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5月24日の朝は快晴で、無理しないでね、というハーマイオニーとロンにハリーは頷き、俺様がいるのだ任せろ、とヴォルが胸を張る。
「ヴォル、一応忠告するけれども、迷路の中でハリーといちゃつかないようにな」
大丈夫とは思うけど、とロンが言い出してハリーはじっとヴォルを見つめた。ポリジュースを飲んでは嫌だってハリーが言っていたからない、と言い切るヴォルにもう前科あるのか、とヴォルに渡すポリジュースを持ってきたセドリックはため息をついて、ユニフォームと小瓶を渡す。
「さっき来月の本番の説明を受けてきたけれども……迷路か。魔法生物の貸し出しとか……ハグリッドがすごく喜んでいそうだな」
目に浮かぶようだ、と笑うセドリックに確かにとロンとハリーは顔を見合わせて笑う。そういえば世話はあいつか、とヴォルは国際問題にならなきゃいいんだがと首を振った。ハーマイオニーも起きうる事態を考えて本当にね、と笑う。
「それじゃあ、僕らはこのまま待機場で終わるのを待つから。ここでいろいろけりが付くことを祈るよ。そして、いつかまたまともな方法で勝負しようハリー」
「その時は絶対負けないよ。ヴォルが望んでいないことをしている残党なんて、早く終わらせて見せる」
握手するよう手を差し出すセドリックの手を握り、絶対やろうとハリーは力強くうなずいた。本当に馬鹿どもは最後まで世話が焼ける、とため息を吐くヴォルだが、そもそもそいつらを集めたのはあんただろう、とハリー以外の心のツッコミが見事にハモルのであった。
歓声の中、4人の選手は迷路の前へと集まった。バクマンが声高高に開催の挨拶をし、今の順位を上げていく。トップで並んでいるのがどちらもホグワーツ生という事で、周囲の盛り上がりは一段と高くなり、最下位のフラーをボーバトン校が声を上げて応援する。
「それでは順位順に中へ入っていくため、ハリー=ポッター、並びにセドリック=ディゴリー!合図とともに中に入ってください」
そんな声が聞こえ、ハリーとセドリックは顔を見合わせて合図を待つ。開始の合図とともに別々の道を選び中へ入ると、ハリーは心細くなりそうになるのを堪える。これでようやくヴォルと二人、警戒することなく一緒にいることができるようになるはずだ。それが支えになり、ハリーは奥を目指す。
方角を知る呪文は2学年の時ヴォルが見せてくれたものだ。懐かしい、と口角を上げ先へと進んでいく。フラーが入る合図を聞き、方角を確認しつつ進むハリーは懸念していたスフィンクスの問いに答え、なぜか天地が逆になる霧を越え……フラーの緊急用の明かりが上がるのを確認した。
ヴォルの言うように外部からの排除があるのか、ほとんど脅威と呼べるものには遭遇していない。やっぱり、と杖を握り締め先へ先へと進む。
ヴォルは難なく進んでいるだろうが、ちゃんと合流できるだろうか。一人で立ち向かう覚悟もあるが、その間にヴォルに何かあればと思うと心配で仕方がない。主に、嘘の情報で自分が死んだとか、そういう言葉を言われたら大暴走が起きそうではある、とその心配が一番大きいハリーは人の声を聞いた気がしてじっと耳を傾けた。
ほどなくしてすぐ近くからクラムの花火が上がり、ハリーはパトローナスを呼び出してその壁の向こうへと送る。すぐに蛇のパトローナスが来て、ハリーは角を曲がった。
「クラムが先ほど襲い掛かってきたが、どうやら操られていたようだ」
セドリックはそういって倒れているクラムを示す。ハリーはそれを見て頷くと反対の通路を見る。遠くに金色の光が見え、ハリーはちらりとセドリックに目配せをした。
こくりと頷かれ、一緒に走り出す。ほとんど重なるように走っているおかげか、妨害はなく二人そろってトロフィーの前までやってきた。
『あ、ヴォル、手から血が!』
『全部避けるわけには行かなかったからな。後で薬を塗れば治る程度だ』
走りながら蛇語で指摘するハリーに、多少が不意打ちをされた風を装った方が良いと怪我を負ている右手を持ち上げる。
あの魔法の眼では見ることはできても聞こえることはない、それでも会話している様子は怪しまれる、と指摘するヴォルにそれはそう、とハリーは納得したため迷路の中での会話は口がほとんど動かない蛇語ですると決めていた。だからと蛇語を使うハリーだが、セドリックの顔から蛇語が聞こえるのはなんだか不思議な気分だ。
「どうせ罠だろう」
「いちにのさんで同時にとろう」
あの馬鹿どもが考えることだ、とため息を吐くセドリックにハリーは苦笑し、掛け声とともにトロフィーを掴んだ。
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