--------------------------------------------

 裏切り、自分ではなく、自分を通して両親に復讐する男の真意がわからない。
ただ、無理やり組み伏せられ、何か薬…媚薬のような甘い薬を体に垂らす男の行動がわからない。
これ以上に自分を貶め、侮辱する気なのか…
男の狂気を感じ、ハリーは体の反応とは別に心が冷めきり、震えながら必死にヴォルデモートに助けを求めた。
 薬のせいで喘ぎ声を強制的に出され、もまれて達せられて…ハリーの心は引き裂けんばかりに震えていた。
 喘ぐ声とは裏腹に虚ろな顔で涙を流す姿に、快感ではなく寒さで震えるように体を振るわせ涙を流すハリーに気がついたスネイプはハッと手を止めた。
「ハリー…。」
「…だ…。」
 震えながら何かを呟くハリーにスネイプは心に重苦しい物がたまっていくのを感じる。
「も…やだ…。ヴォル…ヴォル…助けて…。皆…皆…敵だ。」
「ハリー?」
 頬をなでれば盛った薬のせいで快感に体を震わせるハリーは嫌だと繰り返し、スネイプを恐怖でひきつった目で見つめる。
 ようやく正気に戻ったスネイプは何をしたのか思いつき、誤解を解こうと、自分の気持ちを伝えようと手を伸ばす。
 
「クルーシオ。」
 
 突然聞こえた声にスネイプは背をそらすと、侵入者はそのまま杖を使い地面にたたきつける。
「ヴォル…。」
「迎えに来ればどこにもいない。まさかこのような凶行に出るとはなセブルス。」
 磔の呪いをかけられるスネイプはベッドの上で手を伸ばしすがりつく愛しい子と、かつて主君と仰いだ男の姿に目を見張った。
「こんなに震えて…。ハリー、待たせたな。」
「ヴォル…あぁ…ヴォルだ…。ヘドウィグはもう飛ばしたよ…。でも…その前に…体が熱いよ…。」
 荒い息を吐くハリーにヴォルはもう少し我慢しろと優しく髪をなでる。
優しく口づけると、それだけでハリーの息が上がる。
「セブルス、お前のおかげでハリーは俺様のもとに落ちてきた。この嘘だらけの世界に決別して…俺様に身も心もささげる…死喰い人以上に俺様に近いところに。俺様のところに降りてきた。」
 肌蹴られた服毎抱き上げると喘ぐハリーを宥め、首に巻きつかれた腕に満足げに頷く。
磔の呪文が再び唱えられ、もがくスネイプは呪文によるダメージで立ち上がれずに出ていく姿をただ目で追うしかなかった。
 
 
 ホグズミードから姿現しで根城にやってきたヴォルデモートはハリーを下ろし、飛んで来たヘドウィグをねぎらう。
ハリーに薬を飲ませると、自分のまた若返るための薬を飲み、ハリーに覆いかぶさった。
 みだらにもがくハリーを抱きしめ、愛撫を繰り返しハリーの指先までを染め上げる。
スネイプにかけられた薬のせいで余計に敏感になるハリーを優しくほぐすヴォルデモートにハリーはすがりつき、スネイプによってボロボロにされた心をヴォルデモートで埋めていく。
 
 幾度となく混じりあい、注ぎ込むと薬の効果で少し若返ったヴォルデモートは限界まで喘いだハリーの髪をなでた。
 ハリーが望んだ薬の成功率は100%ではない。
だからこそ多めに作っていたのだが、成功しなくともまだ時間はある、とつるりとした腹部をなでる。
すべすべとした肌のハリーは今は眠っている。
ようやく…ようやくここまで…自身のテリトリー内にまでハリーを招き入れることができたと、内またにある印を指でなぞる。
 ピクリと反応するハリーの髪をなで、額に口づけると決して抱き心地のいい体ではないハリーを抱きしめる。
 
