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「俺様の魂を消すことは困難であると判断した魔法省は俺様にこの箱に入るのであればなんでもかなえると言った。この箱に入ってしまえば外の情報はわからない。だから俺様は魔法薬と…ハリー=ポッター。お前を要求した。俺様とてこのような箱に封じられるなど冗談ではない。名実ともに英雄となった希望の象徴を手放すことはないだろうと俺様は不可能を要求した。」
ヴォルデモートの言葉にハリーの瞳が揺らぐ。
そう、いくらヴォルデモートであってもこの箱に封じられたくなどなかっただろう。
だから…跳ね除けられる要求を出したのだ。
だがその結果が今だ。
「やつらは嬉々として英雄を連れてくればいいのだなと承諾した。箱にまずハリー、お前の名前を刻み、そのうえで俺様の名を刻んだ。双方がそろった時、蓋は閉ざされる。俺様とてこのゴーストを捉えるための香炉を用意されてしまえば離れることはできない。そうこうしている間に蓋は閉ざされたのだ。」
奴らはお前の扱いに苦慮していたらしいという言葉にハリーの目から涙があふれる。
ダンブルドアでさえ、グリンデルバドルを倒した英雄のはずなのに…その実態は魔法省の扱いだった。
邪魔者はいてほしくないが、英雄も目障りだったのかと、ヴォルデモートに引かれるがままに抱き寄せられる。
ここには俺様達しかいない、とささやくヴォルデモートにハリーは外に出るという選択肢を捨てた。
自分を望まない世界に執着したところでどうなるというのか。
すべてを諦めたハリーは吹っ切れたようにヴォルデモートと学生時代のこと、幼少期のこと…お互いに宿敵という垣根を越えて話し合った。
時間という概念はすべて溶け、気が付いたら元に戻っている食料を食み、小川に足を入れる。
時に戯れで殺し殺され蘇り…世界の概念が根底から消え、禁忌も何もかもがこの世界には存在しなかった。
この世界に唯一ある人工物である寝台の上で白い肌が黒い髪を振り乱し、男の上で踊っていた。
後ろに咥えこんだ男の剛直に突き上げられ、甲高く喘ぐ。
どれほど長い間ここにいるかなんてわからない。
死ぬことさえできないこの世界で時間をつぶし、娯楽を得ることとして、こうなっていくのは自然のことだったかもしれない。
疲れたら眠り、飽きたらまた話をして…そしてまた所かまわず交わう。
魔法薬は様々で、元からこうなることを想定していたのかと、ヴォルデモートに問いかけるハリーはその薬でも翻弄された。
時に全身に力が入らなくなる薬を飲まされ、木の枝を使って凌辱された。
時に痛覚をはじめとするすべての感覚を何倍にもされて、軽くつねられただけで絶叫し、痛みにあえぐハリーを押さえつけ何度穿かれて、気が狂いそうな痛みと快楽に落とされたこともある。
ありとあらゆる方法を使って、ハリーは苦しめられ、快感をその身に刻み込まれた。
ハリー自らヴォルデモートに跨るようになって、ヴォルデモートはハリーを押さえつけ、赤く染まった肌を堪能しながらにやりと笑う。
時折挟む会話からもハリーは完全にこちらへと落ちてきたことを確認している。
時がたてば初めて男に組み敷かれた時の状態に体が戻り…そして蓄積されていく記憶と経験が周回をするごとにハリーに艶やかさを増していった。
自分はあくまでも霊体のようなもので、基本的に食事も…休息さえもいらない。
かりそめの肉体は感じる力や感覚などは備えられていたが、複雑なそれを再現することはできないらしい。
現に組み敷いてから何時間たったのか、何回放ち放たれたかそれすらもあいまいになるほど長い時間続けている。
ハリーは生身であるから声がかすれ、放つものもなくなって疲れの色が濃い。
気絶など死ぬ以外で意識を飛ばすことは許さないと、鼻先に気つけ薬をかがせ、最奥に自身をさらに押し込めると、意識を戻したハリーの背が撓る。
まだまだ時間はある、とハリーの赤く染まった白い肌を見つめた。
いつか知らない誰かがこの箱を開けた時、世界に絶望が訪れるだろうと、ヴォルデモートはしなやかな背に口づけを落とし、赤い印を残す。
この箱に…英雄だったものと、闇の帝王だったものの二つを入れたのだ。
それは互いを高めあい、そしてともに世界に絶望した。
力の強いもの一つに集めた結果、東洋の呪いの一つ“蟲毒の壺”と化したのだ。
何の罪もなく流刑に処された英雄。その怒りはやがて青い炎となって世界を焼き尽くす。
それまではこのままその体を指の先まで、髪の先まで染まるように犯し続けよう。
やがて彼も自分が生前そうであったように、食事も睡眠もいらない、人を捨てた人となるだろうと、喘ぐハリーを見下ろす。
恨みと怒りの化身となり、ここに閉じ込めた世の中をすべて壊してしまおうと、ヴォルデモートはハリーにともに世界を壊す誓いの口づけを交わした。
かつて英雄と呼ばれた人と、その英雄に打倒されたはずの闇の帝王の魂が封じられた小箱は中身を忘れ去られ、いくつもの闇に包まれ静かにその時を待つ。
分厚い埃をまとい、人から人へと流れていく開かずの小箱を手に取る人影がそっとふたに触れた。
~fin
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