------------
いつもいつも僕が確認してしまう言葉。
でもめったに言葉では言ってくれない。
言葉じゃなくて行動で示してくる事が多い。
それはそれでいいけど。
たまには言葉で言ってほしい。
だって週に何度も会えるわけじゃあないし、なかなか会えない時だってある。
それに…減るものじゃないと思うし…。
「ねぇ、ヴォル?」
「どうした?」
いつものように勉強(レポート)を教えてもらって、最近起きた会話をして…
今日こそ…
今日こそ…言ってもらいたい。
ヴォルはあまりそういうものを囁くタイプじゃないけど…
でもやっぱり…やっぱり気付くのより、本人の口から聞きたい。
強くそう思って口を開きかけて…
「んっ・・。」
素早くあっという間だったけど口を塞がれてしまった。
まるで僕の考えていることはお見通しという顔でうっすら笑う。
その顔に思わず見惚れそうになりながら、お願いする。
上手く流されちゃいそうだけど…。
「ねぇ…今日こそ…お願い。」
「何をだ?」
僕の髪を撫でて、くせっ毛を弄び始めた。
時折耳をくすぐる様に撫でてくる。
僕が何をお願いしているのかとぼけた風で聞き返してくるけど…わかっているくせに…。
ただ、ヴォルの口から…めったに…むしろ普通の時に言われていない言葉が僕は欲しい。
「僕のことどう思ってるの?」
「どう答えてほしい?」
隣に座っていたヴォルに腰を抱きこまれて、キスする前みたいに顎を掴まれて目をそらす事ができない。
ただ、その真紅の瞳を見つめていた。
絶対に言ってもらうんだから。
ふっとヴォルが笑ってさっきよりもずっと深いキスをしてきた。
またいつもみたいにこのまま…と思って身がまえるけど、押し倒してきただけで上から僕を見下ろしている。
「いつも態度で示しているだろう。」
「でもヴォルの口から聞きたいの!」
しばらくそのまま睨み合うというか見詰め合って…不意にヴォルの顔に笑みが…
それも何かたくらんでいそうな時の笑みが広がった。
こういうときは…ろくな事がない。
かといって今逃げることなんて出来ない。
「しかたあるまい…では…今夜はいやと言うほど言ってやろう。ただし…途中でやめてほしいといったら…どうなるかわかっているな?」
「っ!」
耳元に顔を近づけたと思ったら軽く甘噛みされて、僕の大好きな低い声…
ロンたちに言わせると恐ろしい声でずっと欲しかった言葉を…その…吹きつけるようにして囁いてくる。
しかも声だけじゃあなくて…傷を通して感情としても流れ込んでくる。
言葉よりも多くて熱い感情。
まるで直接囁かれてるかのような…。
だんだん恥ずかしくなってきて軽く押す。
「もっ…わかったから…。」
「ねだったのはお前だろ?やめる気は…ない。」
その夜…ずっと…恥ずかしくて顔を赤くした僕の耳元で、ねだっていた筈の言葉…
それも頭から湯気が出てしまいそうなほど甘い言葉…そしてヴォルデモートらしい独占欲むき出しの言葉を降参するまで囁かれ続けた。
“愛してる”
“お前の身も心も全て俺様のものだ”
―fin―
|