--------------------------------------------

 目が覚めたハリーはシャワーを浴びて鏡をみる。
ちょっと柔らかくなった髪と下げたままの今は赤いペンダント。
そしてそれを支えるかのように小さく突き出した胸。
これももう見納めかな、と慣れ始めてきた自分の体をみる。
自分でじっくり触ったことはないが、恐る恐る洗うのではなく触れてみると柔らかい感触に慌てて手を下げた。
顔を赤くして鏡をみるといつまでも出てこないハリーを呼びに来たのか、様子を見に来たのか、先ほどの行動をみていたらしいヴォルデモートが楽しげに眼を細ませて立っていた。
黒いローブをまとったヴォルデモートはぬれるのも構わず中に入ると、恥ずかしがるハリーにタオルをかけた。
「だって、自分の体でも…その…女の子の胸なんだし…。」
「意図して触ったことがないのは意外であったな。」
 ぬれた髪をかき上げれば首元には昨晩つけた赤い印が白い肌に映える。
それに気がついたハリーは再び顔を赤くしてヴォルデモートからタオルを奪って髪を拭く。
 
 抱きしめて甘い雰囲気になるとハリーは嬉しそうに笑った。
少し戯れるとハリーは黒いワンピースに袖を通して買った服を袋にまとめる。
置いていくかと言うヴォルデモートにハリーは持って行きたい、と首を振りそれでまとめていた。
ヴォルデモートがそっと背後から抱き締め、ハリーの腕に押し付けるように渡されたのはハリーの杖だ。
隠していたわけではないが、なんとなく探していなかった、と素直に受け取るとそれを服と一緒に袋に押し込んで振り向きざまにヴォルデモートを抱きしめた。
 
 
「最後の夜なら…最後の夜になるなら…」
「魔法薬で全てが変わる…魔法界の生みだした夢だ。」
 ハリーの唇に指をあてたヴォルデモートは屈みこみながら耳元でささやく。
「夢の中ならば俺様もハリーも何の立場もない個だ。気にすることはない。俺様も俺様の意思で、ハリーはハリーの想いで一晩の夢を楽しもうではないか。」
 互いの魂を食べるような口づけにハリーは震えながらもすがりつく。
 足が震えているハリーを抱きしめるヴォルデモートは細い体を愛撫し、仰向いた首筋に口づけを落とした。
痕を残しても困るのはあの苦労人だけで自分には関係ない、とヴォルデモートは白い喉元に遠慮なく証を刻みつける。
寝台に押し倒すとハリーの眼鏡を外し、ぬれた緑色の瞳をのぞきこむ。
服をまくり上げ、脱がせると白い肌があらわになり、ヴォルデモートは最初に戯れで買った下着を身につけるハリーに満足げに口角を上げ、自身のローブを脱ぎ棄てた。

 発情したハリーの体にうっすらと光る汗が胸元の宝石を輝かせ、閃かせる。
部屋の明かりで赤く光る宝石にヴォルデモートは口付けて、その近くにある赤い物を口に含んだ。
ひくん、と震えるハリーを抑えて小さく主張する実を食むように舌で転がし、強めに吸い上げる。
「あっ…そこ…強く吸っちゃ…んっ!ぁあ」
「やはり声があると違うな…。どこがいいか…よくわかる。」
 甲高く喘ぐハリーにヴォルデモートは上機嫌に手で愛撫していたもう片方を口に含み、同じように転がす。
 ぴくぴくと震えながら愛撫を受け入れるハリーはヴォルデモートの首に抱き込むようにして腕をまわした。
 ぷくりと立ち上がる胸への愛撫を手に変え、ヴォルデモートは徐々に下っていくと下着の上からそっと口付ける。
「もう濡れているな。」
「なっ…じっくり見ない…ひゃん!だっだめっそこ。」
 数日にわたって暇さえあれば戯れていた二人だが、いずれもハリーが喋れなかった事もありほとんどしゃべらなかったヴォルデモートは、一転して言葉をかけてハリーの反応をうかがっていた。
 あっというまに下着を脱がされ、足を広げられるとじっと見つめる視線にハリーの顔が赤らむ。
ふっと息を吹きかけられるだけでハリーの体は震え、見ないでと首を振った。
「俺様が見ているだけだと言うのに…いやらしいなハリー。」
「だっ誰がそういう風にしたと思ってる…あっ!」
 笑うヴォルデモートにハリーは体を起こしかけて、びりっと背筋を走る快感にマットレスに体を沈めた。
甲高い喘ぎ声がでるっととっさに口を押さえ、真っ赤にした顔を振る。
ヴォルデモートは快感で光るハリーの秘部に口づけると花弁に隠れていた実を転がし、蜜つぼから溢れる蜜をすする。
わざと音を立てればハリーの体が恥ずかしさで赤く色づき、ヴォルデモートは長い指を突き立てた。

