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 ぐったりと眠っていたハリーは重怠い体を動かそうとして節々の痛みに思わずうめく。
天窓から月明かりしか刺さない暗い部屋はスネイプの寝室であることはわかっている。
昼過ぎに来たというのにきっと今は深夜だろうとハリーは首を巡らせ、スネイプの姿を探した。もぞりと隣が動き、そのまま抱き寄せられる。
 すこしひりつく唇を重ね、軽く吸われるとハリーは熱いため息を零し、そっとスネイプにもたれかかる。
抱きしめるスネイプの手がきわどい所を撫で、ハリーは思わず体を震わせた。
「また寝ちゃった?」
 不安そうにため息をこぼすハリーの額に口づけ、痩躯を抱きしめる。
「この抱き方が異常なのだ。それに付き合うことはない。」
 まだ足りないのか、と自分に呆れるほどどろりとした欲が疼き、思うがままに耳元に口づけ、小さな耳を食む。
「んっ…どっどういうこと?」
「我輩が欲深いのだ。もっともっと抱きたくて仕方がない。だがこれは我輩が…私が一方的に気持ちがよくなりたいがための行為であって、“愛し合う”という行為としては平等ではない。私はハリーと平等に愛し合いたいのだ。」
 ぴちゃりと耳を舐めるスネイプにハリーは顔を赤らめ、どういうことかと再度問いかける。
とろとろにふやかされ、これ以上ないほどに愛してくれるスネイプの何が悪いのかピンと来ず、耳から直接入れられる音に身体を震わせた。
「抑えなければ際限なく求めてしまう。これでは何時かハリーを壊してしまう。私とてそれは望んではいない。もっと大切に愛したいのだ。」
 スネイプが耳元で吹き込むように囁くと、真っ赤になったハリーは小さく声を漏らし、疲れ切った体に小さな火がともる。
「これほどまでに求めるのはハリーであるからだ。」
 柔らかな臀部を揉むように包み、散々突き上げた蕾に指をかすらせ刺激するスネイプにハリーの体は熱を上げた。
「っ子供っぽくて嫌になることはないの?」
「ないと嘘をつくことはできないが、それらを全て合わせてハリーを愛しているのだ。徐々に変化はしていくだろう。だが、その過程すら愛しいのだ。」
 唇を重ねる間も愛撫する手を止めず、互いの熱を上げていく。
ないって言ってよとむくれるハリーはすぐさま互いに上がった熱に身を任せた。


 朝食の始まる前になんとか回復薬を飲ませ、身支度を整えたハリーを送り出したスネイプはこれ以上ないほどにすっきりとした気分で机に出しっぱなしだった本を見る。
 あの霧状になった魔法薬が少し付着したのがトリガーだったのか、元の説明などが薄れ、別の薄い文字が浮かび上がっていることに気が付き、ずいぶんと意地の悪い製作者だと目を通す。
 時間がたったからか再び元に戻りかけているが何とか判読はできると目を通すスネイプはどういうことだ、とのぞき込むように顔を近づけ一字一句読み直した。

『この本文が見えているということは無事心がすっきりしているだろう。
 心がすっきり晴れる快晴薬はいかがだっただろうか。
 知っての通り、この魔法薬は生成途中で蒸気となりあなたを猫に変えます。
 薬の効果は2時間。その間に対象者に近づき、身にまとう魔法薬を嗅がせましょう。
 時間内であっても相手の本音を聞き、貴方も本心を打ち明けたいと願ったとき薬の効果が切れ、元の姿に戻れます。
 そして今度はあなたが心の靄を吐出し、はれてお互いすっきり爽快。お互いの心を覆う雲が晴れて心は快晴!』
 

 頭の軽い説明にぎりっと思わず本の端を握り締めるスネイプは昨夜…いや深夜ハリーが目を覚ましてから、互いに疲労から気絶するように眠りに落ちるまでを思い返す。
 ハリーの心の内だけを聞きたかったのに、とスネイプは本を置いて深々と溜息をつき…小さく口角を上げた。
 たまには悪くないと身も心もすっきりし過ぎて、先人に怒る気も起きないと、本を閉じた。
 もう二度と開くまいと本棚に押し込む。
 とりあえず目下の課題は、抑えすぎていた感もある減欲の薬を改良し、抑え込みすぎないよう…そして何より副作用をなくすようにしなければと、ハリーを追うように朝食へと向かっていった。
 



 
~fin

 



教授をね、猫にしたかったのですがとっ散らかっちゃった。
たまには教授が焦る姿が見たかったのですが、こう、ぐるぐるしていくの楽しいなと。
とりあえず…教授落ち着いて?

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