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一晩で150点も減点されてしまったことにグリフィンドール生は驚き、それがハリー達三人であることはすぐに知られ、グリフィンドール生らからは後ろ指を指されるようになってしまった。
「クィディッチの選手を辞める?」
疲れたような少しつらそうな顔でちょっと疲れたから、と言うハリーにヴォルは問い返す。
「疲れているなら無理をすることはないよハリー。じゃあ進学できるように勉強頑張ろうか。」
「うん…。ヴォル教えてくれるの?」
「もちろん。あ、ハーマイオニー、そこの年表一つ抜けてる。」
図書室で勉強する中、ハリーの頭をなでるヴォルは、クィディッチの練習などでハリーが一人になっているときに厄介者扱いされていることをナギニから聞いていた。
だからやめたいと言うハリーを何も言わずに慰めていたのだった。
ヴォルにはそもそも今までも遠巻きに見られていた分特に変わっていないのと、ハリーにかかわること以外興味がない。
「じゃあ皆で勉強しましょ。」
指摘されたことにため息をつくハーマイオニーはどこで年表が抜けたのかを調べながら声をかけた。
ロンは特に嫌がらせなどは受けていないが、それでも三人をみる視線を感じてなんだかなと頬をかく。
「あ、そうだヴォル。この前ヴォルが僕にお守りをくれたでしょ。それでヴォルが悪夢を見ないようにって…。僕は守りの呪文とかまだ使えないから気休めでしかないけど…。」
ヘドウィグの羽根を使って作ったんだ、と羽根の形のブレスレットを目を瞬かせたヴォルの掌に乗せる。
「ハーマイオニーに教えてもらって、魔法で銀に変えてみて…わっ!」
腕を羽根が巻くかのような形をした銀のブレスレットを受け取ったヴォルは感極まったのか、ハリーに飛びつくと、ハリーの耳元で蛇語でありがとうと囁いた。
二人だけの秘密の言葉にハリーは嬉しそうに笑う。
さっそく左手首につけるとうれしいなぁと笑った。
「ねぇヴォル。あなた、そんなに熱心に勉強しているように見えないのにどうして覚えているのよ。」
「んー?いや、授業中読んでいるよ?それにハリーがいないときとか、暇だしで図書室の本読んでるし…。」
ハーマイオニーのようにがつがつと勉強しているわけでもないのに、レポートの評価やら何やらがほとんど同じ高評価なのにハーマイオニーが首をかしげると、ヴォルは特に意識してないけどな、と言う。
「ヴォルは昔から頭いいから。スクールでも唯一寝てても怒られなかったし。」
「あれ?そうだったか?」
「そうだよ。」
苦手な魔法薬の勉強で唸るハリーは教科書から顔を上げたヴォルを少し恨めしそうに見える。
そんなハリーも可愛い、と笑うヴォルはハリーの書いたメモをそこ違うと訂正した。
「ヴォルはやっぱ首席になるのかなぁ。」
う〜というロンは一番上の兄を思い浮かべ、そういえば首席になるには人望もどうとかいってた気がする、と目の前の天才を見る。
人望…あ、大丈夫かもしれないとほっと息を吐く。
「ロン、顔に出てる。」
なりたくはないから別にいいけど、というヴォルにロンはうっと顔をしかめた。
「ヴォル、本当に鋭いと言うか…。ヴォルって一歩変な道に走ったら危なそう…。」
そんなに顔に出てたかなぁと顔をなでるロンは妙なカリスマ性もあるし、というとハリーは少し微妙な顔をし、だね、という。
「ハリーがいる方向にしか進まない。」
「はいはい。ヴォル、この魔法薬をつくるときの注意点って…」
絶対ない、というヴォルにハリーはわかってるよと返した。
一年間の集大成ともいえるテストの最後の科目が終わると同時に歓声が上がり、ハリーたちはやっと解放されたーと城の外へと足を運んだ。
「ねぇヴォル。魔法史の最後から2番目の問題なんだけど…。」
「あぁ、あれは。」
「ねぇハーマイオニー。せっかく終わったんだからテストの答え合わせなんてしないで、ちょっとはのんびりしようよ!」
