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41:期末テスト
さっさと意識を試験に切り替えたスリザリン生は、学年で優秀な成績を納めようと黙々と勉強を開始する。そのなかにヘンリーもいて、苦手な筆記テストに向けて教科書を見つめていた。
魔法薬学のテストは何だったっけ、と考えるもそんな些細なこと思い出せるはずがない。それに、決勝戦の日しびれを切らしたスネイプに連れていかれ、それはそれはえらい目にあったというのを思い出してしまい集中できない。
あの日、スネイプはハリエットの手を自分の首に回すよう言い……抱きつくような格好で腕を縛られた。驚いている間に愛撫され、いつの間にかズボンが脱がされて前もはだけられて。
喘ぐしかないハリエットはそのまま何度も絶頂に追い込まれた。足が震えて立てなくなっても腕が固定されているために離すことができず……指で恥部と後ろを刺激されて喘ぎ続けるしかなかった。
足の力が抜けると指が奥に入り込み、疼きを与えるため必死に足に力を込めた。
寝台に転がされてもなお、腕は縛られたままで……スネイプの耳元で散々喘ぎ声をあげた。いつ腕が解放されたとか、後ろに彼を向かえたとか……もうすっかりわからなくなって目が覚めたら朝だった。腰のだるさに落ち着かず、寝台から脱出しようとして再び引き摺りこまれた。
何がそんなに怒る原因になったのか……やはりすぐ部屋に行くべきだったか、と未だに答えはわからない。
なんとか朝食の前に大広間に行くことができたが、その日は一日下半身が痛みを訴えており、寮に戻ってからは自室にこもることとなった。
談話室の人が少なくなったタイミングを見計らうようにやってきたスネイプが様子を見に来て……思わず昨日はどうして怒っていたんですかと聞いてしまった。だがスネイプは無言で自分を抱きしめるだけにして、答えてはくれなかった。
やれやれ、とため息をつきヘンリーは部屋に戻ると10年計画帳を開いた。そこには試験最終日にシリウスと会うということが記載されている。すなわちピーターがまた逃げる日。
彼は確実に逃がさねばならない。それと同時に、スネイプを守らねば。
何とかこうにか試験をクリアし……変身術はさすがにマクゴナガルも、文句の付けようがない満点の亀にすることで何とかなった。スネイプの試験も個人授業の買いもあって問題ない仕上がりだった。
最後の試験を終えると、ヘンリーは闇の魔術に対する防衛術の扉が見えるところに身を潜ませた。時間にしてどれほどたったか。突然扉が開き、ルーピンが走り去っていく。
さらに待っていると、スネイプが現れ、ヘンリーは教室に入ろうとするスネイプのもとに駆け寄った。
「彼はいません」
そう言って先に入り、施錠し忘れたと思われる教授室の扉を開く。そのまま机に置かれた羊皮紙を、忍びの地図をスネイプへと向けた、
「これは未来に干渉するようなことじゃないです。今まさに起きていることです」
だから、呪いは大丈夫というヘンリーに脱狼薬を持ってきたスネイプは舌打ちをする。もう今から服用しても意味がない、とゴブレットを机に置いて扉に手をかけた。
すぐそばにいるヘンリーに目を向けるも、地図に本名が載っていたヘンリーは硬い表情でじっとスネイプを見返すだけだ。その眼はついていくと言っている。
「君は……」
「お願いします。行かせてください。呪いに触れることは一切しませんから」
話さねばならない人がいる、というヘンリーにスネイプは迷うようにしつつ、時間がないことに仕方あるまいとうなずいた。
城から出るところで暴れ柳が再び動き出す。もう彼らは中へ入ったのだ。柳のそばに落ちていた透明マントを拾い、ルーピンが置いて行った長い棒で動きを止める。
「スネイプ先生。これから何があっても、何を見ても、透明マントから出ずじっとしていてもらえますでしょうか」
中に入ろうとしたところでヘンリーが、薬の効果が切れたハリエットがお願いしますという。だがこれから先いるのはあの危険極まりない男だ。
悪いができない、と首を振るとスネイプの手を握ってハリエットはわかりました、と意外なほど素直に引き下がった。そのことに首を傾げつつも、叫び屋敷に入ると二人でマントをかぶり、役者が全員揃った寝室へとはいった。
「」
何かをつぶやくハリエットに目を向けようとしたスネイプは全身が動かないことに目を見張る。唯一自由に動く目でハリエットを見るが、彼女はどこか緊張した面持ちでルーピンとシリウスの言葉に耳を傾けていた。
シリウスが裏切り者ではないこと。守り人は死んだはずのピーターだということ。ルーピンもまたそれを今知った……あの地図の製作者の一人であるという話だ。
冗談ではないと怒りを煮えたぎらせるが、どんなに動こうとしてもハリエットのかけた魔法が解けない。いったい何をかけたのか……全くの未知の魔法に思わずその横顔を見つめる。
ロンのペット、スキャバーズがピーターという話まで来るとハリエットは祈るように手を組み合わせ、額をつけると顔を上げて杖を手に握りしめた。
「シリウスとリーマスが言っていることは本当よ、ロン。それはネズミのふりをしたアニメーガスで間違いないんだ」
マントからするりと一人抜け出すハリエットに全員の視線が集中する。いったい何をするつもりだ、とスネイプは抵抗を忘れて、頼りないほどに細い背中を見つめた。
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