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「ハリーおめでとう!ブーケは私に投げてね!」
「何言っているのよジニー。ハリーおめでとう!もちろんブーケは私よね!」
あ、ブーケはそういう意味だったんだね。
「ありがとう皆。それじゃあいっくよ!」
皆に背を向けて勢いよく後ろに投げる。ちょっと重さを見誤ったかもしれない。
振り向いて確認しようとすると、なぜかヴォルに頭を押さえられて振り向けない。
「なんだ?」
「スネイプ先生どいて―!!」
「もらったーー!!」
「ジミー、ハーマイオニー、シーカーの私を舐めないでね。」
「スネイプ先生、後ろに飛びのいてください!!」
スネイプの声が聞こえて…ハーマイオニーとジニー…チャンとアンジェリーナ…女性陣の声が響いて…。
「「「「あっ!」」」」
物凄い音が聞こえて…。何?スネイプに何かあったの!?やっと静まったところでヴォルの手が解放してくれてやっと振り向くことができる。
振り向くと…どうもこうもブーケ争奪戦の勝者は…って何があったの?投げる前に見た光景は確かルシウス達死喰い人に絡まれているスネイプがいた筈だけど…。一番遠くに吹っ飛ばされていて、ルシウスは女性陣の下敷きになっている。そしてブーケのいった先はため息をつきながら会話していたはずのロンとマルフォイで…。
「ちっ父上!?大丈夫ですか!??」
二人で同じブーケを持っていたことに気がついたのか、二人揃って顔が赤くなって慌ててマルフォイがブーケを放り出してルシウスへと駆け寄る。何?何があったの!?
「ブーケの行き先からなんとなく予想できたのでな。」
「あっありがとう。でもみんな大丈夫…かな。」
物陰からピーターと思われる尻尾が見えて、他にも巻き込まれた死喰い人が吹っ飛ばされたスネイプとルシウスに安否を確かめる。
「死喰い人らなら気にするな。あぁ見えて丈夫だ。」
まぁ…磔の術を何度か食らっていれば…嫌でも耐性が付きそうだもんね。
「?どうしたハリー。」
「うぅん。なんでもないよ。なんか…平和だなって思って。」
ヴォルに寄りかかるとヴォルはほほ笑んで僕を抱き寄せながら髪にキスをしてくれる。
「静かな生活になるにはしばらくは時間がかかりそうだがな。」
「そうだね。これから忙しくなるだろうね。」
それでも嬉しくて嬉しくて…。
「わっ!」
急にヴォルが僕を横抱きに抱えて…これってお姫様だっこってやつだよね。
皆ブーケ争奪戦の方を見ていてこっちを見ていないからって恥ずかしいよ!
あわあわとしている間に静かに近づいてくる大好きなヴォルの顔…。
「まったく、少しは人の目も気にしなさいよ。」
「闇の陣営から距離をいて正解だったな…。いつもあぁなのか。」
「セブルス、お前は本当に運がいいというか勘がいいというか。復活してからポッターに執着し、ことあるごとにいちゃつき…。長期休暇中でポッターが滞在した時は意識がない事をいいことに、平気で寝室に我々を招集するし!」
「いかにも情事のあとですという雰囲気で我々を呼ぶなど、元々常識がないとはいえ、少しは考えてほしい。」
え!?何それ!?
「ちょっとヴォル何それ!?」
「ハリー、俺様の杖を返せ。」
ただでさえ寝室整える人がしもべ妖精であっても恥ずかしいのに!!
「呪いかけるつもりでしょ!ダメ!」
もう!!結婚したからには…ってちょっとちょっと!!!どこ触ってるの!!
さっき杖を隠した懐にヴォルの手が入ってきて…。
「皆が見てる前で…んっ!!」
絶対わざとだ!!恥ずかしい声が出そうになって慌てて口をふさぐ。
「初夜はまだ先だぞハリー。」
「杖とるならそこ触れないで…ぁっ!」
胸の飾りを捏ねまわされて…体が反応しちゃう。今反応しちゃダメなのに…。
「お取り込み中で悪いんじゃが、皆呆れて食事会の方に移動してしまったぞ。主役が遅れるわけにはいかないじゃろう。のう、トム。」
ダンブルドア先生の楽しげな声にはっとなると同時に杖をつかんだヴォルの手を慌てて止めて…。
食事会中も何とか杖を死守した結婚式。なんだかんだあったけども、みんなに祝福されて…幸せいっぱいで。
結婚初夜はいつも以上に激しくて…。これからずっとヴォルのそばにいられる事が嬉しくて僕もまたいつもよりヴォルを求めて。
絶対長生きしてねというと、ヴォルはあたり前だと言って額にキスをくれる。
二人で笑いあってじゃあ、と約束の…誓いのキスをした。
~fin
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