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☆19:やっぱり自ら鍋に飛び込む兎

 ぐるん、と視点が回転したヘンリーは背中に柔らかな感触を受けて目をぱちぱちとさせた。
「寝室に逃げ込んだあげく全く逃げ場のないクローゼットに隠れるなど……。その上、上目遣いでこちらを誘惑するなど、本当に悪い子だヘンリー」
 寝台に押し倒されていることに気が付いたのは、あっという間にセーターを脱がされ、上半身の身ぐるみをはがされた時だ。
 え?え?と戸惑っている間に首筋から鎖骨にかけてちりっとした痛みが痕を残していく。平らな胸への刺激と残される痕に熱が上がり、鼓動が耳元でうるさいぐらいに鳴り響き、スネイプの手に身をゆだねた。
 力を抜いたヘンリーに出そうになるため息を飲み込み、胸に赤く色づく実を食む。身体をよじらせ、快楽に身をゆだねているヘンリーのズボンと下着を足の半ばまでずらす。
 膝を固定されたヘンリーは戻った記憶から何をするのかわかったのか、ヘーゼルの眼をふやけさせた。ヘンリーの足を抱えるスネイプは露になっている太腿に口づけ、内側に痕を残す。

「男性同士の場合後ろのここを使うのだが、今はまだこちらを……」
 本来あるはずの器官は薬の効果で隠されている。だから、とスネイプは最奥の蕾を指でなぞった。きゅっと窄まる蕾にスネイプは熱が集まるのを自覚し、前を寛げる。そのまま最奥ではなく閉じた内股に差し込むと昂る感情のまま打ち付けた。
 ヘンリーの柔らかな太腿とスネイプの腰が当たる度に乾いた音が響き、それに混じる様に水音が少しずつ増えていく。

「はげし、あっ!ぁ、激し、ひぁ!」
 ヘンリーの仮初物が反応していないのを気が付いていないのか、それとも忘れているのか。擦りあげていても反応しないが、それでも熱を持った気がして思いのまま打ち付ける。

「やっ、またあがっちゃ、イっちゃ、ぁあ!」
 鼻にかかったような甘い声が聞こえ、体が大きく波打つ。きゅっとしまった足に強く挟まれ、その圧迫感に熱いものがスネイプのものが放たれた。
 思いのほか強く打ち付けたのか、太腿から覗かせたものから迸りがヘンリーの胸を、喉を濡らす。荒い息をはくヘンリーの身体は少女としては強すぎる快感だったのか、未だにびくびくと震えて高みに上ってから下りられずにいた。
 何が胸を濡らしたのか、と言う風に恍惚とした様子のヘンリーは指で掬って、目の前にもっていく。ぎゅうぎゅうと内股を強く締め付けるヘンリーにあてられ、硬さを取り戻したスネイプは敏感になっているヘンリーを気遣うのと息を整えるためにじっとその動きを見ていた。
 が、ヘンリーがためらいもなくその指を口に含んだことでもはや形も保っていなかったストッパーが飛んでいった。ヘンリーをうつぶせにして腰を高くすると、閉じた足の間に再び差し込み、後ろから覆いかぶさるようにして腰を打ち付ける。隠された本来の性器ごと仮初のものが擦られ、ヘンリーの身体ががくがくと震える。

 何がこれほどまでにスネイプを激しくさせたのかわからないヘンリーは絶頂して敏感になった体が落ち着くことなく再びイき、そしてまた更に敏感になり……と始終打ち上げられ続け、息も絶え絶えに甲高く喘ぎ声をあげた。
 まるで本当に体を繋げたかのように内股はスネイプの物が滴り、仮初の物は吐き出されたものを受けてまるで男に戻ったような錯覚を覚えさせる。
 背中にのしかかる重みがより一層スネイプに抱かれていると錯覚させ、ヘンリーは言いようのない下腹部の疼きに体を震わせた。未熟な性が、隠されている性が、スネイプを欲する。
 もし今ハリエットの姿だったら、と一瞬よぎったヘンリーは激しい快楽の波にのまれて全身を弛緩させた。行き過ぎた快楽が体の中をぐるぐるとめぐって、びくびくと全身を震わせる。

