外出禁止
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「Mrポッター。最近貴方が何か変だと、Msグレンジャーが心配していましたけど…どこか体調でも悪いのですか?ずっと見ていましたが確かにぼんやりしている事が多いようですけど。」
突然マクゴナガル先生に呼び止められ、振り向きながら僕は目をしばたかせた。
ハーマイオニーが僕に聞かずに直接マクゴナガル年生に相談するなんて…そんなにぼんやりしていたかな…。
「いえ、どこも悪くないですけど…。」
廊下で呼び止められるのは今に始まったことではないけども…。心当たり…はある。
彼にあうのは週末だから腰の痛みは今はない。月曜日は痛い事もあるけども。
今夜会う時に相談してみようかな。
「Mrポッター!!ちゃんと聞いていますか?」
「えっはっはい!」
うっかり先週あった恋人…ヴォルデモートを思い浮かべでしまった僕にマクゴナガル先生の声が聞こえて慌てて頭から毎週末楽しみにしている逢瀬の記憶を消す。
これがスネイプで開心術でもかけられていたら…あぁ恐ろしい。
ヴォルデモートと僕がつきあいだしたのはそもそも…なんだったっけ?まぁいいや。
「Mrポッター!!!」
再び物思いにふけていたらしく、マクゴナガル先生は眉間にしわを寄せて…怒っている。これは何か嫌な予感がする…。
「注意不足もここまで来ては…週末は外出禁止です!こんな状態でもしも死喰い人にでもつかまったりでもしたら…。」
「そっそんな!ホグズミードで買い物を…。」
ホグズミードに行くのもだめなんて…。でも暴れ柳から移動すれば…。
「当然だめです。ホグワーツ校内だからと言って安心しているのも心配です。明日は城内にいる事。」
城内にいることと言われて暴れ柳に行く事さえも禁じられかけている。
それは困る!!
「クィディッチの練習とかありますし…。」
「クィディッチの競技場の予約は明日は入っていません。それとも何か?他の用事でもあるのですか?」
どうしようと焦ってうまく頭が回らない。
どうしよう。
どうやってヴォルデモートにこの事を伝えればいいんだろう。
そっそうだ!蛇!蛇を使おう。
「わっわかりました先生。それじゃあ…。」
出来るだけ怪しまれないように立ち去り…中庭をきょろきょろとみる。
いればいいけど…。
「アクシオ、蛇よ来い!」
中庭のどこかに隠れていた蛇が飛んできて…
「Mrポッター!何をしているんですか!」
わわわっ!裾に飛び込んだ蛇の冷たさとマクゴナガル先生の声で方が美君を大きく震える。
あ、蛇…ヴォルみたいに冷たい。慌てて寮へと駆けて談話室を突き抜けて部屋に飛び込む。
裾に入ったままぶんぶんふってしまったせいか、蛇は目を回して気絶している。大丈夫かなとみていると目を開けて迷惑そうに僕を見上げてくる。
「ごめんね。あの…お願いがあるんだけど…いいかな。」
「いきなりぶん回して…って、人間で俺と会話できるなんて珍しいな。珍しついでに何だ?」
「あの…ヴォルデモートっていう…赤い目ですごく肌が白くて…背が高くて痩せてて。一緒にいると意外と温かくてめちゃくちゃ俺様思考で短気で…。」
偉そうなのにめちゃくちゃ甘やかしてくれたり…逆にとっても意地悪になったり。
えーっと、と考えている僕を蛇君は呆れた様な顔でじっと見てくる。
「あーなんとなく…赤い目で蛇語が喋れて肌が白い…そんな人間の雄だな。」
ざっくりまとめると…とそうなる…かな。
「ヴォルにアクシデントがあって今夜は出られそうにないって伝えてくれないかな。叫び屋敷の寝室に来るはずなんだ。」
「わかった。それで…何か報酬はないのか?」
報酬?そうだよね、ただ働きはよくないね。蛇…蛇…ナギニは何食べるって言ってたっけ。
「アクシオ、ドビー。」
こんな形で呼んで平気かな。すぐ飛んできた…いつも通りの変な格好のドビーは何でしょうと見上げてくる。
「ハリー=ポッター様!このドビーめに何か御用ですか!?」
キラキラとした大きな目が期待に満ち溢れている。そんなに見つめられるとちょっと怖いというか照れるというか。
「この蛇にお肉あげたいんだけど…持ってきてもらってもいい?」
「かしこまりました!すぐ持ってきます!」
パチンという音共に消えて…あれ?城内って姿くらまし出来ないって前にハーマイオニーが言っていたような。
「お待たせしました!」
パチンという音と共に生のお肉を持ってドビーが出てくる。
「ありがとうドビー。今度またお願いするね。」
「ドビーはハリー・ポッターの奥に立てるなら光栄です!」
嬉しそうに顔中でにっこり笑って…お辞儀と同時にパチンという音を残して消える。
本当にどうなっているんだろう。今度ハーマイオニーに聞いてみようかな。
お肉を渡すと蛇は満足げにそれを丸のみして…すごいな…。
「いいだろう。承知した。」
「じゃあ窓から出すね。魔法で下ろすからじっとしてて。ウィンガーディアム・レビオーサ」
城の外…降りたかどうかよく見えないけども…。あ、大丈夫そう。
蛇はするするとホグズミードに向かって這っていく。草が動いているからわかるけど…瞬きしたらもうどこにいるかもわからない。
「あ~~一週間会えないのは…つらいなぁ。」
はぁ…。
「それで、ハリーの恋人って誰?」
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