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 目を覚ましたらきっと目の前には心配そうな顔のヴォルが顔をのぞき込んで…
そう思って目を開いたハリーはブルーの瞳と白いひげを見て、その険しい顔に夢じゃないんだと、ショックを受ける。
「何があったんじゃハリー。」
「ヴォルが…ヴォルが昔学生時代の時部屋を開けて…今は誰かが分霊箱に操られていると…。」
「場所については何か言っておったか?」
 ハリーが体を起こすのを手伝うダンブルドアに、ハリーは聞いたことを話す。
ふわふわとして実感はまだない。
ダンブルドアの後ろのベッドに誰か寝ていることだけ理解できる。
「いう前に何か…大きな蛇が…。」
「みたのかね?」
 スネイプの声にあぁいたんだ、と他人事のように思うハリーは見てはないと首を振った。

「蛇の声が…それにすぐ足元を抜けて消えました。」
「なるほど…。もしかしたらじゃが…彼が思い出したことを気づかれていたのかもしれん。」
 しゅるりと音がして顔を向ければ不安げなナギニがじっとハリーを見つめていた。
手を伸ばし、頭を撫でるハリーに腕を這いあがり、零れたハリーの涙に寄り添う。


 ダンブルドアの言葉にどういう意味かと顔を上げる。
心がぐちゃぐちゃで頭が回らない。
「かつてと…そして今回とで彼は対象から外れている。じゃが、“見つけた”と言っていたということは最初から彼を消そうとしたのじゃろう。ふむ…やはり蛇ということはバジリスクが濃厚じゃな。じゃが一体どうやって移動しているのか…。」
 ヴォルの視力には必要のない度と、魔法をかけた眼鏡をかけていたおかげで石化で収まったというダンブルドアにそういえばヴォルも見るなと言っていた事を思い出し、止まることのない涙が胸元を濡らし続ける。
「バジリスクならば通常の石化解除薬でどうにかなるでしょう。」
「後はマンドラゴラの収穫を待つばかりじゃな。」
 二人の会話が遠くで聞こえ…まさかとハリーは呆然としたところから徐々に意識を戻していく。
ヴォルが狙われたのがもしも襲撃を止めることを阻止するだけじゃなく…。

「ダンブルドア先生。お願いがあります。」
 お願いしますと顔を上げるハリーにダンブルドアは、どこかまだ思案するように髭を撫で…にこやかに引き受けようと頷く。
 それと、と起き上がり、動かないヴォルの傍にやって来たハリーは腰の後ろから杖を取り出した。
「スネイプ先生、ヴォルの杖を預かってもらえますか?」
 長めの杖を差し出すハリーにスネイプは眉を寄せる。
それを見越していたハリーは対策ですとそれを差し出す。

「この中には…お母さんとお父さんの魂が再現させるすべがあります。もしもヴォルを狙っていたとしたら使い慣れたこのイチイの杖を奪いに来ると思うんです。そうなったときもう二度と再現させる事ができなくなるかもしれない。それどころか、闇の帝王がよみがえってしまうと思うんです。体と杖を別々に置いておけば最悪の事態は避けられるかなって…。」
 ピクリと動くスネイプにお願いしますと差し出すハリーは、ため息とともに差し出した手が軽くなったことに気が付いた。
 受け取ってもらったことにほっとするハリーはしばらく見ることができなくなるヴォルを見て…ぎゅっとその首元に縋りついた。

「僕を悲しませたんだから…誕生日プレゼントはお預けだからね。」




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