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 魔法薬が出来上がると、スネイプはじっと見つめるハリーを見返す。何かいわないければならない言葉があった気がして…スネイプは薬をあおった。
 喉を襲う不快感に思わず咳がこぼれると喉元に手を置いた。じっと自分を不安げに見つめるハリーを見て何度か咳払いをする。
「どうやら成功したようだな…。」
 自分の声は果たしてこんな声だったか、意外に思い出せないものだなと咳をこぼすスネイプはじっと見つめるハリーの目からポロリとこぼれた滴に気がついて目をしばたかせた。
 ハリーもまた気がついていなかったらしく、慌てて目元をぬぐいなんで、と次々生まれる滴を抑えようとする。
「よかった…。先生声もどって…。元に戻らなかったら…どうしようって…。」
 思わずといった風にこぼれた言葉に、スネイプは衝動にかられてハリーを抱きしめる。
こんな風に自分のことで涙を流されることはほとんどない。いままでずっと見守ってきた、にくいだけではない言い表せられない複雑な思いを抱いていた青年の涙にスネイプはそうかとあの日の自分の行動に納得する。

 抱きしめられたハリーは顔を赤く染めて慌てて離れようと身をよじる。
「ポッター…。ハリー。」
 言い直すように名前を呼ばれてハリーはうれしいそうな複雑な顔でぎゅっとスネイプの裾を握りしめた。
 まるでそれが合図だったかのように、スネイプはハリーを上向かせ、唇を重ねる。
あの日、死の淵からよみがえった時、真っ先に目に入った緑色の瞳。
まぎれもないハリーの目だとすぐに分かった。
 もう守る必要も、すべて知られてしまったからには憎い教師を演じる必要もなくなった時、自分にとってのハリーを見直した。
 次々浮かぶ感情を消すと、残った中におおよそ自覚すらしていなかった淡い想いがあった。かつて失った感情。今回もそれを表に出すことは全く考えてなかった。
 だけどこうして自分のために涙を流し思ってくれていることが分かった以上、これから死にゆく運命だとしても今度こそ伝えたいと、小さな唇に深く口づけた。
 抵抗するどころか縋りつくハリーにスネイプは抑えることをやめる。どこか戸惑うようなハリーの口内を蹂躙してそのすべてを味わう。
 ハリーの足が震えたことでようやく唇を離すと、熱い吐息をこぼして真っ赤に熟れた顔をするハリーをじっと見つめる。
「嫌なら抵抗しないと…。我輩はもう止まらなくなるぞ。」
 今抵抗しなければこの先に進むというスネイプにハリーはこくんと頷く。
縋りついた手をそのままに分かってるというと、ただ、と言葉を紡ぐ。
「あの戦いで怪我してしまって…。先生に見られたくないから上の服はその…。脱がさないで…ください。」
 それ以外なら構わない、ともごもごと続けるハリーにスネイプは了解の意味を込めて深く口づけた。


 寝室にとハリーを抱き上げたスネイプは、自分が使う寝室へと入る。そっと寝台に下ろし、覆いかぶさると服の隙間から覗く首元に口づけを落とした。
 かちゃりとベルトを引き抜くと、そのまま下着ごと抜き去る。びくりと震えるハリーだが、スネイプの与える口づけに必死に答えて嫌じゃないんだと熱い吐息に言葉を混ぜて送り込む。
 その間に服を脱ぐスネイプは下に着ていた白いシャツをそのままにして、ハリーと同じようにズボンを脱ぐ。
 脱がさないでとは言ったが、触れないでとは言われていないことに、裾から手を忍びこませ、手探りで胸の突起を見つけると、それをもてあそぶ。
 びくびくと震えるハリーをなだめるように額や瞼、鼻の先に口づけを落とすと空いた手でハリーの下半身に触れる。
 とろりとした雫がこぼれ始めたそこを軽く握り、揉むように…優しく刺激を与えればそれはいとも簡単に快楽のしるしを放った。
 口づけで塞いだ唇から嬌声を受け取り、まるでそれを飲み込むように嚥下するとハリーは嬉しいそうな恥ずかしそうな…愛おしそうなそんな顔でスネイプを見つめる。
「随分早いのだなハリー。我輩のことをそう思っていると…勝手に都合よく解釈してもいいかね?」
 耳まで真っ赤になったハリーの耳元でささやくスネイプは、爆発しそうな胸を何とか抑えながら愛撫の手を止めない。
「せっ先生。好き…です。好きなんです!だから…っん!」
 ハリーの必死の言葉に胸の中の何かがはじけるスネイプは少し性急に、ハリーの腰を抱き上げて震えるそれを口に含む。
 わざと音を立てればハリーはビクンと大きく体を揺らし、そんなにしちゃだめと、おおよそ嫌がる風でもない甘い声で口だけの抵抗を見せる。

 ハリーの放ったものを指に絡めて最奥のつぼみへと沈み込むと、前と後ろの刺激にハリーの体は甘くわなないた。
 傷つけないよう丁寧にほぐすスネイプにハリーは知らず涙をこぼす。
快楽の涙とも少し違う涙に見えたスネイプはその涙を唇で掬い取る。
「先生と…こんなことができて…すごくうれしくて。先生が生きてて…よかった。」
 嬉しくて嬉しくて、というハリーにスネイプはようやく生きててよかったと思うのと同時にこの生活が終わってしまうことに寂しさを覚える。それにハリーの気持ちにもう少し早く気付いていれば、とその罪悪感がよぎる。
「ハリー。」
 只その名前だけを繰り返し続く言葉を飲み込む。スネイプはほぐしたそこに切っ先をあてがうと、繋がる体にハリーを強く抱きしめた。
 深く穿つとそのまま少しひんやりとしたハリーの肌にじっとハリーを見つめる。穿つ中の熱さとの違いに眉をひそめるとハリーは小さく笑う。
「はは…僕、実は冷え症なんです。」
 驚いたでしょうというハリーは早くとスネイプを急かす。じんわりとスネイプの温かさがハリーに移り、笑うハリーにスネイプもまた微笑む。
 動きだすスネイプにハリーは言葉にならない嬌声をあげてぽろぽろと涙をこぼし続けた。





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