天使と悪魔は紙一重!?
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さてと、期末試験も終わったし…今回は9割ぐらいしか取れなかったわ!
なんて事でしょう!あぁもう!これも全部…本のせいだわ。
何も試験期間中に新刊を出さなくても…。
そりゃ…買う私も私だけど…。
まぁいいわ。過ぎたことは忘れましょう。
「ハーマイオニーいいじゃんか!何が不満なんだよ~~!!僕らなんて平均しても60点だぜ!」
さっき私が吐いた溜め息にロンは過敏に反応して、頑なまでに隠していた平均点をうっかり言ってしまった事に気が付かないみたい…。
「ロッロン…僕の平均まで言わないでよ…。」
「あらハリー。あなた一番苦手だった魔法薬学が一番良い点数だったじゃない。落ち込むことないわよ。」
今までで最高だったじゃない。それにしても急にこんなに点数が良くなるなんて…。
これは絶対…なにか裏があるわ。
「あ~うん…だって…。」
「何赤くなってるんだよマイハニー。そういえば…試験前からな~~んか様子おかしかったよな~。」
「そうそう。まるで恋する乙女!」
何か言いかけたハリーの後ろからテストから解放された喜びではしゃぐフレッドとジョージ。
ジョージの一言にロンがげらげらと笑い出して私もつられるようにして笑った。
「ハリーが…ハリーがよりによって恋する乙女。」
ロンが笑いながらそこまで言うと声を一層張り上げて涙を浮かべながら笑ってるけど…。
あら。
ハリーったら顔を真っ赤にしちゃって…乙女かどうかは分からないけど…誰かの事が好きなのね!
リアルで親友の恋話に立ち会えるなんて!!!
ロンはあんまり興味がなさそうだしハリーは特にないっていってたし…。
このメンバーの中では諦めていたのに。この際、テストが8割くらいの点数でも良いわ!
「「もしかして!」」
二人そろって手をたたき目を輝かせて、驚いている様子のハリーに詰め寄って…
「おぉ!愛しの君!」
「もしかして僕達の事が夜も忘れられないんじゃ!」
「そうだとしたら僕達はなんと幸運な…。」
「なんと恐れ多い。」
「生き残った英雄様に好意を抱かれるほどの僕らの魅力。」
「なんと罪深きものなのだろうか!」
胸に手を当てて芝居じみた様子で言う二人にハリーは緊張していた力が抜けたようでただ笑う。
「違うよ。」
はっきりきっぱり否定した。
あなた結構やるわね。ほぼ即答じゃない
「おぉ!」
「なんと突き刺さるお言葉!」
「でもハニー。いつか僕らの元へ振り向かせて見せるよ!」
「そして、相手がどんなのだろうとハリーを泣かせる真似をしたら絶対に立ち向って見せるよ!」
「えぇっと…ありがとう。でも…多分…そんなことしたら…二人の命に関るんじゃないかなぁ…。あっ!」
小さな声で言ったつもりだろうけど…。談話室に誰もいない日って響くのよね。
「ということは…僕達よりも年上で…。」
「しかも魔法に関しても知識は上。」
「6学年か?7学年か!?それともお・と・な?」
おどけたように言う二人に私たちは声を上げて笑ったけど…ハリーだけは顔を真っ赤にしたまま。
「ちっちがうから!さっ散歩してくる!」
と、一目散に談話室を飛び出していっちゃった…。
ここはひとつ、私が愛のキューピットになってあげようかしら!
「まったくもう…。3人がからかうから。私が様子を見てくるわね。」
「え~僕はからかってないよ!それにハーマイオニーだって笑って…」
「いいから。じゃあ夕食時になったら戻ってくるわね。」
別に私が笑ったのはフレッドとジョージで、ハリーじゃないわ。
ハリーは近くの少し上がった丘の様な所で空を見上げながらため息をついて何か考え事をしているみたい。
…あら?
あの森のところにいるのは…スネイプ先生…。
丘の上からだと良く見えるところ…。
もしかして…ハリーの好きな人って…。
「ハリー。」
気配を消していたわけじゃないのに、飛び上がらんばかりに驚いた様子で振り返る。
「ハッハーマイオニー!どっどうしたの!?」
「最近何か思いつめているみたいで…私でよければ相談に乗るわよ。もちろん、あの二人にもロンにも言わないわ。大体、ロンがいたところで話が進むようには思えないもの。」
そういうとやっとハリーにいつもの笑顔が戻った。
「ロンが聞いたら怒るよきっと。」
「そうかしら。さぁハリー。話せるところまでで良いから。話したほうがスッキリするわよ。」
気が付いたらスネイプ先生の姿は見えなく…あ。いた。
木の陰に…目を凝らさないと見えないようなところで座ってこっちを見ている…。
なんだ。
先生も気になってるんじゃないの?
お互いに気が付いてないみたいだけど…。面白い事になってきたわ!
これを期に私も書こうかしら。うまく行けば写真だってリアルで撮れるもの。
ホグワーツ内のいる先輩ともいえるべき彼女達に提供できるわ!!!
「えっと…。すっごくすっごく嫌味な性格で、少し前まではすんごく憎くてしょうがなかったんだけど…。最近はそうまで憎くなくて…でも向こうはすっごく僕の事を嫌っているみたいで…。成績上げれば少しは嫌いじゃなくなるんじゃないかなぁ~って…。でも告白する勇気ないよ…。絶対にダメだ…。」
やっぱり…。あの木陰からこっちを見ているあれだわ。あの黒い塊。
…恋愛経験なさそうよね。
下手すると童…いけないいけない。こっほん。
「そうねぇ~。絶対に恋愛とかそういうのに不器用そうだものね。でも想いをぶつけないと先に進めないわよ。玉砕するにせよ、成就するにせよ。ハリー。私はどんなのがあなたの想いの人であろうと絶対に応援してるから!」
「え!!もっもっもっもっもしかして…僕の…その…すっ好きな人分かったの!?」
「さっきまでそこにいた真っ黒いのでしょ?」
もちろんスネイプの事。やっぱりこの丘にいた理由はスネイプ先生をこっそり見るためだったのね。
案の定顔を真っ赤にして小さく頷く。
「勇気出しなさいよ。あなたは仮にも例のあの人を追い払ったばかりか、どんな相手にだろうと果敢に立ち向ったじゃないの。あんなの、トロールよりも恐ろしくないわ。それに臭くもないし。」
顔を赤くしたままハリーが笑ってそりゃそうだよ~と、いつもの調子を取り戻したように、立ち上がる。
「そろそろ夕食だから…行こう。ありがとうハーマイオニー。」
「どう致しまして。あんまりいいアドバイスできなくてごめんなさいね。もう少ししたら行くわ。先に行っててちょうだい。」
笑顔で見送った後、近くにある木陰に隠れてスネイプ先生が通るのを待つ…。来た!
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