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 図書館の一件後、秘密の部屋を使い、鍋を煎じているヴォルデモートはぱらりとほかのページをめくるハリーを見る。
「気になる薬でもあったか。」
「あっ。うん…。これ…いいなって…。」
 声をかければ驚いたように肩を跳ね上げ、これ、と開いたページを見せる。
「部分的な性転換の薬か。女になりたいのか?ハリー。」
「女性になりたいというか…ヴォルの子供を残したいなって。ずっとずっとこの世界からうそをなくして、見張るには必要でしょ?」
 鍋から目を離しても大丈夫な工程になり、鍋から離れるヴォルデモートはその本を一緒にのぞき込む。
 どうやら男が子供を産むことのできる体になれるという薬になるほど、と笑う。
サラザール・スリザリンの血を残したいというハリーはね、と笑いかけ、必要な材料をメモする。
「今作ってるものよりは簡単だな。しかし…材料が少々厄介なものが多いな…。」
「いつもの裏ルートでも手にはいらないかな。」
 メモを読むヴォルデモートはその材料に眉をひそめ、入手ルートを考える。
振り向いたハリーは最近ヘドウィグに頼んでいるお店じゃ駄目なのかと首をかしげた。
 
 最初はスネイプの研究室にと思ったが、蛇に警戒しているのか、ヴォルデモートでも庭で捕まえた蛇でも入ることができないよう蛇の進入口がふさがっていた。
 だから無理せず、両親が残したお金や、元々ヴォルデモートが所有していた銀行のお金などを使用し、ノクターン横町から取り寄せていた。
「この人魚の涙が希少だ。だが…この手の物ならば地下には保管されているはずだ。」
「魔法薬学の倉庫かぁ。なんとかヴォルが入れればいいんだよね。」
 後ろから覗きこんでいたヴォルデモートの言葉にハリーは顔が近いことに顔を赤らめながらもいい方法ないかなと首をかしげた。
「少し考えよう。それにしても…」
 くつくつと喉の奥で笑うヴォルデモートはハリーの顎をすくい取ると自分に振り向かせ、強引に唇を奪う。
 赤らめていた顔がすでにばれているのはわかっていたハリーは、与えられる口づけに夢中で返し、体ごと反転させてすがりつくように腕をまわした。
「以前のハリーとは随分と違う…可愛い反応をするようになった。」
 押し倒し、上から見下ろすヴォルデモートにハリーは楽しそうに笑う。
「だって…。ヴォルだって若ければとか言ってたくせに、全然衰えてないんだから…。流石蛇をシンボルとするスリザリンの後継者だね。」
「死と再生、他より嫉妬と独占欲が強く…交尾時間の長さから性的なシンボルをもつ。どこで調べたかわからないが、随分と蛇について学んだようだな。」
 ネクタイを解き、あらわになる白い肌に口を寄せ小さな痕を残すヴォルデモートの言葉にハリーはくすぐったそうに笑い、違うの?といいヴォルデモートの背に腕を回し、快楽の波に身を投じた。



「そうだハリー。今度の土曜…外に出かけてくる。魔法薬はほっといてかまわない。もう後は一度さめきるまで待たなくてはならないだけだからな。」
 壁にもたれ、腕に抱えたハリーの汗でぬれた額をなでるヴォルデモートはそうだ、とハリーに告げる。心地よい疲労に身をゆだねていたハリーは目を開け、首をかしげた。
「んっ…。僕はロンたちと予定があるから…。もしもすぐに会いに行きたくなったらどうしよう。」
「ポートキーを渡しておこう。ホグズミードで使えば問題はないだろう。あぁ、だが必ずフードをかぶって顔は見えないようにしなければ危険だ。」
 わかった、というハリーは予定が終わったらついていきたい、と言外にいいヴォルデモートもそれをわかった上で頷く。
 何をしに、どこになんて言う会話はいらない。
危険というからにはどこかのウソツキに罰を与えに行くのだろうとハリーも了承している。
「そろそろ戻らなきゃ。あぁ、忍びの地図で確認しないとね。」
 起き上がり、服を着るハリーは地図を取り出すと“あの男”がどこにいるかを確認する。
「大丈夫。まだ研究室で薬草が盗られないか気にしてる。」
『外にも誰もいないようだな。人魚の涙については考えておこう。ほかならぬハリーの望みならばな。』
 服に入り込んだ蛇の言葉にハリーは小さくうなずき、透明マントをかぶって部屋を出る。
『めったにお願いしないから安心してね。じゃあいこっか。』
 中に大鍋は残しているがどうやら人がいなければ扉は勝手に消えるらしい。
そのままロンたちのいる図書館に向かった。
 
