絡め、名を呼ぶスネイプにハリエットは両手を伸ばして覆いかぶさるその体を抱き寄せる。
「先生」
 快楽にうるんだ瞳でスネイプを見つめるハリエットは何かを言おうとして言葉を飲み込み、とろけた顔で微笑みかけた。それで最後の迷いを断ち切るスネイプはハリエットの細い足を掬い上げると大きく開いて腰を抱き込む。ひくひくと蠢く男を知らない秘部に暴走しそうな熱塊を、理性を総動員して少しずつ進めていく。

 ぴくんと体を震わせるハリエットに動きを止めるスネイプだが、もう引くことはできない、と彼女に負担を掛けないよう働きかけるにするのが精いっぱいで、これ以上はと理性が悲鳴を上げる。
 痛みを和らげるために頭を撫で、唇を重ねて額を突き合わせる。もう止まれない、と少しずつ進めるスネイプにハリエットは耐えながらも愛おし気にスネイプを見上げた。

 見つめあい、口づけを交わし、互いに夢中になるとスネイプの腰とハリエットの腰が触れ合う。華奢なハリエットにすべて収まったのか、と力を抜くスネイプは侵入者をきつく締め付けるそこに彼女の痛みを間接的ではあるが感じた気がしてハリエットを抱きしめた。
 徐々になじんだのか、力が抜けてくるとスネイプは体を起こしてゆっくりと動き出す。


 初めてスネイプを迎えたそこは想像したことのない種類の痛みを伴い、その感覚にどう耐えればいいかわからず必死にスネイプに手を伸ばす。抱き返してくれたスネイプと口付け、額を突き合わせ……甘い空気に浸っているといつの間にか体が密着し、体の奥の圧迫感にため息をこぼす。

とうとうスネイプと繋がった。繋がれた。

 その幸福感に思わず涙がこぼれ、抱きしめるスネイプに顔を摺り寄せる。始まった抽挿に後ろの蕾を使っていた時のように息を合わせ、今まで以上の快感に身をゆだねた。
 言葉にならない喘ぎ声は自分でも抑えることができず、揺すられるままに、湧き出る感情のままに途切れ途切れの音があふれ出る。ハリー=ポッターとして生きた自分が女性として生まれて、こんなにも幸せになることがあるなんて思いもしなかった。

愛している。愛してしまった。絶対に助けたい。一緒に歳を取りたい。一緒に……。

 スネイプを助けたい。こんなに愛してしまった。先生を助けて一緒に生きたい。先生に幸せになってほしい。想いがあふれてたまらず足をスネイプにからめる。もっともっと求めてほしい。たくさん、たくさん抱いてほしい。一層激しくなった動きにぎゅっと抱き着くと、ハリエット、と聞いたことのないほどの熱を持った声で呼ばれる。
 最奥ではなく、腹の中に熱が広がり、ハリエットはスネイプにしがみつく。

「先生、大好き」
 気遣う様子のスネイプにハリエットはこれ以上ないほどに幸せに微笑む。何か言葉を飲み込むスネイプはハリエットに口づけた。


 さすがに中に出すのは、と擦り切れた理性が囁く声にスネイプは抜き出そうとして、ハリエットの足が阻むことにじっと見降ろした。無意識なのだろう、腰をスネイプに押し付け、動きに合わせようとする姿に体の奥が熱くなり、加減ができずに強く打ち付ける。

「あっ、ぁん、好き、すきっん!ぁ!」
 揺すれば揺するほどに甲高い声があふれ、何度も好きを繰り返す。あぁハリエット。愛している。愛している。これ以上ないほどに……愛しているんだ。スネイプは言葉に出す代わりに何度も打ち付け、愛おしい少女の腰を強くつかむ。
 おそらくは大丈夫だろう、そう思いつつ、もしできるのであれば……このまま孕んでしまえ。そう本能が思考を埋め尽くす。そんなことはもちろんさせるなんて論外だが、それほどまでに彼女を愛している。

 幸せそうなハリエットに全身の細胞が震え、と尽きない欲望にハリエットをかき抱く。どれほど経ったか……くたりと眠りにつくハリエットを見下ろした。ポッターと同じ顔なのに眠った姿はどこかリリーに似ている。頬を撫でるとハリエットはその手に顔を摺り寄せるように顔を寄せ、嬉しそうに微笑んだ。

 やっと彼女を手に入れることができた。

 そう思って回復薬を呼び寄せ一気にあおる。幾分回復した体でハリエットを抱き上げ、その体を清めに行く。あとで念のために避妊用の薬を飲ませたほうがいいだろう、とガウンを着せて抱き込む。

“リリー。許してくれ。もう彼女を手放したくない”
“リリー。君を愛している。それは変わらない。けれども、僕は彼女を愛している”
“もう、手の届かない君じゃなく、君の娘を”

 この闇にまみれた自分を、君と違って愛してくれる、彼女が……彼女を僕は愛している。






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