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☆33:半信半疑の眉唾話

 夕食後、ヘンリーは新しい魔法薬のストックをもらうためスネイプの部屋を訪れた。脱狼薬を煎じていたらしいスネイプに促され、ソファーに腰を下ろすと差し出されたクッキーを頬張る。

「魔法薬については明日から本格的に作るとしよう」
 明日はこれを飲みたまえ、と渡された魔法薬をヘンリーはポケットに入れる。新しい魔法薬は本当に難しくて、レシピを見て勉強しているものの作れる気がしない。
 ため息をついていると脱狼薬が出来上がったスネイプが鍋から離れ、ヘンリーの隣に腰を下ろした。

「それと、まだ試作段階ではあるのだが……。今の所動物実験でも問題は起きてはいない」
 そう言って取り出された白い魔法薬を受け取り、ヘンリーはスネイプを見つめる。飲んでも大丈夫だというのに頷いて飲んでみるとツーンとした匂いの後に甘い香りが漂い、ヘンリーは顔をしかめた。

「これ何の魔法薬なんですか?」
「東洋のスパイスにも使われているワサビと言うものを入れた魔法薬の解除薬だ。魔法薬は本来ない事象を引き起こす。それを偽りと仮定し、それから目覚めるという意味合いで作ったのだが……これは保管することができない故、まだ改良途中になる」
 効果は無事発揮されたようだな、と見つめるスネイプにヘンリーは目をしばたたかせ、髪を手に掴んだ。

「あ、本当だ。まだ効果時間あったのに。これならヘンリーに戻りたい急ぎの時に使えますね」
 すごい、と目を輝かせるハリエットにスネイプは口角を上げ、抱き寄せる。そのまま魅かれるように唇を合わせ、やがてそれも深くなる。
 そのまま押し倒さずに済んだのは、ハロウィン後に無防備なネグリジェ姿で眠る恋人を何日も抱きしめるだけで過ごしたおかげで、鍛え直された理性の壁のおかげ出ることをハリエットは知らない。


 ようやく自分も落ち着けるようになった、と自賛するスネイプは座り直したハリエットを見て、紅茶を口に含んだ。ジーッと自分の胸元を見るハリエットに嫌な予感がし、カップを置く。

「先生、夏に魔法薬を使わずに胸を大きくする方法で揉んでもらったけど、あれから大きくなったかわからなくて。変わっています?」
 自分じゃわからなくて、というハリエットにスネイプは身構え損ねてじろりと恋人を見た。あれからハリエットの姿はこうして彼女が起きているときには見ていない。
 いや、看病中は見ていたが、そういうことではない。
 これだからこの子は、と頭を抱え……こちらに来るようにと手招きをする。

「触りもせずに確かめろと言うのかね?」
 少し警戒する風のハリエットに告げれば、顔を赤らめながらもそういうものかな、と促されるままに座ったスネイプをまたぎ、向かい合わせで座る。
 服の上から触るスネイプの手にピクンと体を震わせ、倒れないようにスネイプの方に両手を置いた。
 せっかく理性の壁が硬くなったと、厚くなったと思ったとたんにそれ以上の破壊力でそれを壊しに来る。そう思って服越しに形を確かめ、ツンと立ち上がった果実を軽くつまむ。

「この体制では少しわかりづらいな……。背を向けて座りたまえ」
 後ろからのほうが分かる、と言うスネイプに快楽で緑の瞳が潤むハリエットは抵抗もせず、持ち上げられ、そのまま背を預けるように下ろされた。
「そのまま腕を私の頭を掴む様に回して……そう、いい子だハリエット。そうだな……少し大きくなっているか」
 あの日のように両手を上げさせると、脇から延ばした手で柔らかな双丘を掴む。日々健康的な食事と運動と、睡眠。それを取っているのだから体の成長があることは当然なわけで……。
 そもそも、この体制は彼女の行動を制限するだけで、どちらかと言うと胸元に力が入って小さく見える逆効果なものだ。それなのに素直に従うハリエットが愛おしく、スネイプは騙される彼女を抱きしめた。
 彼女から全幅信頼を受けていることに優越感を覚え、ほんの少しの罪悪感を覚える。首の後ろを甘く噛めばハリエットは身を仰け反らし、艶めかしく体をよじる。
 彼女が、彼女が欲しい。そう考えるスネイプははたと気が付き、両手がふさがっている状況に少し考える。

 今日は減欲剤を飲んでいない。その証拠に彼女の小ぶりなお尻の溝に硬くたぎったものが添えられ、彼女を刺激していた。ハロウィン後の大失態が頭をよぎり、アクシオと無言呪文を使う。
 ただ、減欲剤の欠点として一度たぎってしまったものをすぐ抑えることはできない。となれば一度出してしまえばいい、と薬を手短のところに置いて服越しに強くこすりつける。

 甘く甲高く喘ぐハリエットに胸を揉むのではなく脇をもって強く揺さぶり、ハリエットをローテーブルに押し倒す。そのまま思うがままに腰を打ち付けて服の中に欲望を吐き出した。
 ハリエットもまた体を振るわせて力が抜けた手で机に縋る。お互いに衣服の乱れなく戯れていたことにスネイプは何も言わず、ただハリエットを背中越しに抱きしめた。
 荒い息を吐くハリエットを抱き起し、服を脱がす。自身も服を脱ぎ捨てると汚れた服を杖で清め、足に力の入っていないハリエットをバスルームへと運んだ。
 バスタブに身を沈めながら口づけ合うと、減欲剤を飲み損ねたスネイプの気が済むまで……彼女の胸へのマッサージを再開させるのであった。


 結局のぼせたハリエットを抱き上げ、スネイプはどうするかと考える。とりあえず今日は戻ったほうがいいかもしれない、とスネイプはきっちりといつもの服に身を包み、ローブをかぶせただけのハリエットを抱き上げた。
 ヘンリーの他に一人しかいないスリザリン寮だが、もともと協調性のなく、一人で部屋にこもりがちな5年生の生徒は思った通り談話室にはいない。
 そのままハリエットを彼女の部屋に運び、被せていただけのローブを脱がせ、ふわふわのガウンを着せて横にする。
 散々喘がせたせいですでに眠っているハリエットの額に口づけて毛布を掛けた。空き瓶が散らかっている机を杖で整え、棚に薬を補充する。
 立ち去ろうとして、もう一度ハリエットの傍に来ると薄く開いた唇に唇を何度かに分けて重ねる。ふと、視線を感じてヘッドヘッドに目をやればじっとスネイプを監視する自分の写真がいて……スネイプはハリエットに視線を移して口角を上げた。
 すやすやと眠る恋人に、恋人の特権とばかりにハリエットの胸元に赤い印を残す。揉んで大きくなるなんて眉唾物だというのに、なぜか自分が育てたこの双丘を誰にも渡したくない、と言う独占欲が芽生えスネイプはもう一つと、赤い印を果実のすぐ近くに残した。

 翌朝、自分の姿と胸に残された二つの赤い印にハリエットは驚き、顔を真っ赤にした。夕食後、まだレシピを見るだけだった魔法薬について相談しに行き……首筋に痕を残されて再び顔を赤く染め上げた。
 そんな風に顔を赤くしたままスネイプに抗議した結果……翌朝までスネイプとともに過ごすこととなったのだった。






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