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「祝うだけで嬉しいということはこれはいらないようだな。」
 何かを懐に隠すしぐさをされて、首をかしげる。
もしかして…。会えただけでも嬉しいし、もう期待以上の事が起きているけど…。もっと期待してもいいのかな。
「もしかして…プレゼント?」
「もしや期待していたのか?」
「うぅん。だってヴォルがこうして会いに来てくれることがもう期待以上で…嬉しくて…。だからこれ以上期待していいのかなって。」
 懐に隠した時点でもう期待してしまう僕がいる。
恋人になって初めての誕生日。期待しても…いいよね。
「そうか。では…。」

 ぐるんと天井が回って…えぇえ!!???覆いかぶさるヴォルに目をしばたかせた。
ちょっと待ってこれは…。
「自力で俺様からの贈り物を取るがいい。もっとも…会えない日々が続いたことと、口づけだけでとろとろにふやけた姿を見せて俺様をあおったのだ。当然覚悟はできているのだろうな。」
 あおったって何!?口づけだけって…あんなに深い口づけして僕の事とろとろにしたのに。久々に会えたと思ったらいきなりその…だっ抱くの!?
「こっここはマグルのおじさんの家で…。あっ!もしかしてダドリーが急にわがまま言いだしたのは…。」
「ご名答。俺様が服従呪文をかけ忌々しいマグルを外に連れ出したのだ。だから今ここでどれだけ喘いでも誰にも聞こえない。」
 ダドリーのわがままはいつものことだけど…外出でのわがままなんて珍しいと思ったら…。
耳元に口づけられて、舐められるともう抵抗なんてできない。
「やっぱり。でも…ヴォルからプレゼントを取るなんて…。」
「俺様を満足させられたのならば渡そう。」
 ヴォルを満足って…満足って…。顔が真っ赤になるのがわかる。どこまでも自分の欲に忠実で好奇心の固まりで…そんなヴォルを満足って…。
「むっ無理だよ。」
「うるさい。じらすなハリー。」
 ぐっとヴォルの体重がかかって…あぁ、もう今夜は長くなりそう。


 ナギニが目を覚ます頃、かすれた喘ぎ声を洩らすだけになった僕の首に冷たいものが触れられた。
眠い目を開けてみると…牙?
「蛇の牙を加工したものだ。」
「もしかして…手作り?」
 肩口を少し強く吸われて、体がピクリと動く。まどろみかけていた頭が急に覚醒する。
「この俺様がダイアゴン横町だの、ロンドンだのに行くと思うか?」
「だよね。嬉しい…。」
 白い牙は月明かりでぼんやり光って見える。
「俺様が他人に贈り物なぞ…闇の印以外では初めてだぞ。」
 …あれは贈り物に…ってもしかして贈り物をしたのは僕が初めてってこと!?
「ありがとうヴォル!!」
 狭いベッドの中、抱きしめてに横になるヴォルに僕から口づけをして感謝の気持ちを伝えた。
「来年も…ずっとこうして誕生日迎えられたらいいな。」
 幸せを感じるとどうしても考えてしまうこと。
宿敵であるためいつまでもこうしてはいられないことぐらいわかっている。
「それは俺様にもわからぬな。たとえ来年杖を交えることになるとしても、お前に対する気持ちは変わらない。…ハリーが俺様から離れようとしても決して逃がしはしない。」
「僕だって。絶対変わらないよ。それにね、僕だってヴォルが離れようとしても…絶対逃がさないんだから。」
 くるりと押しつけられ、覆いかぶさられるハリーはヴォルデモートの口づけを受けながら放さないんだから、と返す。
 抱き合いながら幸せいっぱいで眠りにおちる。
 多分目を覚ましたら全部きれいにされていて…ナギニともども姿を消しているだろう。
けど、夢なんかじゃない。
その証拠に首にプレゼントがある。早く姿現しを取得して会いに行けるようになりたいな。




 
~fin

 



HappyBirthdayハリー★
ヴォル様と幸せに~。
ヴォルハリだと年齢が明記しにくいのでご想像のままに。
在学中前提ですけれども(笑)
ギリギリUPできました☆
2019年:ほんのり修正

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