いわゆる一般的なカントリーハウスのリビングで、最近撮った写真を暖炉に飾る。その隣にあるのは3人で撮った写真、皆で撮った写真。懐かしい、と手に取った人の後ろから手が伸ばされ、抱き込まれる。
「懐かしいなって」
何をしている、と無言の腕にハリーは笑い、ほらこれ、と3人で撮った写真を見せた。あぁ、そうだな、と受け取ったヴォルは数年前のことを思い出していた。
「俺様らが卒業し、一か月愛すのを果たせて本当によかった」
「ちょっと?」
そういう話じゃない、と頬を膨らませるハリーににやりと笑い、口づけを交わす。ことりと置き直した写真にはこの家に来た当時の、ヴォルとヴォルデモートに挟まれるハリーが笑顔で写っていた。
「あの時からわかっていたことだ。分霊箱から無理やり引き離しただけでなく、あれだけの材料で蘇ったのだ。5年だと思っていたのが7年も持っただけで十分だ」
その分俺様がハリーを愛している、と首筋に顔を寄せ、音を立てて口づけを落とす。うん、と頷くハリーだが、少し寂しいのは仕方がない。あれだけ二人に抱かれ、愛されたのだから。
「あと50年もすればあの姿に近くはなるだろう。……あの蛇顔ではないけれど」
「どんな顔をしていても、ヴォルはヴォルだよ。それに、崩れる前にヴォルが少し魂を受け取っていたでしょ。だから、何も変わらないよ」
ちゅっ、と軽いリップ音を残し、離れようとしたハリーだがヴォルの手は緩まない。それどころか服をひく感覚に顔を赤らめ、ダメだよと口ではいいつつも不埒な手を止めることはせず、じっとヴォルの手を見つめる。
「魂を少し取り入れたおかげで若干歳をとってしまったが、これはこれでいいだろう」
ハリーはどちらの俺様も平等に愛してくれていたからな、とズボンに侵入した手できわどいところを撫でながら、ヴォルはハリーの少し手火照り始めた首筋に口付けを落とした。ダメ、とつぶやきながら力を抜いてヴォルに寄りかかるハリーにヴォルは興奮し、自分が着ているローブ……かつて着ていたというヴォルデモートらしいローブでハリーの下半身を覆い隠す。
出かけるときなどはきちんとした格好ではあるが、家にいるときは主にこの長いローブスタイルのヴォルだが、その理由がこれだ。
いつでもハリーを抱けると、宣う彼らはハリーが少しでも油断や隙を見せるとどちらかがハリーを抱き、気が付いたもう片方が参戦するというのをヴォルデモートの肉体が限界を迎えるまでの日課だった。
最初こそ抵抗していたハリーだが、反省するふりをしてわざとおあずけ状態で放すという事を繰り返した結果、ハリーが折れて受け入れるようになったのだ。
それはヴォルだけになっても同じで、毎日のようにおかえりから行ってきますまで空いた時間を濃密なものへと変えている。
シャワーを浴びてすっきりしたハリーはまた今日も拒めなかった、と鏡を見てため息を零す。それにしても、とハリーは服を着ると楽しげな声のするリビングへと入った。
「あ、ハリー」
少し高めの声が聞こえ、軽い足音が駆け寄ってくる。もう起きたのかい?と抱き上げるハリーにヴォルの方からもヴォルとは違う声が聞こえてくる。
「ルベウス、ベリルお昼寝はもう大丈夫?」
僕はお兄ちゃんだからもう大丈夫、という幼子と2歳下の妹ベリルがもう起きた、と元気よく答える。どちらかというとハリーの方がお疲れだな、とそういうのはヴォルで、ハリーとしてはなんでこんなに元気なの、とため息しか出ない。
「ハリーとヴォルは仲良し!」
ねーっと笑うベリルに子供の教育に悪い、とハリーはヴォルの頬をつねった。卒業後、一か月ダブルヴォルに愛されたあと、仲のいい人らを招いての小さなパーティーを行った。ヴォルデモートもヴォルも死喰い人は呼ばず、本当に小さな内輪のパーティーだ。結婚式などというものは行わず、ガーデンパーティーを行い、そこでヴォル達に家族を増やすことについて了承した。
