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 メガネを取られてしまうとはっきり見えなくなり……愛撫するヴォルの手に喘ぐハリーだが、自分の顔と自分の声と……ぐっと唇を引き締め……えいっ!と体を起こして思いっきり頭突きを自分に、ヴォルにぶちかます。

「いった!!!!!!」
「いくらヴォルでも、さすがに嫌だってば!」
 痛がる自分を見て、心の奥がちくっとするハリーだが線引きはしっかりしないとヴォルはどこまでも突き進む、とここは心を鬼にして腕を組む。

「僕は、ヴォルが好きなの!次またこんな悪ふざけするなら……次は大事なところ思いっきり蹴っ飛ばすからね!」
 悪ふざけもほどほどにして、というハリーに痛がりつつも悪い顔をしている自分は反省しました、とがくりとうなだれた。ここでいつもならば許すハリーだが、ぐっとこらえる。ヴォルもまた今回はやりすぎたと思っているのか、おとなしく座っていた。

「それで、どうして今回はこうなったの?」
 たまには厳しくしなきゃ、とぐっとこらえるハリーにばつが悪そうな自分の顔で、面白いかと思って、とヴォルが素直に白状する。ヴォルだったらどうなの?というハリーの言葉にすみませんでした、とすぐに白旗を上げ、しゅんと小さくなる。

 やがて効果がきれ、ヴォルに戻るとようやくハリーの怒りも収まり……ぎゅっとヴォルを抱きしめた。ハリーの胸元に顔を埋め、大きく息を吸い込むヴォルはじっとハリーを見上げる。

「ハリーのこと何でも欲しい」
 ダメ?と首をかしげるヴォルにハリーは大きくため息を吐き……変なことしたら怒るからね、と額に口付けた。わかった、変なことしないと約束するヴォルによって……朝まで“普通”の範囲内の責め苦に喘がされることとなった。


 空き時間を見つけてはハーマイオニーらも加わり、必要の部屋で特訓するハリーは杖を方位磁石の様にして目的地を探る魔法を練習し、ヴォルは魔法生物の本を読む。ロンもハーマイオニーと共に本を漁り……これなんていいんじゃないか?とハーマイオニーに尋ね、ハリーが習得可能であるかをヴォルに聞く。

「この手の魔法は回数こなさなければ制御の面が不安だな。一応覚えておいてもいいだろうけど……。ハリー見ていてくれ」
 本を閉じたヴォルが立ち上がると、必要の部屋に的が欲しいと言い、人型の模型を呼び出させる。杖を構えるヴォルはコンフリンゴ、と唱えると的が爆発し、3人はその威力に息をのむ。

「決闘でよく使われる魔法だ。ある程度の魔法生物ならば吹っ飛ばせるだろうが……。ハリー、やってみてくれ」
 杖の動きはこう、と必要の部屋が用意した棒を振る。ハリーも同じくただの棒を振り、杖に持ちかえると的に対面した。

「コンフリンゴ」
 バーンという音ともに的のそばの床が壊れ……もう一発、とヴォルに促されて魔法を放つ。なかなか魔法が当たらず、時々呪文そのものが不発で……ハリーはあーあとうなだれた。

「だから言っただろう。これは数をこなすしかない。インカーセラスなどで足止めをするなども手だろう」
 お疲れさま、とハリーのこめかみに口づけるヴォルにもはや二人は気にすることはなく、今覚えている魔法でも応用次第かしらと話し合う。

「過去にはスフィンクスもいたらしい。謎かけをするエジプトを代表する魔法生物だな」
 制御しにくい魔法生物はいないだろう、というヴォルにロンがそれ見た、と声を上げた。以前エジプトに家族で行った際に見たというスフィンクスにハーマイオニーが興味を持つ。
 保護されていたらしく遠くからだったというロンは本当に人間のような顔だったことや、喋ることなどを聞いて、ハリーは僕でもわかる問題出るかなーという。

「そこらへんはどうなるかわからないな。なにせ、知識ではなく、知恵を求められる。よって、何かしらの知恵比べなどを仕掛けられるだろう。これには事前の予習などもなかなかできない。大丈夫だハリー。難しく考えなければいい」
 そういうやつだ、というヴォルにハリーはなるほど、と頷いて他にはどんなのがあるかな、とつぶやいた。過去の開催事例にはそこまで詳しくは書いていない。唸るハーマイオニーは迷路が木なのが少し気になるわ、という。

「木という事は……魔法界の植物がただの木なわけないわ。だから、その壁自体にも仕掛けがあると考えた方が良いかもしれないわね」
「確かに。まぁハリー。あの偽物がある程度の障害を排除しようと動くはずだ。よって、肩に力を入れ過ぎず、ただゴールを目指すことを考えた方が良いだろう」

 俺様は俺様でゴールを目指すから安心してくれ、と特に身構えていないヴォルにハリーはそれもそうなんだけどね、と苦く笑う。できれば自分の実力で頑張りたいが、今回ばかりは手を出す隙が多すぎる。そんなハリーの複雑そうな心境を見透かした風なヴォルは俺様たちが7学年になった時にまた開催させればいい、と口づけた。

 ファッジ大臣、そのうち病気で引退しそう、とロンとハーマイオニーは顔を見合わせ、どこかはにかんだように笑う。あの夜以来、本当になんだか二人の距離縮まったな、とヴォルは二人をちらりと見て、やっとか、とすぐに頭から消してハリーを抱きしめた。
 
 




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