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「スネイプ先生!ちょっとよろしいでしょうか。」
「ミス・グレンジャー。何のようかね?」
手には薬草を持ち、いかにも薬草採取をしていただけですのように見える姿…。でもその薬草、長い事森に隠れていた割に少ないような気がしますよ。
「先生もいい加減素直にならないと…絶対に伝わりませんよ。」
「何のことだね?」
 一瞬浮んだ表情を隠したって無駄よ。この、様々な本を読み漁った私に見破られないと思っているのかしら。
「見ていましたよ。あつ~~い視線をハリーに送っているのを。ハリーが考え事をする時にあの丘に登っているのを薬草採取に見せかけて木陰でそれはそれは熱い視線を。」
 頬が引きつるように上がって、こめかみに青筋が見える…。
血液が青だったしりて。年中血行悪そうな顔しているし。
「なんの言いがかりかね。ミス・グレンジャー。だれがグリフィンドールの英雄殿に好意を抱いていると?」
「だれも好意なんていっていません。ただ、あつ~~い視線といっただけです。なるほど、先生のあの熱い視線はそういう意味を持つと。それにしても…最近はハリーへの減点増えましたよね。しかもほとんどハリーには関係のない事ばかり…。」
「何が言いたいのかね。」
 唸るような声の中にも焦りのようなものが混じってるわ。案外…正直じゃない。
「いえ別に。ハリーの気を引きたいなら減点ばっかりじゃなくて…そうね、罰則とかで呼び出したほうがいいんじゃないですか?そのほうが二人っきりで話も出来ますし。あ~~んな事やこ~~んな事まで出来るかもしれませんよ。」
 言わなくてもいいことかもしれないけど…いろんな本を読んだ結果的に考えると…。
多分ハリーを見るたびに思ってるんじゃないかしら。
 案の定、こめかみに青筋を立てているけど…顔が若干赤い。
うわ~~…一応赤い血が流れていたのね。…似あわないわ…。
それにしても…面白い!この二人、これから目を離さず見ていようかしら。
「あら先生。私が言ったのは抱きしめたり手を繋いだりって事ですよ。もしかして…違う事でも想像しました?」
「うるさい!!!!一体我輩に何をしろというのだ!!!言える筈がないだろう!我輩は教師でポッターは生徒だ。」
 あの~~男同士って言うところが抜けてますよ。
それにしてもやっと本音を聞けたわ!
つまり、両想いね。
「いいじゃないですか。アドバイスしますよ。そのかわり、一つだけお願いを聞いて欲しいんですけどね。もちろん、成績に関しては優遇してもらう必要ありませんので、全く別の話です。」
 これだからやめられないわ!

「ずいぶん遅かったね。どうしたの?」
 大広間に着くなり、ロンが口いっぱいにマッシュポテトを詰め込んで聞いてきた。
その隣でハリーはオロオロと視線を泳がしている…大丈夫☆安心してハリー。
恋のキューピット作戦、成功だわ!
「テストの事でどうしても聞きたいことがあったのよ。それはそうとハリー。スネイプ先生が食事後、教室に来るようにって。最近の態度について聞きたいことがあるって…。そう言っていたわ。」
 途端に顔を赤くして俯くハリー。哀しげに見えるその姿は…本気で怒られると思っているみたい。
 安心してよ。
 決して怒られるんじゃないわ。
 むしろ逆よ逆。
「分かった…。」
「まったくあのスネイプの奴!ムカつくよな!!あの…」
「はいはい。ロン、せっかく今日の授業が終わったのにここで減点されちゃあいやでしょ。」
 むすっとしながらもロンは話題を変えてハリーを励まそうと話し始めた。
「じゃあ行って来るね。」
 トボトボと地下牢に向かって歩くハリー。
私も動き出さないと。
「ロン、先に寮に戻っててくれる?図書室で調べたい事があるから。それじゃあ。」
 玄関ホールで図書室に向かう道に行きながらロンを振り返る。
フレッド達にからまれながら寮に戻っていくロンを確認して急いで地下牢に行く階段へ向かう。

そっと教室の後ろの扉を開けて中に滑り込む…。
よし、気付かれてないみたい。
ローブの中からメモ帳を取り出して会話を書き留められるようにする…。
実録スネハリを取材するにはこうするしかないもの。
さて先生、最後まで行っちゃってくださいね!!基本のABなんてすっ飛ばして良いですから!!