ヴォルデモートがまだいるときに生まれたルベウスと、崩れてしまったあとに生まれたベリル。どちらの名前もヴォルデモートがつけた。つけた、と言ってもベリルは彼が去ってしまった後で、未来を生きられるハリー達と違い不安定な体だったヴォルデモートが秘密裏に作成した名前ノートから名前を付けている。
二人?が作った魔法薬、それはハリーにはさっぱりだったが、何でもハイエナの雌には雄と同じ陰茎によく似たものがあり……雄の体とどのような差異があるのかを誰から調べたらしい。その結果、二人にここだと散々いじられた前立腺が子宮にならなかった同一の部位であると突き止めたと。
さすがにハイエナのような構造にするわけにはいかない、とあの3日間でよくもまぁ頭が回るものだと、説明がてら抱きつぶされたハリーはその執念に脱帽だ。
細かなことはもう勝手にして、と理解を放棄したが、二人が作り上げた魔法薬を服用したことで精子は膨大な数をどうとかなんとかで1つの卵子を作り、陰茎の根元に開いた穴がいわゆる女性の……性器だとか。
2人に任せたとはいえ、僕の体どうなっているんだろう、と散々首をひねることにはなったが、二人が一度に後ろに入るのではなく、分かれて入ってくれるようになったのは正直ほっとしたような、増えた快楽に後悔するような……。
ルベウスが生まれるときに聖マンゴ魔法疾患障害病院に通院したが、癒者らにはなんと表現されるべきか、何とも言えない目を向けられたのは記憶に新しい。激しい性交はダメだと言われてむっとするヴォルデモートとヴォルの態度に呆れていた気もするが。
今のハリーは一応闇払いに在籍しているが、ほぼ席をそこに置いているだけで特にこれといった仕事はしていない。卒業して、薬を飲んで……。一か月抱く宣言からほどなくしてルベウスをお腹に宿し……ベリルを宿したままヴォルデモートの魂の一部をヴォルが受け継いで。
そもそも、フレッドとジョージがヴォルを開発者として雇ったこともあって、週の大半家にいる、在宅ワークを許したがために隙あらばハリーを抱きしめ抱きつぶし。
やれやれとため息を吐くハリーにベリルが小さな手でハリーのお腹に触れる。
「もうすぐお姉ちゃんになる!」
嬉しそうな娘にハリーはそうだよ、と頭を撫でてあげるとそっとお腹に手を乗せた。ノートの名前を全部使いきることは恐らくは無理だが、隣に来たヴォルがハリーの手に手を重ね、ハリーに口づける。
「愛する対象が増えるごとにハリーはますます魅力的になる」
どれだけ抱いても飽きない、とハリーを抱き寄せ、肩口に顔を埋めた。深々とハリーのにおいを嗅ぐヴォルにハリーは恥ずかしくなり、もう、と振り払おうとして意趣返しにえいと抱きしめ返す。
「あーハリーほんと学習しないなー」
「お兄ちゃん、箒の乗り方教えて!」
ヴォルにしっかりと抱きしめられて寝室に連れ込まれるハリーはまって、ちょっと!と声を残し消えていく。
「僕さ、ずっとヴォルに言いたかったんだけど」
キスして抱きしめあって。そんな折にハリーから出た言葉にヴォルはどうしたんだ?と首を傾げた。
「人生やり直して……僕のそばにいてくれてありがとう」
「あぁ、ハリーのお母さんに感謝せねばな。俺様をハリーのそばにいさせてくれたことに。俺様にやり直しのチャンスをくれ、そしてハリーという代えがたい唯一の宝物をこの世に生み出したことに」
額を合わせ、ふふふと笑うハリーにヴォルは口角を上げ、相変わらず冷たく聞こえる笑い声をあげる。
外では増えた大事な家族の笑い声が聞こえ……幸せだと手を握り締めあった。
リバースライフ 終わり