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 女子生徒と同じ制服に身を包んだハリーはルーピンに連れられ、キングスクロス駅へとやってきた。
 ルーピンは流石にそのまま行くわけにはいかなかったため、スネイプに用意してもらったポリジュースで適当な男に変身してホームまで見送りに来ていた。
「それじゃあハリー。といいたいけど、実はハリー、ダンブルドアからホグズミードの外れの家を借りてあるからそこに来るようにっていわれているんだ。だから何かあったらすぐに助けに行くからね。」
 見送るルーピンにハリーは少し不安だったのが少し解消されてはい、っと頷く。
 窓からハリーと呼びかける声に振り向くと先に来ていたらしいハーマイオニーが手を振っていた。
 コンパートメントに入ると、ハーマイオニーはにこりと笑って迎え、一緒にルーピンに手を振る。
 
 がらりとコンバートメントの扉が開くと、あれ?っとロンが首をかしげる。
「あ、ごめん他探すよ。」
 ハーマイオニーはどこかの寮生と一緒かーと扉を閉めかけると、笑いをこらえるハーマイオニーは良く見てという。
「何を言ってるのよロン。知らせが来たでしょ。ハリーよ。」
「やっやぁ…ロン元気だった?」
 振り向いたハリーにロンは目をしばたかせ、動き出した列車に思わずよろめく。
「それじゃあ本当にハリー…その…。例の魔女新聞に載っていた違法魔法薬を使った例の事件に?」
 パパから聞いたよ、というロンはハリーの向かいに座りながら何度もハリーの顔と服装を見比べてぽかんと口を開いた。
 ロンの話では、教科書とかとは違う手紙がやってきて、マグルを標的とした魔法薬を使った拉致事件の被害者に数人入っていた魔法使いの中にハリーがいたこと。
 そして使われていた薬の影響で女子になっていること。
 そして、そして極めつけは保護された先で、運命的な出会いを得てその体に命を宿したと言うこと。
 この事は一部の女子生徒と、親友であるロンの他数名にしか知らせていないため内密にするようにと記してあった。
 もっとも最後の子供に関してはロンが一人で読んだ時にしか紙に現れず、それでロンもずっとそのことをだれにも相談できずにモヤモヤとしていた、ということを一気に二人に打ち明ける。

「私も大体そんな感じね。ただし、私の場合は両親が読んでも消えなかったことくらいかしら。」
「それでハリー…。もう驚きとかを通り越したから何とか落ち着いてきたけど…何があったか教えてもらっても…いいかな。」
 ビックリしちゃった、というハーマイオニーにロンはほんとだよ、というと二人揃ってハリーを見る。
 流石に彼の事は伏せたほうがいいだろうな、とハリーは家出をした経緯と、その先で巻き込まれたこと。
 そしてそこで偶然助けてくれた人がいてしばらく厄介になったこと…。
 それとハリーが飲んだ薬の効果を話す。

「その…ほら、魔法使いってさ、予言とか結構絶対的な感じであるよね。そういう類で運命の人…というかそういうのがあるって…リーマスが調べてくれた占い学の中に合ってさ…。どうやら偶然とはいえそういう人だった…らしくて…。それで…おとぎ話の人魚姫みたいに姿が永久的に変わるっていう効果で今に至る…んだ。」
 別に望んだ姿で女の子になったわけじゃないけど、結果的にはそうなったらしいと言うハリーに二人はなるほど、という。
「最近ではハッピーエンド風にすることもあるものね。そういう話の中には確かに最後は両想いになったことで人間になれてめでたしっていうのがあったわ。占い学は全く信じていないけども、そういう話は稀に聞くし…。こう、運命的な出会いって聞くとなんだか怖いようなロマンスがあるような。」
 運命って言葉自体なんだか怖いと言うハーマイオニーにロンはうんうんと頷いた。
「運命の出会いっていうのはごくまれにあるって…親戚の…伯父さんだったっけな?が言ってたことあるよ。それにしても…その人ってハリーが元男で、未成年だっていうのはしっていたんだろう?」
「本当にね。信じられないよ。それと、うん。僕がハリー=ポッターって気がついていたからね。年齢だって知っているし…。」
 出会った時から知っていたと言うことを聞いた時は、まさか向こうも何かを感じていたのか、と考えたりもしたが結局わからない。
 ただ、胸元にあるペンダントがなんとなく彼の気持ちを代弁しているような気がする。


「何歳くらい離れているの?その人と。それと…その人はこの事知ってるの?」
「まさかハリーそのまま結婚まで一気に!?」
 興味深々なハーマイオニーとロンは好奇心に目を輝かせ親友のめでたい話を聞く。
「えぇっと年齢は…3…周りぐらい上…かな。」
 年齢を考えるハリーの言葉に二人は揃って目をしばたかせる。
「まだ知らない。スネイプが唯一連絡取れるから…連絡が取れ次第話すって。」
 スネイプの知り合いということでさらに二人に衝撃が走る。
 80%以上の確率で闇の魔法使い系だ、と目の前の親友を見る。
「結婚…は多分しない。だって…そういう人じゃないし…。家庭とか…まるで考えられない人だから…。」
 ハリーの言葉に結構どっぷりと闇の魔法に浸かっているな、と考え…。

