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朝になり、目を覚ましたハリーは起き上がろうとして全身あちこちが痛いことに気が付いて顔を真っ赤に染めた。
お互い裸のままで、絡み合うように眠っていたと、勝手に開けられることはない扉に感謝しつつヴォルを軽く揺さぶる。
起き抜けにハリーの唇を堪能したヴォルが起き上がると鞄から何やら瓶を取り出した。
「念のための回復薬だ」
顔を赤くしているハリーに渡すと、杖を振るった。
ぐしゃぐしゃになっていた寝具だけでなくハリー達自身をも清めるヴォルは大人しく回復薬を飲むハリーを見つめる。
「なんか手馴れている感じ……」
回復薬を飲み、どうにか動けるようになったハリーは恨めし気にヴォルを見上げた。
予想していたのか、笑みをこぼすヴォルはハリーの首筋に口づける。
「ではハリー。聞くけど童貞の闇の帝王なんてしまらないだろうが」
さすがに前世……というべきなのか前回というべきか。60年ほど生きていたヴォルが全く経験がないことはないと、やさしくハリーに口づける。
「ヴォルにすっかりやられた感じが悔しい……。もしかしてその……女の人以外にも……」
「異性は幸いなのか、なんなのか……そういった類には不自由はしなかったが……同性はあとにも、この先にもハリーだけだ。誓ってもいい。それに、ずっとそばにいてほしいと思えるのはハリーだけだ」
たいていの悪さはしてきたというヴォルデモートにハリーはため息をついて仕返しとばかりにヴォルの首筋に口づけを落とした。
同性は自分だけという言葉がうれしくて……自分だけを求めてくれることがこそばゆい。
部屋の音が一切聞こえないし、勝手に開けられることもないと、一日の終わりにシャワーを浴びて早々に部屋にこもる二人はキスから始まりお互いを求めあう。
これ以上ない幸せな日々にヴォルは上機嫌な様子で眠ったハリーを撫でる。あとにもさきにも……こんなにも大切なものはないと、そっと額に口づけた。
そんな幸せいっぱいの日々も……バーノンの妹が来るという話を聞いた途端ハリーとヴォルは顔をこわばらせたことで終わりを告げた。
マージ叔母さんはダドリーが世界一可愛く……反対に痩せた二人はあまり好きではない。
……のはずだがヴォルの顔だけは評価しているようでやたら絡んでくるのだ。
それがヴォルには苦痛でしかなく、難癖で批判されるハリーも勘弁してほしいと思う人だ。
大人しくすること、二人そろって評判の悪い程度の悪いハイスクールに通っていることで口裏を合わせる様にという。
面倒だなという顔をするヴォルにハリーは苦笑いし、そうだとバーノンを呼び止めた。
「あの、僕ら学校のある書類に記入してもらわないといけなくて‥‥」
「話は絶対に合わせるから、その代わりにそれにサイン貰ってもいいですかね」
それぐらいしてもらわないとうっかりが起きてしまうかもしれない、と二人がともに意思が通じ、目配せすることもなくバーノンに告げる。
顔を赤くしたり白くしたりするバーノンは少し考えたあとずいっとまえにでて二人を……主に身長の低いハリーを睨むようにして念を押し、無事終わった後サインをしてやろうという。
「滞在中はセックスはやめたほうがよさそうだな」
万が一乗り込まれでもしたら大変だと、出しっぱなしの魔法関係をトランクにしまい、ヘドウィグたちを見る。
大々的に飛び回る姿を見せるわけにもいかないかと、ヴォルはナギニを専用の袋に入れてじっとヘドウィグを見た。
「ロンの一家はまだエジプトだったな」
「そうだね、まだのはずかな」
「わたし、そろそろ脱皮の時期だからあまり動けないし、どこでもいいわ」
預けようという二人にナギニはご飯がまずいのは嫌という。
異国に送るのは嫌だな、と考えるヴォルはどこにと考える。
ヘドウィグとナギニとそれぞれであればきっと数日は自由でも生きていけそうだが、何かあったらと考える時が気ではない。
「よし、じゃあルシウスの所……とおもったが息子の……マルフォイに見つかると面倒だな。セブルスの所にしよう」
ルシウスの所と考えるヴォルだが、マルフォイのことを考えて一番勝手がいいスネイプのもとに送ろうと手紙を書く。
そういえばあれの私生活どうなっているんだろうかと、飛んでいく白い梟を見送りながら考え、ため息を零した。
「スネイプ……ナギニを実験台にしたりしないよね」
大丈夫かなと心配するハリーにヴォルは多分大丈夫だろうと、眼をそらす。
「一応見返りとして毒はあげるようナギニには説明したし手紙に書いたから大丈夫だろう」
鳥かごに魔法をかけトランクに収めるヴォルはナギニの毒なら何か新しい魔法薬ができるかもしれないと考えて窓を閉めるハリーに目を移す。
ハリーが振り返るよりも先にヴォルはナイトシャツから覗く白い首筋に顔を埋め、音を立てて口づけを落とした。
そのまま押し倒し、膨れるハリーの頬に手を当てて唇を重ねる。
「俺様をがまんさせるのだ。あとできっちり楽しませてもらうぞ?」
目を赤く光らせ、欲を隠しきれていないヴォルにハリーは目をしばたたかせてうんと頷いた。
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