------------
近頃、生徒の間に作られた学校七不思議。
その中のひとつ、2番目に新しいもの
とある寮の
得点は増加と減少が
激しく、交互に起こっている
――「ホグワーツ七不思議★」――
まったく…。
人の説明を聞いておるのか?
あぁ、まだ煮詰まっていないぞ。
その材料はまだ入れてはいかん。
まて、0.1g分量が多い。
グレンジャーは何をしておるのだ。
私が後ろを向いている時くらい、助言をしたらどうなんだ。
ウィーズリー、入れ方が乱暴だ。
もし薬品が腕にでもかかったらどうする気だ。
罰則を与えるぞ。
最近、1年前から抱え続けてきたこの想いが、ようやく結ばれた。
立場上、厳しくあたることしかできなかったが、どれもこれも想いが強すぎたための行動だ。
今でも表向きは変わることが無いがな。
「ポッター!その材料を入れるには少々早いのではないかね?」
「…すみません。」
目が合った瞬間赤くなるな!私だってまだ慣れていないのだ。
「グリフィンドールから10点減点。」
赤くなった罰だ。
全く…。
さて、そろそろ授業が終わる時間だ。
各々が作り上げた魔法薬を提出するように言わなければな。
「そろそろ完成した魔法薬を試験管に入れ、教卓に提出…《ジュボッ》!?!?」
嫌な臭いがただよい、ドラコ達がこれ幸いとばかりに喜ぶ・・・。
振り向いた私の目に入ったのは右手を押さえる愛しいハリー。
鍋の中に目をやると、奇妙な色に変色した液体の中に、どうやら片付けている最中に落としたのであろう材料の燃えカス。
あまり不審な行動と思われないよう、十分注意しながら急いでそばによる。
押さえていた腕を無理やり外すと、白い肌の上に火膨れができ赤く腫れているではないか!!
「各自教卓に提出し、後片付けを終えた者から解散するように。ポッター、来い。」
「はい…。」
ちらりとこちらを見るとなんとも気まずそうな顔で俯く。
ふと、視線に気がつき目を向けると…グレンジャー。
勘が鋭いな…。
「グレンジャー。ポッターの焦げ付いた鍋も片付けておけ。」
ほかの生徒に見られない位置でハリーの左腕をつかむとそのまま教室を後にした。
「いっつ!!」
火傷用の薬を塗りこみ、念のために包帯を巻く。
もっと薄く塗ってもよかったのだが痕に残らないよう、念入りに塗った。
「我慢しろ。全く。だから材料は使い終わった後にすぐ片付けろと…。」
「ごっごめんなさい。」
顔は先ほどから一度もあげていない。
「…これでいいだろう。痕には残らんので安心しろ。他に浴びてないか?どこか痛いのか?」
伏せている顔を軽く上げてやると先ほどよりも顔を赤くする。
どうした?問うと、ハリーは目を泳がせる。
「だってまだ恥ずかしくって…。先生が通るたびに顔が赤くなっちゃうんだもん。」
「私も同じだハリー。授業中お前のことばかり気になっていた。後ろを向いていても行動の一つ一つが分かるほどにな。」
そっと髪の生え際にキスをする。
さらに赤くなる愛しい存在に私もまた、顔がわずかに赤らむのを感じた。
内心慌てながら必死に冷まそうとするがなかなか冷めない。
「先生みたいなポーカーフェイスを見習いたいよ。じゃないと授業真面目に受けられないもん。」
「お前は思っていることがすぐに顔に出るからな。だが、このままの方が愛しい。」
私もまだまだだな。ハリーを前にすると表情が出そうになる。
もっともそんな事は本人にさえ言わないがな。
「それに、赤くならないところで私が居たのでは真面目に授業なんて受けられないのではないのか?」
「そっそんなことないよ。たっ多分大丈夫…。それに真面目に受けないと先生が減点するし…。」
「私も始終お前が気になって授業に身が入らん。それにお前を想う分だけ減点してしまう。」
いわば照れ隠しのようなものなのだがな。
「う~…それじゃ今までも?」
ようやく気が付いたのか。
肯定の変わりに口付けを交わすと、ハリーははにかんだ様に笑う。
「それじゃあ僕が先生を困らせるのも同じ理由だからね♪」
「寮の点がなくならんよう、注意するのだな。」
「後で戻してくださいよ?」
「お前しだいだな。」
愛しいと、思う分だけ減点もするが、同じ気持ちで同時に加点も行っていることをハリーは知らない。
首をかしげるハリーに再び口付けを交わす。
先ほどよりも長く、どれだけ私が愛しいと思っているかを伝えるように。
グリフィンドールの寮得点は急激に減ったり急激に増えたりを繰り返していたことの真相は2人だけの秘密★
そして、最も新しい七不思議。
とある寮の男子生徒は
いがみ合っているはずの男性教員と
秘密の関係
その経緯はホグワーツ七不思議★
―fin―
|