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 ヴォルとハリーがぎくしゃくしたまま時は流れ…
「ポリジュース薬?」
 ミセス・ノリス以降誰も襲われていないが、それでもスリザリンの化け物について学校中がピリピリとしているなか、どうにか探れないかと考えるロンにハーマイオニーが知ってそうな人に聞いてみましょうよという。
「ほら、あの時マルフォイが得意げだったでしょ。だからマルフォイの知っている人に変身して秘密を聞きだすの。」
 良い案だと思うけど、と少しふさぎ込みんでいたハリーもまたえっと顔を上げた。
「ホグワーツの規則をざっと50は破ることになるし、難しいけども…。」
「マルフォイなら納得だ。父親から代々受け継いだ鍵とか持ってそうだもんな。」
 どうかしら、というハーマイオニーにロンもあいつおだてりゃすぐ喋りそうなもんだ、とロンは賛成し、ハリーもやろうと声をかける。
「うん…そうだね。やってみよう。」
 うん、と久々に元気な声を出すハリーにロンとハーマイオニーはちらりと顔を見合わせて、頷き合う。
 どこかに出かけているヴォルにばれないようにしましょうと言うと、どうするべきかの作戦を練ることにした。
「最も強力な魔法薬っていう本に書いてあるってスネイプが授業で話していたわ。きっと図書室の禁書の棚にあるはずよ。」
 だから誰か先生から許可書を貰わないといけないんだけど…。
「でもそんな本を薬をつくらないけど興味があるからっていって納得してくれる先生がいるかどうか…。」

「あの花畑でいいだろ。えぇっとなんだっけ。グールとなんたらに出てくる毒薬調べたいとか何とかいえば。」
 困ったわね、というハーマイオニーにどこから聞いていたのか、ヴォルが顔をのぞかせる。
突然出てきたヴォルに思わずハーマイオニーは驚き、驚かれた本人はそこまで驚かなくてもと目をしばたかせた。
「前にスネイプがポリジュース薬だとかの説明の時に話していた本だな。」
 でもそんな本なんで読みたいんだ?と首をかしげるヴォルに最初から全部聞かれていたわけじゃないと、3人はほっと息を吐いた。
「そっそうなのよ。それでちょっと見てみたいなって思って。」
 それより花畑って誰のことよ、とハーマイオニーは眉を寄せ、悪びれた様子もないヴォルに深く溜息をつく。
 ロックハートだというヴォルはじっと自分を見つめるハリーに目を向けてそっとそらす。
「次の闇の魔術に対する防衛術の授業で機嫌を取って…聞いてみればサインしてくれるかしら。」
「ハーマイオニー。君はとても優秀な魔女だ。初日のテストも満点だ。そんな大切で特別なファンの頼みを無下にするはずがないだろう。何も策を練らなくても彼はサインをくれるはずだ。」
 大丈夫だというヴォルにハーマイオニーはそうかしらと顔を赤くしながら嬉しそうにペンをもてあそんだ。
 動かないものならなんだって書きそうだ、という言葉が浮かんだが、ハーマイオニーに睨まれそうな気がしてヴォルは口をつぐむ。
 会話している間一度もハリーと目を合わせなかったヴォルにそっとハリーが近寄る。
「あのね…ヴォル。嫌いになってもいいから…そばにいて。」
 何となく面白くなさそうなロンを見て、首をかしげるヴォルは自分の袖を握るハリーに振り向き、小さくつぶやかれた言葉に目をしばたかせた。
 そんなヴォルに気が付いたのか、ハリーはぱっと手を離すとちょっと箒の手入れをしてくる、とヴォルが返事を返す間もなく部屋へと姿を消す。
 
「ハリーのいったことってなんか矛盾しているような…。」
 嫌いでもそばにいてってどういうこと?と首をかしげるロン。
ハーマイオニーは呼び止めようとして固まるヴォルの肩を軽くたたく。
「ヴォル、あなたもう少しハリーのこと考えなさいよ。ここんところずっとあの調子じゃないの。ヴォルのほうが人生経験ずっとあるんだから…素直にならなくてどうするのよ。」
 まったく、子供じゃないんだから、とヴォルにだけ聞こえるように言うと、ヴォルは驚いたように振り向き、じっとハーマイオニーを見る。
 眉を軽く上げてそういうこと、と伝えるハーマイオニーにヴォルはただ目をしばたかせるしかない。
「ハリーってホント素直よね。嘘とか苦手でしょ。ちゃんとフォローしないと。」
 頑張んなさい、というハーマイオニーは羊皮紙を引っ張り出してブツブツと何かを書き込んでいく。
 どうかした?とロンが問いかけると、ヴォルは何でもないといいながら目元を隠す。
 ハーマイオニーがハーマイオニーでよかったというのと、必死に嘘をつこうと頑張ったハリーを思い描き、かわいい、と心の中でこぶしを握る。
「ハリーについてはちゃんとするつもりだ。ただ、また何かに巻き込みそうで…それがちょっと嫌だ。」
 嫌な予感…それは自分の過去に起因する何かな気がして、それに巻き込みたくなくて悩んでいる、と心の中で呟くヴォルはどうしたものかと頭を振った。

 
 
 




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