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 手紙に明日の便でホグワーツを出ることをかき、ワシミミズクを飛ばしたハリーは、急いで必要なものだけをトランクに詰め込み、プレゼントを最後に入れるとヘドウィグを呼び寄せる。
「ヘドウィグ、明日から僕はヴォルのところに行くけど…君はどうする?」
 腕にとまる彼女にどうする?と問うとヘドウィグはまっすぐ籠の傍により、ハリーを見て一声鳴く。

「わかった。じゃあ明日駅で。間違ってもあっちでスキャバーズ…ワームテールを食べちゃだめだから狩りに行ってきなよ」
 空へと羽ばたくヘドウィグを見送るハリーは何かほかに忘れ物は…と考え、あっと顔を上げた。ロンドンについたらすぐ買いに行かなきゃと、念のためにポンドに換金していたお金を数えるとそうだ、と飛んで行ってしまったヘドウィグを呼んだ。戻ってきた彼女は手紙を書くハリーに首を傾げ、手紙のほかにお金を入れたことに納得したように一声鳴いた。

「もし僕の居場所がわからなかったらマルフォイのところに飛んで行って。僕宛ってわかれば僕のところに連れてきてくれるから。ハーマイオニーのところ、急ぎでわるいけどお願い」
 手紙を託されたヘドウィグはキッと顔を引き締めると、ハリーの耳を甘噛みし力強くとんでいった。その姿を見ていたハリーはふと大事なことを思い出した。どうやってヴォルデモートのいる根城に行こう…。

 様々な心配を抱き、朝になるとハリーはトランクを引っ張り、駅へと向かった。そういえば冬にこうして乗るのは初めてだ、と考えるハリーはほかにほとんど乗客のいない列車に揺られ、そっと窓の車窓を見る。きらきらとした雪はとてもきれいで、ほっと息をはく。

 ふと、どうして体調不良なんかにと考えるハリーは光り輝く雪を目に入れ、あぁこれかと早速プレゼントが役立ちそうなことにそっと笑った。
 それに、とハーマイオニーにお願いしたものを考える。しもべの一人に魔法薬のエキスパートがいるが、なじみ深いだろうこちらの薬のほうが効きそうな気がする、とハリーはそう考え、くすくすと笑った。


 ロンドンにつくと何となく予想はできていたが、黒い服の男が待っていた。背後にある黒い車を顎でしゃくる男に慌てて頷き、車に滑り込むとプラチナブロンドのおとこはむっつりと黙ったまま車に乗り、運転席のドアをたたく。それだけで走り出した車の中、黙ったままの男…ルシウスにハリーはあの、と声をかけた。

「えっとっ…様子はどうですか?」
「熱を出してから自室に入ったっきりだ。中に勝手に入っては後で𠮟責があるため、食事をもっていく以外での立ち入りは禁じられている」
 だから詳しくは知らない、というルシウスにハリーは驚くと同時にまぁ彼らしいかな、と内心苦笑する。
「お知らせしていただきありがとうございます」
「唯一寝室に入れるものがいたほうがいいと判断したまで。礼を言われることではない」

 何処までも淡々としたルシウスにハリーはふとあの恋人は今頃心細くしていないのか、と心配になり、ちいさく溜息を吐いた。ついた先はマルフォイの屋敷の敷地内。トランクをもって降りたハリーはちょうどヘドウィグが小包を持ってきたことに早い、と目を丸くしていた。

 さっさと来いという無言の圧力に従い、ルシウスのそばにやってくるとバチンという音ともに姿くらましをする。急に地面に足が付き、転びかけるハリーはそこだ、という声で顔を上げ、目の前の建物を目に入れる。

 どうやらここが闇の勢力の要…闇の帝王の根城らしい。森の奥深くにある陰湿な雰囲気の建物は屋敷と呼ぶには小さく、民家にしては大きい。きしむ扉を抜け、ルシウスがこの先だ、と廊下を示した。古めかしい内装だが不潔な感じはない。奥の扉に向かって一人歩くハリーはトランクの引きずる音を抑えるため、少し持ち上げると、扉を慎重に開いた。

 中は物音ひとつせず、ただ冬ということでか暖かく調整されている。トランクを入り口近くに置くと、ヘドウィグも飛び立ち、部屋の隅の使われていない燭台にとまった。私服の上のコートを脱ぐと、ハリーはまっすぐ眠った部屋の主のそばに向かった。少し赤みがさして見えるのは具合が悪いからだろう。どうしよう、と迷いながら恐る恐るほほに触れると、その熱さにひやさなきゃ、と立ち上がりかけ、腕をひかれたことに振り向いた。