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【春の日差し】
外には春を告げるラッパズイセン。
そして風にそよぐ桜の木々。
そして雲ひとつない快晴。
ホグワーツの図書室に本を閉じる音がわずかに響く。
外では花見だなんだと言いながら、多くの教員や生徒が花の周りへと集まっていた。
そんな花見日和だという中、図書室には二人の姿があった。
つい先ほどまで花見に行こうと誘っていた少年は、本を閉じた男に寄り掛かり夢の世界へといっている。
男…スネイプはそんな少年…ハリーを見ると小さく溜息をこぼした。
「まったく。今の時間寝ていては規則正しい生活がおくれんと言うのに…。」
そういいながらもスネイプは起きないよう注意しながら己の膝へとハリーをうごかし、横たえる。
再び外を見れば先ほどまで騒いでいた大半が芝生に横になり、疲れた身体を癒していた。
ポカポカと暑すぎず、それでいて寒くない気温に誰もがうつらうつらとしていた。
その中で元気な生徒は、寝ている生徒に近寄り何か悪戯をしているようで、時折驚いて飛び起きる生徒が何人かいた。
「たしかに気持ちの良い日ではあるな…。」
どんなに疲れていようとも昼寝などしないスネイプだが、この日ばかりはハリーにつられて軽い睡魔が襲い掛かる。
どうせすぐには起きないだろうと、スネイプも窓から降り注ぐ暖かい日の光を浴びながら目を閉じた。
2時間ほど経ち、ハリーは目を覚ました。
既に日は傾き、外にいた生徒達もほとんどの姿が消えていた。
「セブルス?」
ハリーが頭に載せられていた手からそっと出るとゆっくりと起き上がる。
その様子に気が付いたのか、スネイプも目を覚ます。
「あぁ、ずいぶん寝たようだな…。」
「おはよう、セブルス。」
既におはようの時間ではないが、スネイプは軽く頷く。
「もう、セブルスもおはようって言ってよ。」
そう言い終えるか否か、軽く交わされる口付け。
それはスネイプのおはようの代わり。
それを良くわかっているハリーはニコリと笑い、抱きつく。
たまにはこんな日もいいものかと、徐々に暮れて行く休日の夕日を背にスネイプは抱きついたハリーを腕に閉じ込めた。
―fin―
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