あなたと二人どこまでも

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どんよりとした空。

いつもと変わらない日が始まろうとしていたが、その日は違っていた。


「ハリー。今週末は暇かしら?」
 談話室でぼんやりとしていたハリーに親友が声をかける。ハッと振り向いたハリーはごめんと首を振る。
「ごめん。ハーマイオニー。今週末はちょっと…。」
「もしかして例のあいつか?」
 隣に座っていたロンが声をひそめるとハリーは苦笑しつつも頷いた。
「そうなんだロン。忙しいみたいでここんと頃ずっとあってなかったから。」
 ぼんやりしていた理由…それは久々に会える事と、連日続く行方不明者の記事など…彼らが関係していると思われる事件の動きだ。
 もちろん、ハリーはあまりよく思っていない事だと知っているはずだが、それでもデスイーターの記事が絶える事がない。
「何処で会っているんだい?」
「ん~~っと…ホグズミードで待ち合わせしてから…ちょっと出かけるんだ。といってもダイアゴン横丁だけど。」
 ハリーは何気なく答えたが、途端にハーマイオニーの表情が変わる。ホグズミードでは叫び屋敷にいるぐらいしか出来ないが、姿くらましでノクターンに連れて行かれることもある。

 叫び屋敷にいるといえば見に来るとも限らず、かといって見かけないと言われても困るハリーとしては思い浮かばず、とっさにでた言葉だが、ハーマイオニーの表情に冗談だよ、と小さく返した。
「ダメよハリー!!!新聞読んでいるでしょ?出歩いたらダメよ!!!いい?その彼氏がなんと言おうともホグズミードで行動する事!ここでも充分危ないんだからね!!」
 ハリーの呟きをかき消すほど凄い剣幕でだめよというハーマイオニー。
「わっわかったよ、ハーマイオニー。大丈夫、ホグズミードにいるよ。」
 怒っているハーマイオニーに本当にさっきのは冗談だからと繰り返しすハリーにハーマイオニーはじっと見定めるように見つめる。謝るハリーにため息をつくハーマイオニーはわかってくれればいいのよ、と肩をすくめて見せた。ハリーはその時、ハーマイオニーの考えている事など露も知らずにいた。


「じゃあ僕はこっちだから。」
 そう言ってハリーはホグズミードの真ん中で2人に別れをつげ一人歩き出した。
心配そうな、ロンとハーマイオニーの視線に大丈夫だからと返すと、見えなくなったところで服に隠していた透明マントをはおる。
万が一を考えて隠れるハリーはちらりと時計を確認する。
 すこしのんびり来てしまったようだ。約束の時間まで残り少ない。
 マントが引っ掛からないよう気をつけながら急ぎ足で叫び屋敷に向かう。
一見するとどこからも入れなさそうな叫び屋敷は恋人の作った秘密の扉を開くことで中に滑り込むことができる。
 埃っぽい廊下を歩き、いつも待ち合わせている部屋に行くとまだ誰もいない。
ほっと一息つき、ソファーに座ると何かを引きずるような…這う音が聞こえ、ハリーは扉へと目を向けた。

 扉が開くとそこには長身の男がたっていて、ハリーをみると目を細めて中へと入る。
ソファーから立ちあがるハリーは嬉しそうにほほ笑むと男の腕の中に身を任せた。
「久しぶり、ヴォル。元気そうでよかった。」
「あぁ。ハリーも変わりはないようだな。」
 ハリーの顎をすくい上げ、軽く唇を合わせるヴォルデモートにハリーはくすぐったそうに笑い、細い骨ばった男の体に腕を回す。
 抱き返すヴォルデモートは擦り寄る子供の髪を撫で、上向かせると食らいつく様に再び唇を重ねた。
 息を奪う様な、絡みとられた舌を溶かす様な熱く深い口づけにハリーの足が震える。
すがりつくハリーに口角をあげたヴォルデモートは、荒い息を吐くハリーと自分をつなぐ銀色の糸にくつくつとわらう。

「もう音を上げるのか?」
「だって…久々で…。もう…我慢できない。」
 顔を赤らめるハリーにヴォルデモートは目を細めるとハリーの呟きにそうか、と首筋に口づけを落として答える。
そのまま耳元に口づけ、柔らかな耳朶を食むとわざと音を立てて口づけを落とす。
「んっ!みみ…やぁ。」
 だめとかすれた声で拒絶するハリーだが、腕の力は緩まない。
抱き上げるヴォルデモートに真っ赤になると今度は自分からヴォルデモートに口づけを落とす。
「さて、久しぶりの今日はどこまでこれるか楽しみだな。」
「んっ…あんまり…ぁっ…激しく…しなっぁあん!」
 愛撫しながらベットに運ばれ、押し倒されるとハリーの息が更にあがっていく。
濡れた緑の目で情欲に光る赤い目をじっと見つめるハリーに煽るなとヴォルデモートは笑ってハリーの服に手をかけた。

 そのまま布擦れの音と互いの荒い息が部屋を満たし、二人の影が重なり合った。
闇の帝王と英雄の秘密の関係。
何度も繰り返された二人だけの時間だが、その日だけに限って二人が部屋で待ち合わせていたことを確認した影が気配を消し、叫び屋敷から去っていったことを歳の離れた恋人に夢中の闇の帝王は気がつかずにいた。





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