HappyBirthday
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今年もまた、僕の生まれた日がめぐって来た。梟便が飛んできて知り合いや友人からのプレゼントをくれて。
でも、僕の大切な人には会えない。元々普通に会えるような恋人じゃあないのだけども…。
ロンやハーマイオニーがくれたプレゼントの喜びも、想い人を考えればすぐに消えてしまう。
「せめてプレゼントぐらいくれればいいのに…。」
まぁ出歩くことはあまりないみたいだし…無理かな。デスイーターの誰かを使えばいいのに。
って彼らの趣味…というかセンスで僕宛のものを買うなんて…。
ルシウスなんて萎びた手とかリドルの学用品とか…あ、それはちょっと欲しい。
けども、持っているの知られたらヴォル怒りそう。
生爪とか持ってこられてもいやだし…。
ため息をつきながら、ずっと使い続けているベッドに身を投げ出す。
埃っぽいようなベッドは少し硬い。
そろそろ寝ようかなと、目を閉じて…。
『っつ!』
『ですから梟便にしたほうが…。』
しゅっという音が聞こえて慌てて窓から外を見る。じっと耳を澄ませてみる。
『ここは血族がいる限りダンブルドアの呪文によって護られているとか…。』
『わかっている。だから…痛っ!』
『誘い出した方が…。』
ダンブルドア先生の名前が出てきたことではっとあたりをもう一度見回す。
鉄格子はないから身を乗り出すように庭をじっくりと見つめる。
けども月明かりで薄く照らされた庭には大きな蛇はいない。空耳だったのかな。
今日はダドリーの我がままで明日の夕方までバーノン叔父さんたちはいない。
ペチュニア叔母さんは渋っていたようだけど…。
幻聴が聞こえたなんてばれたら彼らはどれだけ笑うかな。
会いたくてしかたなくて…きっと聞こえた空耳。
一瞬でも期待してしまったからちょっとがっかりしてしまって…ハァとため息をついてうとうとと眠気に誘われて考えるのをやめた。
〈ミシッ〉
突然聞こえた音に驚いて目を開ける。
何かを引きずるような音と、布が擦れるような音が…。
また窓の外を見る。
やっぱり誰も…。
「っ!」
急に後ろから抱きすくめられて、驚いて叫びそうになる口を骨ばった手でふさがれる。
耳元に軽く口づけられてぴくっとふるえてしまう。
「ヴォっヴォル!?っん。」
振り向いた瞬間にヴォルの薄い唇が触れてそのまま深く口づけられる。
抱きしめられて…まるで食べられるように角度を変えて何度も何度も…。
「Happy Birthdayハリー。」
唇をふれさせたままささやかれて…。
軽く触れた唇が離れて…。ずっと会いたかった恋人、ヴォルデモートが赤い目を細めて部屋にいた。
嬉しくて思わず抱き返すとその大きな手で頭を撫でられて、もう一度深く口づけられる。
「ヴォルから直接お祝いしてくれるなんて…夢みたい。」
低い体温、不健康そうにも見える白い肌。
冷たい印象を持つ赤い目。
夢じゃないんだと擦り寄るとヴォルの低い笑い声が聞こえて…見上げると額に口づけが落ちてくる。
もう幸せ過ぎてどうしよう。
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