「なんで今日はこんな…あぁっ!!そこっや…」
「夢なら手加減などする必要ないだろう。ハリー。俺様が満足するまでやる代わりにお前の快感を全部引き出させてやろう。」
 腰に軽く歯を立てるヴォルデモートにハリーは体を跳ね上げ、濃厚な愛撫にさらに体を熱くさせる。
「こんなっ…そこばっか…ぁんっ…いっちゃう。まっまだヴォル来てないのに…あっぁあ!」
「いってしまえハリー。」
 耳元でささやくヴォルデモートにハリーは体をそらして大きく体を震わせた。
 ひくひくと震える体を宥め、口づけるとヴォルデモートは高ぶったものを突き立てた。
 入って来たものを体の奥で感じ、ハリーは震えながらヴォルデモートに腕をまわす。
ハリーが落ち着くのを待つヴォルデモートはそっと額に口付けて、そういえばと顔を真っ赤にしたハリーを見下ろした。
「傷は痛まないようだな。」
「んっ…路地で会った時…から痛くなかった…ぁっ…お願…動いて…」
 ハリーの腰を抱えるように浮かせたまま問いかけるヴォルデモートにハリーは首を振ってこたえる。
「なるほど…。薬のせいか、それとも別の要因か…。そんなに焦るなハリー。」
 髪をなでるヴォルデモートはハリーが無意識に動かそうとする腰を強く押さえつけ、傷痕に口づけた。
 荒く息を吐くハリーに口づけると、ハリーの喘ぎ声をそのまま吸い取るかのように動き始めた。
 くぐもった嬌声をあげるハリーに深く口付け、こみ上げる熱のままにむさぼるヴォルデモートにハリーは一生懸命しがみつく。
 チクリとした痛みを背中に感じるヴォルデモートは無我夢中になるハリーを見下ろして満足げに口角を上げた。


 本来交わるべきものではない対極の存在のはずがふとしたことで触れ合い、交わる。
 そんなマグルでは絶対にあり得ない魔法界の悪戯に、闇の帝王と英雄はお互いのことを忘れて互いを求めあった。

 ヴォルデモートが目を覚ますと疲労でぐったりと眠る少女の姿を目に入れた。
まだ起きる気配のない少女を抱き上げ、シャワー室へと入る。
限界まで求めあったためか、小柄な少女はシャワーでもまだ目を覚まさない。
 好都合だ、と若干の疲労を感じるヴォルデモートは手早く少女…ハリーを清めて最初に出会った時の服を着させた。
 視界の端で昨日着ていた黒い服を見つけ、ハリーの持っていく服の中に押し込む。
 部屋に清めの呪文を唱えて情事の後を消し去ると、ナギニが中へと入って来た。
 
【ご主人様、そろそろ中に入れてもいい頃合いでしょうか。】
【あぁ。連れて来い。】
 外にいるはずのしもべの怒りやらあきれやら何やら様々な感情が入り乱れたオーラを感じていたヴォルデモートは気にした風でもなく、ナギニに連れてくるよう告げると、最後とばかりにハリーの薄く開いた唇に触れるだけの口づけを落とし、隣の部屋への扉を開く。
 ちょうど入ってきたスネイプは己の感情を出さないよう気をつけてはいるものの、外で待たされていた時間と、薄暗い奥の部屋とで頭が痛い。
 黒いマグルの服装からどこかに出かけるらしい闇の帝王の姿にやれやれとため息が出そうになるのをこらえる。
「随分と早い迎えだったようだな。寝ているうちに連れて行け。くれぐれもあの爺に詮索されないようにするのだぞ。」
「心得ております。その荷物は…。」
 ぐっすりと眠っている姿をみるスネイプはこの状況を誰に説明するんだ、とため息を心の中で押し殺し、置いてある荷物に目をとめた。
「あぁ、それの服だ。持って帰ると言うのでまとめておいた。一緒に持って帰れ。」
「…承知いたしました。では失礼いたします。」
 もう何も言うまい、考えるまい、とスネイプは心を無にすると眠ったハリーを抱き上げ、まとめられた荷物を手にすると姿くらましをする。
 
  
 目を覚ましたハリーは最近見ていた天井とは違う天井であることに首をかしげ、体を起こすと目をしばたかせた。
あれは夢だったのか、と起き上がろうとして鈍い痛みに顔をしかめる。
あの時着ていた服を着ている姿に昨晩からの記憶がよみがえり、顔を真っ赤にする。
 ふと宿に備え付けられたテーブルをみると買ってもらった服の入った荷物が置いてある。
「やっと目が覚めたかね。」
 扉が開く音共に声が聞こえ、ハリーは驚いて振り向いた。
苛立ちをにじませるスネイプはつかつかと中に入ると机の上に何か入った入れ物をだんっ、と強く置く。
そのよこには伏せられた鏡。
「リーマスらのいる場所に行く前に首元のそれを何とかしたまえ。」
 ドアを音を立てて閉めていく姿にハリーはぽかんとするしかない。
とりあえず何の事かと鏡を見たハリーの声にならない叫びは扉の前で頭を抱えた教師だけに届くのであった。
 
