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ムスカリで紡ぐ不器用な花冠
~もう一度やり直そう。今度は後悔しないために...~
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注意!
逆行転生もので、女体化ものです
以下要素:
・ハリエット
・逆行転生
・男装
・距離感バグった教授
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1:ひっくり返された砂時計
最後の戦いで勝利し、やっと得た平和で幸せに暮らしていたハリーだったが、幸せをかみしめるほどに後ろめたさも感じていた。そんなハリーを周りは励まし、これまで辛かった分幸せになっていいと言われる。
だが、その言葉もありがとうと返す裏でナイフの様に突き刺さっていた。
もっとその幸せを得るべき人が居たのではないのか。偉大な魔法使いは自分の命さえも使い果たした。本物の彼ではない肖像画は大丈夫だとにこやかに答えたが、悔いがないのか……それはわからない。だが、同じ思想を持つ肖像画が言うのだからきっと本心に近いのだろう。
わからないのは……肖像画すらない彼だ。彼の写真そのものがごくわずかにしかなく、全身が映ったものに至ってはこの日のことを想定していたように、一枚も残っていなかった。
「スネイプ……」
彼は幸せだったのだろうか。彼は……そう考えると何一つ彼に返せなかったということが悔いとなって心に刺さっていた。
まだ残っていた闇の残党。その最後の勢力ともいわれるアジトに踏み込むこととなって最終の打ち合わせをしていた。恋人であるジニーに仕事が終わったらたまには出かけようと、そう約束していたので、怪我をしないようにより気を引き締めて作戦を聞く。
そして作戦通り闇の信者らを追い詰めてあと一歩の時……
「ハリー!!」
同僚であるロンの叫びにハリーは応じることができなかった。四方から放たれたクルーシオによって体がバラバラになった気がして……。時間にして数秒だろう。だが、一撃でさえ身体にかなりの負荷をかける魔法を同時に4つ当てられたハリーの内面はボロボロに傷つけられた。
まるで自分の身体じゃないようにピクリとも動けず、その場に倒れる。何枚ものベールの向こうで大丈夫かという声と、励ます声と……それが聞こえた気がするも体はちっとも動かない。
急速に体が冷え、体が重くなる。あぁ、これが死なのだろうか。そう考えるハリーはジニーへの謝罪と、親友への謝罪と……何より命をとして守ってくれたスネイプに謝り続ける。
もしも、もしも人生がやり直せるのであれば、自分のせいで死んだセドリックやシリウス……スネイプを助けたい。シリウスが生きていたらきっとルーピンたちも無事だろう。
ムーディーだって助けたかった。最高の相棒ヘドウィグも。
過去に戻れるのならば、スネイプとの関係もやり直せるだろうか。
徐々に狭まる視野の中、黒い闇がスネイプのようだと、静かに目を閉じた。
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