「あらハリー。餌上げ終わったの?」
「ちょうど課題終わったとこだよ。ハリーの課題はおわったかい?」
 襟元から蛇をのぞかせるハリーだが、そんな光景にも親友二人は慣れていた。
やっと終わったよというロンに食べるの待っている間に僕も終わったよ、と返す。
 ヴォルデモートとの密会は蛇の餌やりとそう告げている。
彼女たちに危害が加わるような嘘ではないし、誰かを貶める嘘でもない。
自分たちを守るための嘘なら必要最低限の嘘は必要だと、そう愛おしい蛇はささやいていた。
だから気に留めていない。
「蛇って食事後の動かすと危ないって書いてあったわ。落ち着くまでそばにいるのは仕方ないわね。」
 そう言ってハーマイオニーは納得し、それからというもの蛇の気が立っているから、などといういいわけであの部屋に行くことが多い。
 それにこの言い訳は100%の嘘でもない。
屋敷しもべ妖精らにお願いして一人分の食事をもらい、あの部屋でヴォルデモートに渡している。
 ヴォルデモートは別に生徒を襲うためにいるわけではない。
魔法薬とハリーのためにいる。
でもさすがに嘘だっていうのが分かったら傷付くかな、とハリーは考えつつも生きるための嘘ならいいかなとその考えを払う。


 大広間に向かう途中、中庭を見ていたロンはあちらこちら浮かべるがどこも生徒が必ずいるようなきがする。
「そういえば…どこであげてるの?落ち着く場所って言ってもあっちこっち生徒いるから難しくない?」
 大きな蛇だし目立つんじゃ、というロンにいい場所を見つけたから大丈夫だよ、と返す。
蛇が好きそうないい場所、というと言ってみたいのだろうが、あの秘密の部屋を連想してしまったらしく今度教えて、曖昧に笑った。
「秘密の部屋じゃないけど、ほら、サラザール=スリザリンってあっちこっちに秘密の部屋作っていたらしいから…そのひとつかな。」
 あの必要の部屋がその一つかは知らないが、あの地図にも載っていないような部屋があるとヴォルデモートには教えてもらっていた。
 スリザリン寮の近くの集中しているため、近づけないがよく見れば蛇の紋章があるのだという。
 
「そういえばずっと気になってたんだけど…どうしてその4人は学校を作ろうって集まったのかしら。少なくともサラザール=スリザリンは保守的というか秘密主義的な風に聞こえるけど、他は結構開放的でそこまで固辞してないしように見えるのよね。」
 ハーマイオニーの疑問もそのはずで、少なくとも仮にそれぞれまさにこの寮の生徒、といわれるような生徒たちを思い浮かべ、互いが何か一つに向かって進む、というのが想像できない。
 少し窺うように一瞬視線を蛇に向けると蛇は首をすくませるようなしぐさを見せた。
「不思議だよね。」
 でも、とハリーはなんとなく互いの考えが見える気がした。
互いに互いの不足を補う、だからこそ、考えが違う4人がそれぞれ集まり、そしてそのための施設をつくったのではないかと。
 少なくとも、ハリーが恋した2人は生粋のスリザリンであり、それぞれハリーが持たない物を持っていた。
だからこそ、魅かれてしまった。
 
 
「やめようよ、そういう話してると…うわぁ…スネイプだ…。一番いやなのに会っちゃうって。」
 ロンは顔をしかめ、噂してると出てくるかもといいかけ、大広間前でばったり出会うような速度で歩くスネイプを目に入れうめく。
 ハリーもちらりと視線を送ると先に気が付いていたスネイプの視線と合わさり、軽く眉をひそめる。
 ヴォルデモートの話しでは最近何かとハリーのそばで後を追うように出没し、じっと見つめているという。
 だからこそ、今更裏切りものであるはずのスネイプの行動に不快な思いがし、先に視線を断ち切り、軽く挨拶して大広間へと入る。
「またスネイプの奴じろじろ見てきてほっんと嫌な奴。」
 席に着くなり声をひそめ、盛大に顔をしかめて見せるロンにハリーはなんだろうね、と何でもない顔で応じた。
「最近ハリーが授業中全然へましないから罰則って言えなくてイライラしてるんじゃないのかな?」
「ネビルも最近昔ほどひどくないしね。そういえばもうずっと罰則って言われてない気がする。」
 視線を感じつつ、会う口実として出会っていた日がもう懐かしい。
今は課題だってスネイプが難癖できないほどで、それでいて出来過ぎないようにしている。
もちろんそれはホグワーツ始まって以来の秀才がすぐそばで見てくれるからで、他の教科の成績も上がっている。






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