「ありがとうございました。」
 一階で待っていたスネイプの前にハリーは薬の入った入れ物を置きながら呟くようにお礼を言う。
 中身の減り具合から色々問い詰めようと考えていたスネイプも何も言えなくなる。
顔を真っ赤にしたハリーの荷物をもち、ダイアゴン横町側に出るとハリーがついてきていることを確認する。
こっちだ、と路地に入ると荷物を引き寄せて手を伸ばそうとしたところで見上げるハリーをみてかたまった。
 首をかしげるハリーだが、移動手段を考えて顔を赤くしておろおろと開いた微妙な距離から一歩遠ざかる。
「あ、いやっあの…その…。シリウス達のところですよね。姿くらましですよね。あの…お願いします。」
 あの一件以来スネイプを警戒するハリーと、様々複雑な思いが交差しているスネイプ。
 ぎくしゃくとする二人だが、ハリーの言葉にスネイプはただ深くため息をついた。
「行く前に一つ伝え忘れていたが、リーマスがロンドンで先日妙な男女を見つけたそうだ。」
「え!?あ…」
 そうだ、と先日どういうことかなと、ひきつった笑みで怒りと言うかごまかしが効かない様なオーラを放ちながらやって来たなじみの言葉を思い出すスネイプに、ハリーはまさか見られていたのかと、顔を赤くしたり青くしたりする。
「…あとで詳しい話は聞く。」
 はぁとため息を吐くスネイプはとりあえずと意を決してハリーを引き寄せると、荷物と共にバチンと音を立てて消えた。
 どこかの住宅街にでるとどこからともなくダンブルドアが現れる。
「ハリー、心配しておったんじゃよ。」
 よかったというダンブルドアはスネイプから少女になったと言う話をきいているというとグリモードプレイスの番地名をハリーに伝えた。
 ダンブルドアは明日また来ると言うとハリーが無事なことににこりと笑いパチンと消えた。

 
「ハリー!!さっきダンブルドアが言っていたのって…まさか…本当に…?」
 現れて入れるようになった家に入るハリーを迎えたのは心配げな様子のシリウスだ。
ハリーの体が聞いていた通り少女になっていることに抱きしめようとして思わず戸惑う。
とりあえずこの部屋を使ってと、荷物を持って案内するとハリーに屋敷の説明をする。
「えっと…とりあえず今日は休んで、明日いろいろ話そうか。」
 どう扱っていいか困った様子のシリウスはちょっと下にいるからな、といって出ていく。
「あ、ハリー。首に…。」
「えっ!?なっなに!?なにか付いて…る?」
「いや、ゴミがついてたんだけど…」
 残っていたルーピンがハリーに手を伸ばしゴミを取ると、慌てるハリーをみて微笑む。
 まさかまだ印があったのかを慌てていたハリーはかぁっと顔を赤らめ、ありがとうという。
「今日はゆっくりしなよ。」
 にこりと笑うルーピンにハリーはロンドンで見たと言う時にとなりにいた男がばれていないかとひやひやとする気持ちで見つめ返す。
 
 とりあえず、与えられた部屋で荷物の整理をしようと、トランクに押し込んだあの服を取り出す。
ふと、黒い服を手に取ったところで目をしばたかせる。
広げてみると着ていたワンピースではなく、黒いローブ。
そもそも黒いワンピースは昨日着ていたもので、入れた覚えがなかったため、ヴォルデモートが入れたようだが、同じ色で間違えたらしい。
 誰もが恐れる闇の帝王がうっかり間違える…。
 くすりと笑ってぎゅっと抱きしめた。
 スネイプをとおして返さなきゃ、と考えるが抱きしめた黒いローブに顔をうずめて深く息を吸う。
 つい先日まではこんな気持ちなんてもってなかったのに、と数日間ずっと身近に感じていた男のにおいを吸い込み、はぁと小さくため息をついた。
「戻るまで…。戻るまで…。元に戻ったらきれいさっぱり忘れなきゃ。」
 もう一度ぎゅっと抱きしめるとトランクの一番奥に隠すようにローブをしまう。
 ワンピースやスカートを奥にしまい、ベッドに横になった。
 
 部屋を移動しようと、少ない荷物を片付けるヴォルデモートはローブを手に取ったところで違和感にそれを広げる。
どうやらよく見ていなかったためにあの少女の服と間違えたらしく、最後に押し込んだのを間違えたらしい。
らしくないミスだな、と苦笑するとワンピースの襟を抱き込むようにして引き寄せた。
この2週間ほど横にいた少女の甘いかすかなにおいがして、ヴォルデモートは目を閉じた。
 声が出せずに吐息と身震いだけで…全身で快感を示し従順に与えられる刺激に反応を返した少女。
 声が出るようになってからはそれまでのしぐさに甘い響きが加わり、抑えが利かなくなった。
 次に会った時、それが少年に戻っていたとして…ただ死の呪文を唱えるのか、それとも捕まえるか…。
 本人を前にしないとわからないな、とワンピースをしまい部屋を出た。




BACK≪ ≫NEXT

戻る