 生き返るまでは…ハリーとあの日出会うまでは誰か一人を独占したいという気持ちはなかった。
ここまで踏み込ませたこともなかった。
だがハリーは違う。あのスネイプに覆いかぶさられている姿を見た瞬間、ヴォルデモートは怒りに燃えあがりそうになっていた。
 城にいるとき、ハリーに言われたことを思い出す。
ダンブルドアがハリーに言ったという自分の唯一の欠点。
それは愛を知らないということだと。
理解できない感情だと。
 たしかに、必要はない感情だとそう考え、覚えようとも考えようともしなかった。
だがハリーはその話をしながら知らないっていうことは後から学べるってことだよね、と笑った。
愛すると言うことは対象を守るためにくだらない正義を振りかざし、綺麗事を並べて無意識に命を張る愚かな行為を誘発させるだけにすぎない。
 だが、笑ったハリーを見た時命をかける理由を知ってしまった。
そして守るべきものがいるときに限って最後の最後で手をひどく噛むのだ。
 そして…自分がその感情を知ってしまった時。
その時は欠点が消える。
代わりに弱点ができてしまうが、欠点ではない。
あくまでも意識して避けていればいいものだ。
 眠るハリーの頭を抱き寄せ、口づけると目を閉じハリーだけを感じながら眠りに落ちる。


翌日からハリーはヴォルデモートに呪いと…移動するための呪文の手ほどきを受けていた。
禁じられた魔法はまだ試してはいないが、それでも着実に学び、蓄積していく。
ほしい情報だけを毎日やっていれば随分違うんだな、と内心喜ぶハリーは、ローブと仮面をつけるとさっそく教えてもらった姿くらましでマグルの家を襲撃しに行ったヴォルデモートを追いかけた。
 くすぶった家を横目にヴォルデモートのそばに行くと、そっと腕を伸ばす。
「ばらさずちゃんとこれたよ。」
「いい子だ…。これならばもう少し遠くに出掛けても追ってこれるな。」
 軽く口づけ、フード越しに頭をなでると、印を打ち上げるハリーを抱きしめる。
「あぁ、ただもう少ししたらあの根城からはなるべく外出しないほうが体にはいいかもしれない。」
 抱きしめながらへその下あたりを撫でるヴォルデモートに、ハリーははにかむように笑う。
もう一度キスして、と首を傾けるハリーにヴォルデモートは口づけるとそのまま姿くらましをし、根城の寝室に移動した。
 
 
 ハリーがホグワーツを出て半年が経とうとしていた。
死喰い人の中でもハリーの存在を知っているのはルシウスとベラトリックスのみで、後のメンバーの前では仮面を外したことがない。
ヴォルデモートの寵姫であり、一般の死喰い人ではその素顔を見るどころか言葉を交わすことさえ、ヴォルデモートに禁じられていると、そうベラトリックスが説明してくれた。
 ハリーとしてもヴォルデモートが自身の魂を分けたものを預けたと言う二人以外、あまり信用していないため気にしていない。
 ルシウスはそれを失ったもとい、処分しようとしてハリー達に壊されたため、今はもう持っていない。
だから復活するまでヴォルデモートを探していたと言うベラトリックスの方がどちらかというとハリーとしては信用できる。
 サディスティックな性格だが、心底慕っているヴォルの寵姫ともなれば違うらしく、様々な呪いなどを教えてもらっている。
 未だ人に対してかけたことはないが、ヴォルを慕う同士としてベラトリックスは申し分ない出来だとそう評価していた。
 そして最低限の身を守るすべとして何かあった場合の対処方法をも教わり、その場合はベラトリックスが真っ先に行動することも取り決めている。
 
 根城となっている場所は森の奥深く。
少し前から姿くらましをヴォルから禁じられていたハリーはほとんどを屋敷の中で過ごし、外の流れはルシウスが持ってくる予言者新聞の情報しか知らない。
 それでもヴォルデモート達の活躍と、裏切り者たちの行動はわかる。
「まだ抵抗してるんだ。ムーディ先生が戦線離脱…。あぁ、あの義眼を壊したんだ。」
 椅子に座って読むハリーにルシウスは何も言わず、部屋を出ていく。
何があったかはルシウスは聞いていないが、以前の様な正義感あふれる少年…ではなくどこか繊細な部分が壊れてしまったようなそんな印象を受け、ルシウスは大きな溜息をこぼす。
 聞いた話では閲覧禁止の棚から盗まれた魔法薬の本を元に闇の帝王は若さを取り戻し、壊れた英雄は子を宿すため自身の体を一時的に変える術を手に入れたとか何とか。
 だが、とこれ以上余計な詮索をすれば、せっかくあの日記を知らずに処分しようとしたことでの怒りがこの少年の出現によって軽減されたというのにそれが無駄になってしまう。







≪Back ≫Next

戻る