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☆13:袋小路の兎

 杖を振って教室に鍵をかけたスネイプは振り向かせたヘンリーに深く口づける。口づけに夢中になるヘンリーと自分の間に杖を滑らせればヘンリーの制服がはだけられ、ほどけたネクタイが足元に蟠る。
 逃さないよう片手で頭を抑え、杖を持ったままの手ではだけられた制服の中に手を忍ばせた。さすがに驚いたのか、慌てるヘンリーだが息継ぎも許さない深い口づけに徐々に力が抜けて頭を支える手に、地肌に触れる手に身をゆだねた。

「熱の散らし方を教えてあげよう」
 自ら袋小路に飛び込み、見え透いた罠にかかる危なっかし子供に灸をすえてやろう、そう考えてヘンリーの体を抱え上げる。
 育ち盛りの少年にしては軽く、慌てるのを抑えて教室から続く教授室へと運び込んだ。向かい合わせになるように一人掛けの椅子に腰を下ろし、再び少し赤くなった唇を食む。
 顔に当たるメガネが邪魔だと外してしまえばもう障害は何もない。支える手とは別に肩にかかった服を下ろしていくと白い肌が露になる。
 きらりと輝くペンダントが細い首から下がり、白いだけの肌に色を添える。つん、と立ち上がった淡い果実は男性らしく平たい胸で存在を主張し、今か今かと触れられるのを待つように小さく震えていた。

「ヘンリー、ここを指でつまんでみるといい。緩急をつけてゆっくり」
 片手を自分の首元に導き、空いている手をつかんでその果実をつまませる。ひゃぁ、と小さな悲鳴が上がるがスネイプが手を放してもその手は果実を摘まむのを止めない。
 触っているほうは赤くなったが、触れられずさみしげに見えるほうに視線を移したスネイプは散々もてあそんだ口を開放し、代わりにさみしそうな果実を口に含む。

「ひゃ、あ、や、止まらない……や、そこ噛んじゃ……ひゃ!」
 ダメ、と首を振るヘンリーを無視してスネイプは軽く歯を立てる。喉の奥から出たというふうなか細い悲鳴が上がり、がくがくと体を震わせる。

「上手に達することができたようだな」
 初めての絶頂に弛緩する体を抱きしめ、偉いぞと頭を撫でるとヘンリーの身体は震えてふやけきったヘーゼルの眼にスネイプの姿を映し出した。
 はっとするスネイプはヘンリーを下ろそうとしていつの間にか背中にその小さな手が回されていることに気が付いた。
 ヘンリーからの口づけで我慢の限度まで高められたスネイプは自ら腰を押し付けてくるヘンリーに飛んでいった理性がさらに崩れていくのを自覚する。
 だが、ここで事を起こしてしまえば12歳の少女に男装の薬を飲ませて、女性の性器ではなく後ろの本来彼女が性交で使うはずのない器官を使ったという、とんでもない事態が発生することに何とか興奮を抑えようとする。

 ヘンリーの身体が仮初なのはピクリとも動いていない、偽物が本物に布越しに触れているからわかる。動いていないどころか熱も平常通りだ。
 腰をくねらせ、その本物に自らのをこすりつけているのはヘンリーの身体が目の前の男を求めているからにほかなく、スネイプは引き返せないところまで熱が集まったことを自覚せざるをえなかった。
 くるりと反転してヘンリーを椅子に座らせると履いていた男子学生の制服を下着ごと太腿の半ばまで脱がせ、抑えつける。閉ざしたままの足の間からは見ていないが反応していない仮初の物がそこにはあるのだろう。

「両手で胸を慰めてみなさい。私はその間にここを……入れさせてもらう」
 上から抑えつけるスネイプにヘンリーはまるで操られているかのように両手で二つの果実を摘んだ。途端に弾ける体を抑え、スネイプは自分物を取り出すと、閉じたヘンリーの足の間に差し込んだ。
 案の定仮初の物は反応していないどころか、熱塊の熱を少し抑えているほどの熱しかない。足が開かないよう抑えるスネイプは滑らかな内股に熱を打ち付ける。
 疑似的なまぐわいにも関わらず熱が上がっていくスネイプは小さく喘ぐヘンリーに限界を迎え、薄い腹にその熱を吐き出した。

 荒く息を吐くスネイプは余韻も冷めやらぬうちに抜き取り、杖を手にする。あっという間に情事の後を消し去り、乱れた服を整えると、ヘンリーを抱きしめた。
「オブリビエイト」
 小さく唱える声とともに白い光が手から放たれ、ヘンリーの頭が垂れる。この時間の記憶を彼に残すのはとてもじゃないがスネイプにはできなかった。
 とても分かりやすいヘンリーのことだ。二人の関係もきちんとできていないというのにこんなことをしただなんて育ての親が聞いたら、交際をするしない以前の問題になる、と。
 この場合はこちらから交際を申し込むべきか、それとも待つべきか……。一向に答えの出ないスネイプはぼんやりと目を覚ましたヘンリーの額に口づけた。



 
 




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