外に出るなり唸るハーマイオニーにヴォルが答えようとして、ロンがやめてくれと悲鳴を上げる。
芝生に座り、一年間にろいろあったなーと言うロンに三人も確かに、と頷く。
「でも、フリットウィック先生の試験、あれちょっとおもしろかったかも。」
パイナップルをタップダンスさせるなんて、というハリーにヴォルはうっかり一つ爆発させたからあれは評価低いかも、と返す。
「あら、相変わらずヴォルの魔法は強力なのね。」
「まぁそのあとでリズムよくやったから大丈夫だとは思うけど……。あっ!」
フリットウィック先生も知っているから大丈夫よ、と言うハーマイオニーに少し不満げなヴォルは何かを思い出したのか、急に立ち上がった。
城の上部に向かう梟をなんとなく目で追うヴォルはもしかしたらと口を開いた。
「今唐突に思い出した。3つ首の番犬ケルベロスの弱点。音楽だ。音楽を聞くと寝てしまうって…いう…。」
「ねぇ…もしかしてなんだけど…フラッフィもそうとか…。」
珍しくしく尻すぼみになるヴォルとハリーは顔を見合わせてハグリッドだ、と驚いた様子のハーマイオニー達を置いて小屋へと向かう。
「ナギニ、あの入口に向かって誰が来たか見てくれ。」
袖からナギニを投げるように城に向かって放つヴォルに、ナギニも慣れた様子で地面に着くなり素早く茂みに消えていく。
「まさかとはおもうけど…もしフラッフィもその弱点だったら…。」
「あぁ。もしかしたらフラッフィの種族を元にあの神話が考えられたとしたら…。」
あとを追うハーマイオニーも事態に気が付き顔を青ざめた。
何が何だか分からないと言う風のロンにドラゴンのたまごだ、とヴォルは伝える。
「前にヴォルと話してたんだ。ロンのお兄さんが言っていたように危険なドラゴンの卵なんて…どこで手に入れたんだろうって。」
「あぇ!そうか!でもハグリッドだってそこまで…。」
トアを破らんばかりの勢いで戸をたたくヴォルにロンもそういうことか、と慌てて戸をあけて険しい顔のヴォルを目に入れてかたまるハグリッドを見上げた。
「ハグリッド!ドラゴンの卵…あれはどこで手に入れた!!」
「え!?えっとノーバート?その…。」
「時間がないんださっさと話せ!」
険しい顔のヴォルにひるむハグリッドはえぇっとと言いよどみ視線を明後日に向ける。
言いにくいことなのか、と勘繰る三人にヴォルはさらに荒い口調で詰め寄った。
「その…ホグズミードの酒場でな…しらん男がポーカーやらないかって。たまたま手に入れたんだけど処分に困っているから勝ったらやろうって…。」
「知らない人から貰ったの!?ドラゴンの卵が偶然手に入るなんておかしいじゃないか!」
ハグリッドは唸るように呟くと、ロンは馬鹿な話があるもんか、と声を上げた。
「いや…魔法生物の生態調査をしているとかで…。でもドラゴンをわしがちゃんと育てられるならこのまま譲ろうって…。だからフラッフィに比べたらそんなに難しいことじゃないさって…。あいつは音楽を聞かせたら途端に眠っちまうんだって…あっ!」
「「「「それだ!!」」」」
うっかり四人に喋っちまった、と言う風なハグリッドに四人は同時に声を上げ、待ってくれと言う声を無視して城へと駆けもどる。
校長室はどこだ、と言う三人にヴォルはこっちだと先導すると石像の前で立ち止まり、静かにするようにと手で合図する。
「それで本日ダンブルドア校長はいらっしゃらないとのことですな。」
「えぇそうです、セブルス。それにしても…どこで彼らが賢者の石の事を…。最も、彼らの力ではまだフラッフィをどうにかすることはできないでしょう。」
ガーゴイル像の前でスネイプとマクゴナガルが会話していた。
その内容に石像からうかがう四人は顔を見合わせた。
「ダンブルドア先生がいないって…。」
「俺たちが賢者の石の事を知っていることにいぶかしんでいるようだな。」
校長室はあそこなんだ、と言うヴォルはハリーの手を取って戻ろうと促す。
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