暗く陰湿な廊下。
そう、ホグワーツ内に在る魔法薬学の教室へと続く道。
昼間、グリフィンドールの生徒である少年はスリザリン寮監に呼び出しを受け、教室で机拭きをしていた。
その顔は浮かない。
理由はひとつ。
彼がある人物に対して積もり積もった想いを伝える事ができず、この静かな教室に二人っきりでいるのだ。
机を拭き、徐々に近くなる二人。
できる事なら今すぐ想いをぶつけたい。だが、相手は何せあの、グリフィンドールに対し厳しい事で有名なスリザリン寮監。親子ほどに離れた年齢。教員と生徒。そしてなにより…・その人物…セブルス=スネイプは少年…ハリー=ポッターを嫌っていた。
想いが届く可能性はほんのわずか。
自然と重いため息がこぼれる。
だが、ハリーは一つスネイプについて知らないことがあった。

放課後、よく晴れた日には小高い丘に来ると、そこからこっそり…薬草を採取している教授をただ見つめるだけの毎日…。
教授は用事を済ませると、帰り路についてしまう。
物思いにふけるハリーは少ししてから城へと戻る。
だが、帰ったはずの森からじっと見つめる視線に気がつかない。
その視線の意味も何もかも彼は知らなかったのだ。
いつまでたっても縮まない二人の距離だが、触れるか触れないか…その微妙な関係に互いに焦れた想いを抱える。


 じっと掃除するハリーを見ていたスネイプはその微妙な距離を一歩踏み出す。

「ポッター。最近の態度は何だね。授業中よく我輩の顔を見ているようだが。」
「そっそんなこと!!」
 机拭きをしていたハリーが手を止めて突然の事に顔を赤くする。
今拭いているのはスネイプがいるすぐ横の机。
今まで黙って掃除の様子を見ていたスネイプがとうとう動き出した。
一歩足を踏み出しハリーとの間を狭める。
その固い足音にハリーも一歩下がる。
狭い机との間。
すぐさま出したままの椅子に脚を取られ、ハリーはストンっと座ってしまう。
「えっそっそんなこ…っ!?」
 ハリーの言葉はスネイプは啄ばむような口付けにかき消される。長い長い口付け。
そして離す事もなく、薄く開いた唇に舌を差し入れ、深い口付けを施した。
ようやく離れた二人の間を銀色の糸が繋いだ。
ハリーは始めての口付けに呼吸が乱れ、グリーンの瞳に涙を浮かべる。
その表情にスネイプはハリーを抱き上げたかと思うと机のうえへ降ろした。
 視線を合わせ、どちらともなく唇を合わせ、机に押し倒したハリーの服を長い指が滑り…。


「グレンジャー!!!!一体何を書いているのだね!!!」
「約束したじゃないですか。取材、やらせてもらいますねって…。あ、本名だからいけないんですね。じゃあ名前を変えて…。」
「名前を変えなくとも十分分かる!!!大体、何の取材だね!!こんなものを書きおって…。」
「同人誌って言うんですよ先生。私もデビューしようかなぁ~と思って。それで実録スネハリにしようかと…。あ、写真見ます?暗がりでもフラッシュ無しでしっかり取れるんですよ。しかも…結構リアルに。あっ、ネガ別にしてあるので破いても意味ないですから。」

 取り上げる写真にまだありますから、と笑顔を向ける。
密かに寮内の同士にはお試しとして出回って、高評価だったなんて今は黙っているべきかしら。


 絶対にこいつだけには注意せねばと誓うスネイプだが…・まさかそのような本が出回っているとは知らず、好奇心というか探究心をくすぐられ、彼女を通して取引を行なっているらしい…。




 
~fin

 



久々の更新がこれ(笑)
いや~。友人とメールでやり取り中に出た案なんですよ。
もしもホグワーツでコミケが行なわれていたらというww
実録スネハリ…学校の女性にバレバレですよね(笑)
2019:ほんのり修正

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