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行き過ぎた快楽と、注ぎ込め過ぎた故に少し膨らんだ気すらする腹部に、ハリーはいつからか気絶したように眠りに落ちていた。もうどれほど注ぎ入れたか覚えていないヴォルはさすがに体力の限界、とハリーを抱えたまま倒れ込み、体を密着させたまま目をつぶる。
情事のさなか俺様のハリーと囁くヴォルに、ヴォルこそ僕の物と返していたハリーの言葉が嬉しくて、そっと額に口づけた。
翌朝、目を覚ましたヴォルはじっとハリーを見つめて、鼻先に口づけを落とす。ふるりと開いた緑の瞳が目の前のヴォルを認識するとふにゃりと撓み、自分からヴォルにおはようのキスを返す。
「この必要の部屋を今度から使おう。ここならば誰の邪魔もなく、気兼ねもなく愛し合える」
道具も出し放題だ、と言うヴォルにハリーは肩を跳ね上げ、慌てて起き上がろうともがく。ふと、動きを止めたハリーは恐る恐る下腹部に手を伸ばし、密着している肌に触れた。
「最後は俺も疲れて眠りに落ちたからいれたままだったな」
どおりで気持ちがいいはずだ、と涼しげな顔で告げるヴォルにハリーは言葉を紡ぐことができず、真っ赤な顔ではくはくと唇を動かす。
こんなことして大丈夫なの?という言葉と、そんなに僕が欲しかったの?とか、様々な言葉がぐるぐる渦巻いている。
「ハリー……。もしも、もしも俺様がどうにかできると言ったら、ハリーは子を望むか?」
ハリーの腰を抱き、向き合うヴォルはそっとハリーの下腹部を撫でながら真摯な眼でハリーを見つめた。虚を突かれた顔で目をしばたたかせるハリーはつられるように、お腹に置かれたヴォルの手に手を重ねる。
同性同士で考えたこともないが、ヴォルの子供がいたらきっと可愛いだろう。絶対スリザリンで、ヴォルと同じように蛇をペットにして、男の子でも女の子でもきっとモてるに違いない。
「っ!どっどうしたんだハリー。何か気に障る事でも……」
「ヴォルに似た子供は見たい。けど、ヴォルがそのために知らない女(ひと)と寝るのは絶対やだ」
ヴォルは僕の物なのに、とボロボロと涙を流すハリーに驚くヴォルはそっと涙をぬぐうと落ち着かせようと口づける。闇の帝王が慌てる姿になんだかおかしくなるハリーは泣きながら笑い、ハリーからも唇を合わせた。
「まったく。ハリー、俺がハリー以外を抱くわけがないだろう。産むのはもちろんハリーが、俺様のを産むんだ」
当り前じゃないか、と言うヴォルに落ち着いたはずのハリーは思考が止まる。この闇の帝王、とんでもないこと考えてない?とようやく事態を飲み込んだハリーはどう反応するのが正解かわからず、口を開こうとして納められたままの刺激に腰を跳ね上げた。
「俺様としてはどちらでもいいんだけど、ここに注ぎ入れているときに不意に考えたんだ。こんな抱きかた、ハリーが女だったら確実に孕むだろうな、て。ハリーがもしも将来俺じゃない誰かと結婚し子供が生まれたらハリーに似ているだろうと。だけど、俺様は絶対にハリーを手放したりなどしない。だけれどももしもハリーが子供欲しいと思うのならば……それは俺様との子以外認めないと思ったんだ」
ずっとかつての口調と今の口調が混ざるヴォルの言葉に、ハリーは嬉しくなって、でも言いたくなくてはにかむ様な笑みを浮かべると、ヴォルが小さな呻きを漏らす。え、え、と驚くハリーだがどこか顔を赤くしたヴォルがじっと見つめてきて、すぐにその原因を思いつく。
「なるほど、嬉しく思ってくれるのか」
入れたままでよかった、と言うヴォルに急いで抜け出そうとするハリーだが、簡単に捕まり小さく喘ぐような声を漏らした。
結局、ハリーが解放されたのは昼頃で、ヴォルの持っていた回復薬でも完全には治らずハリーはその日一日を寮の部屋で過ごすこととなり、ナギニが呆れた顔で主人を見送る。
原因を作ったヴォルはこれ以上ないほどに肌ツヤよく、完全にダウンしたハリーと違って満ち足りた様子で罰則を受けていた。マグル式の拭き方で磨くトロフィーだったが、盾一つを除いてテンション高く磨かれたものは確認しに来たマクゴナガルがひくほどの輝きをもって陳列され、抱きつぶされたハリーに同情のため息を零すこととなった。
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