 ふと運命の人という言葉と、占い学…と結びついたハーマイオニーはうそでしょ!?と声を上げた。
 占い学と言えば…いつぞやきいたハリーの予言の話し…。
 そして運命の人…。
 そこでロンも気が付き、やっぱりわかるよね…と苦笑する親友を見る。
「だっ大丈夫?2人とも。」
 固まった二人に声をかけるハリーはやっぱりそうなるよねと小さくため息を吐く。
 それでようやくハーマイオニーの硬直が解けると、あのね処理が追い付いていないだけだから、という。
「結構衝撃的にたくさんの事がわかって…いろんなことに突っ込みを入れたいけど、それが追い付かないの。まず…あの人は…ハリーがハリーって知ってたわけよね?」
「うん。かばってくれたときにすぐ気がついたって。それで…ちょっとからかうつもりがこうなった…っていうニュアンスの事言ってた。」
 男でもことと場合によってはと言っていたことは黙っておこうと、ハリーは混乱しているハーマイオニーに告げる。

「まず、ハリーが無事でよかったという気持ちと、未成年で元々男でそもそも誰かっていうことを知っている上で…それでハリーの話から…向こうからってことでしょ。まずそこがもうわけがわからないのよ。」
「だって…色々なことがあったわけだろ?そりゃあ予言とかはかなり強制的というか…結果そうなるっていう風に強い力?みたいなのがあるからきっと運命の人とかいうのもそれぐらい強いんだろうけど…。」
 信じられないと言う二人はこれまでに聞いた悪行の数々や、大人が語る人物とを比較して考え…あり得ないわ、とどう頑張っても一致しない。
 いっそのこと別人であればいいのだが、当のハリーが本人だと認めている。
 一回生き返って何か変わったに違いない、とそう結論付けた。


「それにしても…まだわからないだろうけど、ちょっと触ってもいい?」
「ヒーラーの人もわかるようになるのはもう少し先だって。今はまだ触ってもわからないけど…。」
 いいよ、というハリーの隣に座るハーマイオニーはそっとハリーのお腹に手を当てる。
相手が相手だけど、人の体ってすごいわ、と内心考えるハーマイオニーは何でも力になるよという。
「そういえばハリー。寮はどうなるんだい?」
「あぁ、それなら私たちの方になるみたいよ。同室になる人宛っていう風に手紙が来たから。」
 なにはともあれ寮はどうするのかというロンにハリーも首をかしげる。
 そこにハーマイオニーが手紙が来たからというと、ハリーはえっっと戸惑うように目を開いた。
「だってそうじゃない。いずれ戻るにしても今は女の子の体なんだから。それにラベンダー達から梟が来て、皆肯定的だったわよ。マクゴナガル先生の手紙によると少ししてハリーのお腹が大きくなったら移動が大変だからその時はまた別の部屋にするからそれまでってあったわ。」
 ロン達が気まずいでしょ、というハーマイオニーにハリーはロンと顔を見合わせて確かに、と納得する。
 それでもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
 みんなが着替えるときは天蓋引いたらいいじゃないというハーマイオニーにそうだけど…とハリーは言いよどむ。
 彼女たちがそれでいいのならいいのかな、とそう結論付け不安だなとため息を吐いた。


 クィディッチのシーカーはマクゴナガル先生とマダムポンフリーに止められてしまったハリーは代わりに特別講義を受けていた。
 未成年でしかも元男ということで、もし男に戻るとしてもその間の女性としてのあれこれを教えてもらわなければならないからだ。
「ロン、女の子って思った以上に大変なんだね。」
 聞くこと覚えることが衝撃的で疲れた、というハリーにハーマイオニーは私達の苦労わかったでしょ、という。
 ロンはロンで男兄弟ばかりなせいもあっていまいちピンと来ていないが、それでも見慣れてきたハリーの姿に相槌をうつ。
 
「そういえば…まだ連絡付かないのかな。」
 眉間にしわが寄るスネイプをうかがい見るロンにハリー達も目を向ける。
 新学年が始まってから3カ月。
 からかおうとしていたマルフォイらだったが、ハリーが女の子になっていることとに衝撃を受けてロンには突っかかれてもハリーには突っかかっていない。
 少しお腹が目立ってきたハリーに他の寮生も気がついて、ひそひそと何があったのか真相を囁き合っていた。
 相手は誰かという相手なのだが、あれ以来潜伏しているのか、新聞には復活したことさえ出ていない。
 そんなことを考えてスネイプをうかがいみていたロンは梟が落とした手紙に眉間のしわを深くしたスネイプが3人に視線を向けたことではっと気がつく。
 そのまま席を立つスネイプにハリーと声をかけるとそれに気がついたハーマイオニーとハリーもあ、と小さく声を上げた。



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