 少し粗相をしてしまった気がして、顔を真っ赤にするヘンリーをスネイプはただ抱きしめ、下腹部を撫でつけた。ぴくぴくと薄い腹の下で痙攣しているのは入口が薬で隠された彼女の大切なものか。スネイプはその刺激だけで再び潮を吹き出すのを満足げに見つめていた。


 やることなすことが裏目に出ているヘンリーの体を解放したスネイプは、くたりと身を投げ出しているヘンリーを抱き起し、息を整える口をふさぐ。
 そのまま互いに触れるだけの口づけを交わして、余韻に浸っていた。しばらくして、重怠い腰を起こしたスネイプはヘンリーを連れてバスルームへと入る。
 着たままであったことに思わず苦笑し、服を脱ぎ捨てヘンリーを背中ら抱きかかえながらシャワーを浴びる。性欲は薄いはずだったのになぜヘンリーを前にすると抑えきれないのか……そう自問しながらヘンリーの身体を洗うスネイプは項を見つめると、赤い髪に紛れさせるように赤い痕を残した。
 
 丁寧に内股を洗おうとして、慌てたヘンリーが自らの手で清める。痕がどこにあるかわからないほどに赤くなった項に、スネイプは何とか何か……何かを踏みとどまった。あらかた洗い終え、杖で乾かすとアクシオで軟膏を呼び出す。

「寮のシャワーを浴びるのにこれは目に毒だ」
 そう言いながらソファーに組みしき、一つ一つ薬で消してゆけばヘンリーはそこにもあったのか、という様に目を開き、恥ずかしさで何も言えずされるがままに痕を消してもらう。
 ちらりと項を見るスネイプはそこには触れず、開かせた覚えのない足を大きく開き、白く滑らかな内股をそっと撫でながら、痕が残ってないかを確認しようと顔を近づけた。
 白い肌から香る甘い匂いに誘われるように唇を寄せ、口づけて痕が付かない程度に食む。びくびくと震える足が愛らしくて、口角を上げてからスネイプは起き上がった。

 再びアクシオを唱え、体力回復のための魔法薬を呼び出し、ヘンリーにそれを渡す。薬を飲みながらじっとスネイプを見つめるヘンリーにスネイプがどうしたと問えば、慌てたように視線をそらし、困ったようにちらりとスネイプを見る。

「先生……意外としっかりした体つきなんだなと思って」
 それに比べて僕はひょろひょろだなと思って、ともごもご聞こえてスネイプは目をしばたたかせ、ヘンリーを見返す。そう、確かに全体的に細いが、それは少年としてみたらだ。
 華奢な様子は少女として考えれば妥当なもので……。首をかしげるヘンリーにスネイプは思わずイラ、としてその体を抱き寄せる。シャワーを浴びた後、気にもせずに服を羽織っていなかったからとはいえ、じろじろ見られてはたまらない。
 顔を赤くするヘンリーに何とも言えなくなって、呼び寄せたシャツを頭からかぶせる。

 大体、こんな日中にこのようなことをしたことも、そもそも抱いたこともほぼ経験はない。ヘンリーが服を着ている間に自身も服を着て、アクシオでヘンリーのためのヘアオイルを呼び出す。
 ようやく白いばかりの肌が隠れ、ほっとするスネイプは少し効果を弱めた魔法薬を使い、ヘンリーの赤い髪を整える。サラサラになった髪を確かめ、魔法薬の出来に一人頷くと、ヘンリーがまねするようにスネイプの髪を撫でた。

「先生の髪、しっとりしているんですね」
 長いからその分重く見えるのだろうか。かつてはロン達とねとねとだの、油っぽいだのなんだかんだ言っていたが、シャワーを浴び乾かした後に触れるとそんなことはない。魔法薬の湯気のせいなのか、それとも髪質なのか。

「それで、これはわざとなのかね?」
 そんな声が聞こえて、考え事をしていたヘンリーは首を傾げた。気が付けばスネイプの頭を抱える様にしており、じろりと見上げるスネイプと至近距離で見つめあう。
「え?いや、その。大伯母様が呼んでいたんですよね!そっそれじゃあ」
 見つめるスネイプに慌てるヘンリーは脱兎のごとく逃げ出し、内鍵を開けてどこかに走って行く。赤い髪が視界から消え、スネイプはようやく肩の力を抜いて椅子に腰を下ろした。ただただ、かわいくて仕方がなかった。
 
 





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